父親に会うために戻った異世界で、残念なイケメンたちと出会うお話【本編完結】

つながる

聞いてません！

おはようございます。
１日で二人の婚約者ができた俺です。

「おめでとうございます」

朝一番におはようじゃなくておめでとうで出迎えられました。
トピアスいい笑顔だね。

朝食を部屋に持ってきてくれたのはいつもの方じゃなくてハンナ…
どうしてもおめでとうとありがとうを伝えたかったんだって…ありがとう？
しかも涙ぐんでるし…

トピアスが言うには、カイが小さい頃はハンナから離れなくて、ハンナもとても可愛がっていたんだって。無邪気で可愛い男の子が次第に心を閉ざしてしまうのを見ていたから、凄く心配してたみたい。
カイ愛されてるね。

ちなみにエルダーはルーカス贔屓なんだって。
ルーカスに剣術のいろはを教えたのはエルダーで、今でもよく二人で手合わせしてるみたい。

「この屋敷の者にとってカイ様もルーカス様も家族ですからね、皆今回の成り行きを固唾を飲んで見守ってましたし、お二人が自由に動けるよう密かに応援しておりました」

トピアス…
カイもルーカスも普通に俺の部屋に来るのは、トピアスが手引きしているとは思ってたけど、トピアスだけじゃなかったのか…

完全に外堀は埋まっている…
でもそれも全然嫌じゃないんだよ、むしろ嬉しい。
絆されてる自覚もあるけど、大好きな皆が喜んでくれてるのは嬉しい。

「今日の予定ですが、婚約を受けて殿下よりお身内での昼食会をとのことです。午前中だけ教会に行かれますか？」

ちょっと待って！

「昨日父さんからお許しはでたけど、もうエーミル様達も知ってるの？」

「殿下はもちろんですが、国中が大騒ぎですよ、昨日のうちに号外も出ましたから…」

は？

「今頃サファもドラゴアも大騒ぎでしょうね…」

何で？

「聖女様の功績は魔王討伐と浄化石だけじゃありません。新聞をこの世界に広めて国民がリアルタイムで情報を受け取れるようになりました」

母さん！犯人か…

「報道は「婚約内定か？」ですから、まだ詳細は発表されてません。読まれるなら持ってきますよ」

「読む…」

確かに詳細は書いてないけど…「氷を溶かしたのは至宝の輝き」とかさ…
「サファの太陽にも至宝の輝きは眩しかった」とかさ…
写真がなくて文字だけなのもかえって恥ずかしい…

「トピアス、今日教会行くの休んでもいい？」

俺は今日、人生初のズル休みを決行する。
無理だはずか死ぬ…
部屋で恥ずかしさに悶えてたら、あっという間にお昼に…王宮でも会う人全てのおめでとう攻撃にライフを削られ、昼食会ではヨエルの質問攻撃に更に削られた…

ヨロヨロの俺に更にダメージを与えたのはクラウス…

「アキ、分からない事があったら何でも聞いてくれ、少しだけ先輩だからな…ふっ…」

ふっ…って何だよ、もう…
ばあちゃん、母さんの功績は凄いと思うけど、俺が一面を飾る日がくるなんて思ってなかった…