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つながる
貴公子様は回想する
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「唇とはあんなにも柔らかいのだな…」
赤い顔で転移門に飛び込んだアキを見送り、部屋に戻る。初めての口づけの余韻に浸りながら今日までの日々を思い返していた。
パーティーの翌朝、アキはルーカスのハグとキスを自然に受け入れていた…
やはり…そう思ったんだ。
会が終わりネルドに向かうアルト様にもアキの部屋に泊まってよいか尋ねていた。アルト様の返答に、不安は募る。
婚約の許しを得たのかもしれない…
次の日の夜、ルーカスがやってきた。
許しを得たのかと聞くと頷くルーカス…
全てが終わってしまったと思った。
「カイ、俺は明日からシールズだ。暫くは戻れない…動くなら今だぞ…」
ルーカスにそう言われても私にはもう出来る事などない…アキの心がルーカスにあるのなら諦めるしかない…
黙る俺にルーカスは言った。
「シールズから流れ込む瘴気を何とかしたい。アキと一緒に考えて欲しい…あとシールズでアキの写真見たいからスマホ貸して…何かあったら連絡しろ。カイ、考えてるだけじゃ何も変わらないぞ…」
そう言ってルーカスは帰っていった。
翌朝アキに連絡出来ずにいるとクラウスから連絡が…ルーカスが頼んでいたらしい…
アキがドラゴアに来ることに、やっぱりルーカスには敵わない。
そしてやはりアキの言葉は私に閃きをくれる。
癒しの力を注いだ粉末は瘴気を消しシールズの問題は一気に解決に向かう。
だが実際に動くのはルーカスだ。私ではない…
ルーカスの隣で笑うアキを見るのもいつか慣れる。
そう思っていたのに…
スマホが着信を告げる。
「アキは帰ったか?」
「帰った…ルーカスは本当にいいのか?」
「いいわけないじゃん、でも我慢してやるよ…」
「ありがとう…」
「礼を言うのはまだ早いぞ、キスくらいは出来たか?」
「それくらい出来る…」
「わからない時はいつでも教えてやるから…カイ…良かったな…」
やっぱり私はルーカスには敵わない。
多分これからもずっと…
でも大丈夫、アキは上手にできなくても良いのだと言ってくれた。
人形はいらない本物がいるだろうと言った。
私は私なりにアキに愛情を伝えよう。
抱きしめた温もりも、ふれた唇の柔らかさも人形とは全然違う。
私の首に手を伸ばしたアキ…
まさかアキの方から口づけをしてくれるなんて…
頬を染めて再び唇を重ねてきたのにも驚いた。
この先に進むには練習が必要だ…そう思って目の前の人形に手を伸ばしかけたが堪えた。
「アキが駄目だと言ったんだ、これはしまっておこう…」
アキ人形をクローゼットにしまう。
こんな暗い場所でアキを一人にはしておけない…
私専用の実験室なら他人が入ることはない。
あの部屋に置こう。
スマホもあと一台増やして、アキに贈ろう。
霧吹きも製品化すれば属性に関係なく浄化が出来るようになる。
「忙しくなりそうだな…」
大丈夫、今の私は全部できる。私はもうアキの婚約者なのだから…
赤い顔で転移門に飛び込んだアキを見送り、部屋に戻る。初めての口づけの余韻に浸りながら今日までの日々を思い返していた。
パーティーの翌朝、アキはルーカスのハグとキスを自然に受け入れていた…
やはり…そう思ったんだ。
会が終わりネルドに向かうアルト様にもアキの部屋に泊まってよいか尋ねていた。アルト様の返答に、不安は募る。
婚約の許しを得たのかもしれない…
次の日の夜、ルーカスがやってきた。
許しを得たのかと聞くと頷くルーカス…
全てが終わってしまったと思った。
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黙る俺にルーカスは言った。
「シールズから流れ込む瘴気を何とかしたい。アキと一緒に考えて欲しい…あとシールズでアキの写真見たいからスマホ貸して…何かあったら連絡しろ。カイ、考えてるだけじゃ何も変わらないぞ…」
そう言ってルーカスは帰っていった。
翌朝アキに連絡出来ずにいるとクラウスから連絡が…ルーカスが頼んでいたらしい…
アキがドラゴアに来ることに、やっぱりルーカスには敵わない。
そしてやはりアキの言葉は私に閃きをくれる。
癒しの力を注いだ粉末は瘴気を消しシールズの問題は一気に解決に向かう。
だが実際に動くのはルーカスだ。私ではない…
ルーカスの隣で笑うアキを見るのもいつか慣れる。
そう思っていたのに…
スマホが着信を告げる。
「アキは帰ったか?」
「帰った…ルーカスは本当にいいのか?」
「いいわけないじゃん、でも我慢してやるよ…」
「ありがとう…」
「礼を言うのはまだ早いぞ、キスくらいは出来たか?」
「それくらい出来る…」
「わからない時はいつでも教えてやるから…カイ…良かったな…」
やっぱり私はルーカスには敵わない。
多分これからもずっと…
でも大丈夫、アキは上手にできなくても良いのだと言ってくれた。
人形はいらない本物がいるだろうと言った。
私は私なりにアキに愛情を伝えよう。
抱きしめた温もりも、ふれた唇の柔らかさも人形とは全然違う。
私の首に手を伸ばしたアキ…
まさかアキの方から口づけをしてくれるなんて…
頬を染めて再び唇を重ねてきたのにも驚いた。
この先に進むには練習が必要だ…そう思って目の前の人形に手を伸ばしかけたが堪えた。
「アキが駄目だと言ったんだ、これはしまっておこう…」
アキ人形をクローゼットにしまう。
こんな暗い場所でアキを一人にはしておけない…
私専用の実験室なら他人が入ることはない。
あの部屋に置こう。
スマホもあと一台増やして、アキに贈ろう。
霧吹きも製品化すれば属性に関係なく浄化が出来るようになる。
「忙しくなりそうだな…」
大丈夫、今の私は全部できる。私はもうアキの婚約者なのだから…
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