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動きだす
給仕係(近衛騎士)は見た 其の一
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俺は今パーティー会場に給仕として参加している。
制服はパツパツだし慣れない蝶ネクタイは苦しいが、各国の要人が集まるのだから仕方ない。
何より俺と同僚がトピアス様に選ばれたのだ。
今日はアハト様の夫君として参加されるトピアス様と共に会場内の警備にあたる。
「おい、あれを見ろ…」
同僚の目線の先にはおかしな化粧をした三人の男…
目の周りが青く縁取られている。
初めて見る顔だから招待リストにあったシールズの三人なのだろう…
「気持ち悪いな…」
確かに…周囲の人々も遠巻きに見ている。
飲み物を配り終え壁際に移動するとアキ様の入場が告げられる。
カイ様の名前が呼び上げられると会場にどよめきが起こる。
びっくりするよな、俺も昨日びっくりしたよ。しかも氷の貴公子、氷溶けてるからね…
二人が登場するとざわつく会場が静まり返る…
緊張するアキ様の手を優しく触り何かを話しかけるカイ様。
今日も甘いな~と思ってたら…
「おぃ、アキ様の耳」
紫のイヤーカフがついてる…
「カイ様ってことか…」
俺達はアルト様と話すルーカス様を見る。残念だが仕方ない、全てはアキ様がお決めになる事だ…
会場ではアキ様が各国の要人にご挨拶、シールズが何か仕掛けてくるかもしれない。
場に緊張感が走る。
アキ様が最上級の笑顔と共にご挨拶をされる。あの顔に吹き出さないのが凄いな。
感心していたら隣のカイ様が突然アキ様を抱き寄せ髪にキスをした。
突然の行動に会場中が注目する中、氷の貴公子は止まらなかった。シールズの皇太子に暴言を吐き皇太子は激怒…
「カイ様が仕掛けてどうする…」
ホントだよ、どうしてくれる?
と思ったら聖女様とアルト様が参戦…
どうやらシールズの二人の後ろにいた宰相が魅了の魔法をアキ様に使っていたらしい。
俺達凡人には何も見えないが、高魔力の彼らには見えていたのだろう。
国王陛下に咎められたシールズは捨て台詞を吐いて会場を後にする。
「トピアス様とルーカス様が行かれる。俺達はここで待機だ」
同僚に囁かれ頷く。
後はあの二人にお任せしよう。
会場は国王陛下によって仕切り直され、音楽が流れ始めた。
最初はクラウス様達のダンス。
不器用で真面目なクラウス様をしっかり者のエリーナ様が支えてくれるだろう。
ルーカス様やカイ様が天才肌だから地味に見えてしまうが、思慮深く立派なお方だ。
朝の鍛錬仲間の幸せそうな姿を感慨深く眺めていると、アルト様が同僚に声をかけ会場から出て行った。
「先にトピアス様を戻すから、それまでにカイ様がアキ様に不埒な事をしたら報告するようにだって…」
アルト様…再会したばかりで可愛くてたまらないのは分かりますが、五月蝿い親は嫌われますよ…
アキ様はカイ様と二人で挨拶の列に対応している。
アキ様とお近づきになりたかった高位貴族の子息達が項垂れて帰ってくる。
「相手が悪すぎるよな」
同僚の言葉に大きく頷く。
確かにそうだが、俺はルーカス様が良かったな…
誰にも本気にならないサファの太陽…絶対に隙を見せない筈のルーカス様が悔しげな表情を浮かべたのを見た。
ほんの一瞬だったけど、入場するアキ様の耳元を見ていた。
ルーカス様、やけ酒ならいつでも付き合いますよ…
制服はパツパツだし慣れない蝶ネクタイは苦しいが、各国の要人が集まるのだから仕方ない。
何より俺と同僚がトピアス様に選ばれたのだ。
今日はアハト様の夫君として参加されるトピアス様と共に会場内の警備にあたる。
「おい、あれを見ろ…」
同僚の目線の先にはおかしな化粧をした三人の男…
目の周りが青く縁取られている。
初めて見る顔だから招待リストにあったシールズの三人なのだろう…
「気持ち悪いな…」
確かに…周囲の人々も遠巻きに見ている。
飲み物を配り終え壁際に移動するとアキ様の入場が告げられる。
カイ様の名前が呼び上げられると会場にどよめきが起こる。
びっくりするよな、俺も昨日びっくりしたよ。しかも氷の貴公子、氷溶けてるからね…
二人が登場するとざわつく会場が静まり返る…
緊張するアキ様の手を優しく触り何かを話しかけるカイ様。
今日も甘いな~と思ってたら…
「おぃ、アキ様の耳」
紫のイヤーカフがついてる…
「カイ様ってことか…」
俺達はアルト様と話すルーカス様を見る。残念だが仕方ない、全てはアキ様がお決めになる事だ…
会場ではアキ様が各国の要人にご挨拶、シールズが何か仕掛けてくるかもしれない。
場に緊張感が走る。
アキ様が最上級の笑顔と共にご挨拶をされる。あの顔に吹き出さないのが凄いな。
感心していたら隣のカイ様が突然アキ様を抱き寄せ髪にキスをした。
突然の行動に会場中が注目する中、氷の貴公子は止まらなかった。シールズの皇太子に暴言を吐き皇太子は激怒…
「カイ様が仕掛けてどうする…」
ホントだよ、どうしてくれる?
と思ったら聖女様とアルト様が参戦…
どうやらシールズの二人の後ろにいた宰相が魅了の魔法をアキ様に使っていたらしい。
俺達凡人には何も見えないが、高魔力の彼らには見えていたのだろう。
国王陛下に咎められたシールズは捨て台詞を吐いて会場を後にする。
「トピアス様とルーカス様が行かれる。俺達はここで待機だ」
同僚に囁かれ頷く。
後はあの二人にお任せしよう。
会場は国王陛下によって仕切り直され、音楽が流れ始めた。
最初はクラウス様達のダンス。
不器用で真面目なクラウス様をしっかり者のエリーナ様が支えてくれるだろう。
ルーカス様やカイ様が天才肌だから地味に見えてしまうが、思慮深く立派なお方だ。
朝の鍛錬仲間の幸せそうな姿を感慨深く眺めていると、アルト様が同僚に声をかけ会場から出て行った。
「先にトピアス様を戻すから、それまでにカイ様がアキ様に不埒な事をしたら報告するようにだって…」
アルト様…再会したばかりで可愛くてたまらないのは分かりますが、五月蝿い親は嫌われますよ…
アキ様はカイ様と二人で挨拶の列に対応している。
アキ様とお近づきになりたかった高位貴族の子息達が項垂れて帰ってくる。
「相手が悪すぎるよな」
同僚の言葉に大きく頷く。
確かにそうだが、俺はルーカス様が良かったな…
誰にも本気にならないサファの太陽…絶対に隙を見せない筈のルーカス様が悔しげな表情を浮かべたのを見た。
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