父親に会うために戻った異世界で、残念なイケメンたちと出会うお話【本編完結】

ぴろ

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竜人の国

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俺は今、この世界に来て一番緊張している。
カイに連れられてやってきた皇城の部屋は、俺が知ってる晩餐会の会場そのもので、更に紹介された皇帝陛下と皇后様の神々しいお姿とずらりと並んだ使用人の方々…
映画でしか見たことのない世界が俺の前に広がっている。

ヤバい…緊張する…
仲良く手を繋いでたから、緊張が伝わったみたい。

「大丈夫、皆アキを歓迎してる」

カイはそう言うけど、俺はいろいろ心配なんだ…

「そなたがアキか…楽にしなさい。さぁこちらへ」

皇帝陛下マルクス様に声をかけられ、カイの手を離して前に進む。

「お初にお目にかかります皇帝陛下、アキ・ウッドランドと申します」

トピアスに教えてもらった目上の方への正式なお辞儀でご挨拶、ちゃんと出来てるかな?

「アキ、そなたは家族になるのであろう?他人行儀でちと寂しいな…マルクスと呼んでくれぬか?お祖父様でもよいぞ…」

そう言われて顔をあげたら、レオ様に良く似たマルクス様が微笑んでいた。

「アキ、カイの祖母のヨーセフです。宜しくね」

そう言って頭をなでてくれたのは皇后ヨーセフ様。
さらさらの髪の色はなんと水色、初めて見た…瞳も青色で美人だけど男性ね。

今更だけどここは異世界なんだなって改めて思った。

席について晩餐会スタートです。こうやって見るとドラゴアの皆様は見惚れる程美しい…
神話の世界に迷い混んだみたいな感覚になるな…
何より好みの顔が三つ並んでる。天国か…

晩餐会は思ったより和やかで、ホッとはしたんだけど俺は肝心な事を聞いてない。
深呼吸して、勇気を出して聞いてみる。

「カイの相手が俺で本当に大丈夫なんでしょうか?」

俺の質問に全員がフリーズ…

「アキ…カイではやっぱり駄目なのか?」

あ、誤解されてる…違うよ。
カイそんな顔しないで…

「そうではなくて、この世界では王族の伴侶は一人だと聞きました。カイは皇族なら二人の婚約者がいることはよくないのでは…と思ったんです」

気がついたら二人と婚約する流れになってたし、誰も反対する気配はないけど、冷静に考えたらおかしいよね…そう思ったんだけど…

「アキ心配はいらない。確かにレオとカイは私の跡を継いでくれるだろう。だがドラゴアの皇帝は血筋では決まらんぞ」

マルクス様に言われて首を傾げた俺にレオ様が教えてくれた。
ドラゴアの皇帝になれるのは竜化ができることが条件で世襲ではないんだって…先代の皇帝はマルクス様の伯父様で父親ではないらしい。今ドラゴアで完全な竜化が出来るのがレオ様とカイであって、他にもいたら最終的には魔力量で決めるんだって。

「アキの産んだカイの子供が竜化できたら跡を継ぐかもしれんし、そうでなければ継がないというだけじゃよ…ドラゴアはアキを心から歓迎する。アキ、カイの手を取ってくれてありがとう」

ばあちゃん、またまた新しい家族が増えました。
竜人の国の仕組みはまたまだ謎が多いけど、俺がカイの嫁になっても大丈夫みたいです。
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