対の翼

NAKU

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第4章

真実

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 「死ぬってなんですか」
「まぁ正確には消えるみたいな感じ」
僕はかぐや姫の話の最後を思い出した。最後は月から迎えがきて月にのぼっていってしまうのだ。なぜか異常なくらいに納得してしまった。
「詳しく説明を!」
普段声を荒げない僕がここまで荒げたのだ。かなり驚いたようにみえる。
「アタシ達異常者はね」
ぽつぽつと少しずつ話し出してくれた。その話を聞く前に僕も落ち着く必要がありと思った。なぜかそう思いざるを得ない。
「異常者ってのは能力を使える」
「でもその能力ってのはタダで使えるもんじゃない」
「この能力は月から力を借りてるんだってさ」
おそらくハッキングして全てを知ってしまったのだろう。知りたくなかったと言っているような気がした。
「月魔力っていうんだってさ」
「この月魔力は人間には重すぎるらしくて」
「初めて能力を使った日から12回目の満月の日に体が耐えきれなくなるんだってさ」
12回目の満月といったらちょうど1年間ということになる。つまり楓さんは初めて能力を使った日からちょうど明日で1年なんだ。という事は…。言わない方がいいような気がした。が、楓さんにはどうせいつかバレてしまう。バレるまでの時間が足りないようと思うが。
「なら生き残りなんていないじゃないですか」
「まぁそうなるね」
たとえいたとしても時間が足りなさすぎる。

 またひとりぼっちになるということだ

その事実だけが痛い。今まで受けたいじめよりも痛かった。胸が千切れそうだ。
「僕も能力を使ったから消えるってことですよね」
「そ」
「アンタも消える」
「アタシが消えてから数ヶ月で」
優が孤独を嫌ってるのは少しわかっていた。
「…ごめん」
「え」
「1人にするようなことになってごめん」
「そんなこと…」
「アタシの話は終わり!」
不意に楓さんが普段より大きな声をだした。
「次はアンタの番だ」
「なんか言うことあるだろ」
そうだ。言わなくてはいけないことがあった。
「僕…」
「感情が荒ぶると人格が変わるんです」
「怒りに飲み込まれると体がマグマみたいになって」
「気づいたら人を殴り終わってるんです」
「アタシは助けられたよ」
「え?」
「なんでもない」
こんな会話をずっとしていたかった。この先もずっと。何十年とずっとしていたかった。楓さんが消えるなんて嘘だと思っていた。でも目の前で楓さんの手が薄れている。これは決定打になった。本当に消えるんだ。
「明日じゃなかったみたい」
「勘違いしてたみたいだな」
楓さんが笑っている。楓さんが泣いている。どちらともいえない表情をしている。
「死にたくないなあ」
「なぁ優」
「海に行こうぜ」
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