約束を想う。

白織

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約束を想う。

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 ちりん。
 懐かしい鈴の音に揺り起こされるように、アヤは眠りから目を覚ました。
 頬に掛かる黒い髪に睫毛を震わせると、ゆるりと気だるげに瞼を持ち上げる。まだ焦点の定まらない藍色の目で虚空を見つめながら、ふあ、とあくびをこぼした。

「この、音」

 と、アヤは寝ぼけまなこをこすりながら、微かに喉を震わせる。
 近ごろ、すっかりと暖かくなってきた春の夜は、まだ少し肌寒くて、微かに冬の名残を感じさせる。そんな春夜の空には、夏のような賑やかさや、冬の透き通るような美しさはないけれど、星々は穏やかな光をたたえ、しずやかにその輝きを灯している。まるで、そんな彼らに遠慮でもするように身を細くした三日月が、東の空に浮かんでいた。

 そんな控えめな春の夜の天蓋を背に、誇らしげに花々を咲き乱れさせた桜の老木が、アヤの頭上で物憂げに梢を揺らしている。
 アヤはそんな老木の幹に手をついて立ち上がると、春夜の森へと耳を澄ませながら、つぶさに藍色の瞳をめぐらせる。
 けれど、月明りの下に望んだ色を見つけることができなくて、アヤはそっと目を伏せた。

 ちりん。
 その音色に弾かれたように顔を上げると、ふわりと春夜に白が舞った。
 水紋の揺れる濃紺の羽織をはためかせ、朱の花を散らした黒い着物に身を包む美しい少女が、とん、と軽やかに舞い降りたところ。
 ゆるりと持ち上げられた顔に、微かに細められた真紅の瞳が闇夜に浮かぶ月のようで。絹のように滑らかな白い髪との、紅白の対比が美しい。ただ一つ、真白の髪をかきわけて生える一対の角が、彼女が人間ではないことを物語っていた。

 その手には紐に下げた徳利を持ち、それさえなければ絵になっただろうな、とアヤは相変わらずの友人に、微かな苦笑をこぼしてしまった。

「――やぁ。ひさしぶり、アヤ」

 にっ、と口の端から白い牙のような歯を覗かせながら、少女が笑った。

「ん。久しぶり、ハク」

 その無邪気な笑みにつられて、アヤも口元をほころばせる。
 相変わらずね、とアヤは口の中で呟きながら、そっと愛おしむように、ハクの頬へと手を伸ばした。

 ハクは目を瞬かせると、すぐに花の蕾がほころぶように相好を崩した。
 そして紅い目を微かに伏せると、曖昧に微笑する。

「あまり会いに来られなくて、ごめんね。でも、今日は大切な日だから、戻ってきたよ」
「もう、そんなこと、気にしなくてもいいのに」

 面倒くさがって、いつも適当なことばかり言うくせに、とアヤは唇を尖らせる。
 けれど、その藍色の目はどこまでも優しい。
 この妙なところで真面目な友人が、今日のことを覚えていてくれたことがうれしくて、アヤは困ったように眉を下げるしかなかった。

「アヤは覚えてるかな? 『一緒にお酒を飲もう』って、約束をしたの」
「ええ。そんな約束もしたね」

 覚えていてくれたんだ、とアヤは微かに目を細める。
 それはいつのことだっただろうか。たしか、ハクと出逢ってから、まだ間もない頃のこと。

 お酒は美味しい、お酒がないと生きていけないよ。と、それこそ、酔ったように語っていたハクの姿に、いいな、とアヤが羨むようにこぼしてしまったことが、きっかけで。
 慌てて取り繕おうとするアヤに、じゃあさ、とハクが笑いながら約束をしてくれたのだ。
 

 ――アヤでも楽しめそうなお酒を見つけてくるから、そうしたら、一緒に飲もうよ。


 それはきっと、雑談の中で交わしただけの口約束で。
 あれから、もう何年もの月日が流れてしまっている。だから、その約束をハクが覚えていてくれるとは思わなかった。けれど、その約束を彼女はずっと覚えていてくれたらしい。

 それがうれしくて、アヤは頬が弛んでしまうのを感じた。

「今日は、その約束を果たそうかな、って」

 そう言って、ハクは手にしていた紐付きの徳利を揺らしてみせる。
 その徳利はいつも彼女の手にしていたものよりも、二回りは大きなもので、アヤの頭ほどの大きさがある。その側面には達筆な文字で、『花』の一文字が描かれていた。

「このお酒の銘は『花霞』。今日、アヤとの約束を果たすにはぴったりのお酒かなって」

 微笑を浮かべながら、ハクは徳利を見つめる。
 その横顔には、こぼれそうなほどの優しさと、寂しさの綯い交ぜになったような色が浮かんでいる。

「ちょっとだけ強いかもしれないけど、香りがとてもいいから、きっとアヤでも楽しめるよ」

 だから我慢するのが大変だったよ、とハクは一目で作り笑いだとわかる、不格好な笑みを浮かべて、おどけてみせる。
 アヤは、そんなハクのことを見つめて、ありがとう、と藍色の目を細めると、

「ふふ、お酒がないと生きていけないっていつも言ってたのに、よく我慢したね」

 と、からかうような笑みを浮かべて、気づかないふりをした。
 ハクも無理があることに気づいたのか、困ったように頬を掻くと、手にした徳利に目を落とす。

「大切な約束だから、ね」

 そう囁きをこぼしながら、ハクは一度目を瞑る。
 そうして、にっと歯を見せて笑うと、それじゃ、と徳利を揺らしてみせた。

「さっそくだけどさ、開けようか」
「ん、よろしく」

 ハクは懐から漆塗りの盃を二つ、そっと地面へと並べる。
 そうして、徳利の蓋に手を掛けると、ハクはアヤのほうへと伺うように目配せをする。
 アヤが頷きを返しながら、期待に胸を膨らませて徳利を見つめる中で、ハクは徳利の封を切った。
 とたんに、
 ふわりと徳利の口からこぼれる『花霞』の、――ほのかに甘い、桜の匂い。

 その香りは、とても懐かしくて、それでいて、いつもそばにあったような、そんな郷愁にも似た想いをアヤに抱かせる。目頭が熱くなり、微かに滲んだ視界の中で、ハクも涙をこらえている。そんな友人にアヤは苦笑をこぼしながら、そっと目を瞑った。
 より、鮮明に感じられるようになった『花霞』の香りに、身を任せるようにして、アヤは頬を弛ませる。

 そうして、ゆったりと『花霞』の香りを楽しんでいると、衣擦れの音とともに、

「さ、飲もうか」

 と、ハクが無邪気に笑う気配がした。
 香りを楽しみながら、アヤが徳利から盃へと注がれていく『花霞』を見つめていると、ハクは二つある盃のうち、空の一つをわざわざアヤに盃の内側が見えるような位置に置きなおした。

 その行動に、アヤが首をかしげていると、ハクは空の盃にとくとくと『花霞』を注いだ。
 とたん、まるで花が咲くように、盃の内側には美しい水紋と桜の花びらの模様が浮かび上がった。その盃の変化に、わぁ、とアヤは感嘆の声を上げる。

「すごい、きれい」

 アヤは無邪気な笑みを浮かべて、わぁ、とか、へぇ、と。盃を色々な角度から覗き込んでは子どものようにはしゃいで、目を輝かせた。

 ハクも、手のひらで盃を揺らしながら、浮かんだ模様に口元をほころばせて。
 どうかな、と悪戯の成功した子どものような顔で、ハクが笑いかけてくる。

「気に入ってもらえたかな?」
「ん。とっても」
「こういう、きれいなものが昔から好きだったもんね。だからさ、この盃を見つけたとき、ぜったいにふたりで使うんだ、って決めてたんだ」

 やっとお披露目できたよ、とハクは照れくさそうに頬を掻いた。
 そんないじらしい友人が愛おしくて、ついと、アヤは頬が弛んでしまうのを感じる。そっと、うれしさにはち切れそうな胸を押さえて、ハク、と大切な友人の名前を口にする。

「ありがとう。とても、とっても、うれしいよ」

 と、アヤは溢れてしまいそうな幸せをこぼさないように、はにかんだ笑みを浮かべた。
 ハクはむずがゆそうに視線をさまよわせて、

「そ、それじゃ、乾杯!」

 と、誤魔化すように声を張り上げた。
 自分で用意したくせに、とアヤは苦笑をこぼしながらも、乾杯と口にする。
 こん、とハクは自身の盃をアヤの盃へと重ねると、そっと『花霞』を口にした。そして、味と香りを楽しむようにゆっくりと喉を鳴らすと、くぅ、とこらえるように身を縮める。

「うん、美味しい! この匂いがまた、いい味を出してるね」

 ぱっと表情を明るくして、ハクは満面の笑みで、笑いかけてくる。

「ほんと、いい香り」

 その笑顔に、アヤもつられて頬を弛める。
 桜の花に包まれているような、心穏やかになれる春の匂いで。
 ふたりにとって、それは懐かしさの象徴のような香りだった。
 微かに、ハクが鼻をすすりながら、

「うん、おいしいなぁ」

 震える声をこぼすと、柔らかな微笑を浮かべる。
 そうして、盃に注がれた『花霞』を見つめるように、そっと目を伏せた。

「やっぱり、今日まで我慢してよかったよ」
「そう」

 咲き乱れる桜を見上げながらこぼしたハクの呟きに、アヤは穏やかな声音で相槌を打つ。
 もう一口、と杯を傾けようとしたところで、あっ、とハクが何かを思い出したように叫んだ。アヤが藍色の目を瞬かせていると、ハクは地面に置かれたままになっていた愛用の鞄を持ち出してくる。

「よかった。忘れるところだったよ」

 たはは、とことさらに明るい調子で笑いながら、ハクは鞄の中から何かを取り出すと、アヤの前へと掲げて見せる。

「じゃっじゃーん! 西洋のお菓子だよ!」

 ハクの手に握られていたのは、透明な硝子でできた三角形の容器だった。
 その容器の中には、きれいな球体がたくさん入っている。それはまるで、色とりどりの星屑を閉じ込めたようで、わぁ、と再びアヤは感嘆の声を上げた。

「このお菓子は『金平糖』っていうんだって。南の港町で知り合った色白の商人から譲ってもらったんだ」

 きれいでしょ? と笑いかけてくるハクに、アヤは目を輝かせて金平糖の入った容器を覗き込みながら、何度も頷いた。

「他にも、甘いものからしょっぱいものまで、色々と美味しそうなものを集めてきたよ」

 そう言って、ハクは和菓子や煎餅、お団子など。
 色々なお菓子を鞄から取り出しては和紙を敷いて、その上へと並べていった。
 それはどれも、見た目も美しくて、見ているだけでも楽しくなるものばかりで。アヤは一つひとつに目を輝かせては、幸せそうに頬を弛めている。

 さっそくと、どれにしようかと迷うようにアヤの指先は空中で揺れている。
 お菓子を並べ終えて、ハクも指先をさまよわせはじめると、ふたりの好みがわかりやすい。アヤは甘味を中心にして、ハクは甘味以外へと向けられている。

「私はこれにしようかな」

 そう言って、ハクが取ったのはなぜか菓子類に交じっていた干し肉だった。
 それに思わず、アヤは渋い顔をしてしまう。

「なんでお肉が」
「やっぱり、お酒には肉だよね」
「ハクらしい」

 くすり、と笑みをこぼしながら、アヤははしゃぐハクへと柔らかな目を向ける。
 そうして、アヤは美味しそうに『花霞』と干し肉を口にしているハクを見守りながら、その口元を緩やかにほころばせた。
 ふと、ハクは『花霞』を口にする手を止めると、

「これで精霊でもいてくれたら、もっと賑やかでよかったかな?」

 と、眉を下げる。
 そんなハクにアヤは緩やかに首を振ると、大丈夫、と口にする。

「あなたがそばにいてくれる。それだけでいい」

 それだけで幸せだから、とアヤは微笑する。
 一緒にいてくれること。それが何よりもうれしいのだと、幸せなのだと知っているから。
 アヤが目を伏せて盃に注がれた『花霞』を見つめていると、まぁ、いっか。とハクが呟くのが聞こえた。

「私ひとりでも十分に賑やかせるからね」

 今夜は騒ぐよ、とハクが歯を見せて笑いかけてくる。
 つられてアヤも笑みをこぼしながら、そうね、と相槌を打つ。再び『花霞』などを口にしはじめると、そうそう、とハクが干し肉を咥えたまま思い出したように言った。

「旅先でさ、竜が出たっていう噂があったんだよ」
「ん、竜? 大蛇じゃなくて?」

 それならわかるけど、とアヤは首をかしげる。

「どうせ蛇かなって思ったんだよ。でも、竜を見たって商人が『あれは蛇なんかじゃない!』ってすごい剣幕で言うもんだから、気になっちゃってさ」

 見に行ってみることにしたんだよ、とハクが旅先でのことを話してくれる。
 それは昔から自由に旅をすることができなかったアヤのために、ハクが旅先での出来事を面白おかしく語ってくれたことがはじまりで。

 ハクの口から語られるのは、彼女自身の旅物語。
 それゆえに、出来事の一つひとつがどんなものであるか、わからなければ訊くこともできたし、実物を見せてもらうこともあった。そして、その物語のどれもが刺激的で、アヤの知らないものばかりだった。

 だから、アヤはいつも芝居の観客のように、期待に胸を膨らませ、ときに驚き、ときに笑い、ときに涙しながら、ハクの物語に耳を傾ける。
 アヤにとって、ハクは大切な友人であるとともに、旅物語の主人公だった。

「その竜を見に行ってみたら、しっかり足はあるし、蝙蝠みたいな翼もあってさ。ねじくれた、こんな大きな角も生えてるの」

 身振り手振りを交えながら、ハクはその目で見たものを表現しようとする。
 その一つひとつに、へぇ、だとか、わぁ、と歓声を上げては、アヤはその藍色の目を輝かせる。

「その竜にさ、面白そうだから話しかけてみたんだよ。そしたら、どうなったと思う?」
「噛みつかれたとか?」

 おどけるように頬に指をあてて、アヤは思いついたことを言ってみる。
 うんうん、とハクもわざとらしく大仰に頷いて見せると、なんと! と、もったいぶるように指を立てた。

「しゃべったんだよ! すごいよね! 大蛇でも数百年は生きて、信仰されているようなやつしかしゃべれないのに! すごい!」

 アヤよりも興奮した様子で、すごい、とハクは何度も口にする。
 そんな子どものようにはしゃいでいる友人の姿に、アヤは口元をほころばせる。

「それで、面白そうだから話を聞いてみることにしたら、そいつが『小鬼が何をほざくか』なんて言うんだよ? こんなに立派な角があるのにさ」

 失礼しちゃうよね、とハクは拗ねたように唇を尖らせる。
 そんな子どものような仕草をするハクを、アヤは微笑ましいものを見るように目を細めると、そうね、と相槌を打った。

「それだけなら、まぁ、私は体が小さいから、しょうがないかなぁ、って思うんだよ」

 でもさ、とハクは不満そうに頬を膨らませる。

「それを説明したらさ、そいつ『そんな粗末な角しか持たぬくせに、粋がるな』って、鼻で笑ってきたんだよ? いやぁ、さすがに自慢の角を貶されるとは思ってなくてさ。――そいつ、殺しかけちゃった」

 たはは、と無邪気な笑みを浮かべて、ハクは照れたように頬を掻いた。
 あまりにも自然に恐ろしいことを言ってのけるものだから、ひくりと、それはもう盛大に、頬を引き攣らせた。

 な、な、と言葉に詰まり、アヤは思わず叫び散らしそうになるのをこらえる。
 深呼吸を一つ挟み、息を整えてから。

「な、なんでそうなるの、かな?」

 そう、ぎこちない笑みを浮かべて、なんとか声を絞り出した。

「こ、これでも、手を抜こうとしたんだよ? でも、でもさ! そいつの鱗が硬いせいで、本気で殴らないと砕けなかったし、頭に血が上ってたから、あの無駄にねじくれた角をへし折ることしか頭になくて、つい」

 言い訳をするように捲し立てるハクに、

「つい?」

 にこりと。
 アヤには、とてもきれいに笑えた自信があった。……きっと、目は全く笑っていなかっただろうけど。
 一度、アヤは気持ちを落ち着かせるように息を吐くと、頭を抱えたくなった。

「もう、どうしてあなたはそんな無茶ばかりするの? そういう相手に殴りかかることもそうだけど、そんなに目立つことばかりしていたら、また面倒なのに目をつけられるよ?」

 アヤは藍色の目をつり上げながら、無鉄砲なハクを非難するように睨みつけた。
 けれど、すぐにその勢いはしぼんでしまって、アヤは苦虫を嚙み潰したような表情で、目を伏せる。

「もともと、ハクはその白い髪と紅い目で目立つんだから、そんなに力を見せつけるようなことをしてたら、また怖がられるよ? ハク。あなたがいくら強くても、数の暴力には勝てないでしょう?」

「で、でも、私たちの誇りである角を『粗末』だなんて言われたんだよ? 殴りかかるくらいはするよ。うん。むしろ、殺されなかっただけ感謝してほしいくらいだよ」

 ふん、とハクは腕を組むと、当然のことをしたとでも言うように胸を張った。
 じわりと、
 そんな友人の姿に、胸の奥底で燻ぶっていたものが、微かに染みだしてくる。

「……あなたは自由に飛び回れるんだから、自らその羽を折るようなことはしないで」

 呟いて、その苦さにアヤは顔をしかめた。
 けれど、胸を掻き毟りたくなるような焦燥に、歯止めを利かせることができなくなる。

「それでもし、ハクがいなくなったら、」

 アヤは考えたくもない未来を想像して、唇を噛む。
 泣きそうになるのをこらえながら、そんなの嫌だよ、とアヤは想いを口にする。けれど、その声はハクには届かなくて。

 かっと、頭の芯が熱くなって、ハクのことを睨みつけながら、アヤは腕を振り上げた。

「でも、私がいなくなったら、ここには、アヤには誰も会いに来なくなるんだよね」

 不意に、ハクが紅い目を伏せながら、そんな呟きをこぼした。
 今にも泣きだしてしまいそうなその声音に、アヤはくしゃりと顔を歪ませると、振り上げた腕を力なく下ろした。
 そうして、ハクへと責めるような視線を向けながら、不貞腐れたように唇を尖らせた。

「そうしたら、泣く」
「それは嫌だなぁ。うん。次からはもうちょっと自重するよ。……半殺しくらいで」

 最後に、誤魔化すように目を逸らしたハクに、アヤは藍色の目を眇めて、半目でハクのことをじっと睨んだ。
 反省の色の見えない友人は、たじろいだように目を泳がせると、ああ、とわざとらしく手を打った。

「そ、そういえばさ、アヤと出逢ったときも、桜が咲いてたよね」
「……そうやって、いつも話を逸らそうとする」

 そう唇を尖らせながらも、そうね、とアヤは相槌を打った。
 あのときも、この桜の老木は変わらずきれいな花を咲かせていた。もしかしたら、この桜がハクと出逢わせてくれたのかもしれない、とアヤは口元をほころばせる。

「この桜の下で、傷だらけで倒れているあなたを見つけて、びっくりしたのを覚えてる」
「本当にあのときは大変だったんだよ。たまたま近くの村に立ち寄っただけなのに、鬼狩りだとか言って、問答無用で追いかけまわしてくるんだもん」

 ひどいよね、とハクは憤るように頬を膨らませながら、盃に『花霞』を注いだ。
 けれど、すぐに膨らませていた頬を緩めると、でもさ、と呟きをこぼした。

「あのとき、追いかけまわされてなかったら、アヤと出逢えなかったって思うと、不思議とそこまで憎めないんだよね」

 まぁ、許さないんだけどね、とおどけたようにハクは笑う。
 そうして懐かしむように口元をほころばせると、『花霞』の注がれた盃を揺らした。

「ここまでぼろぼろになりながら逃げてきたからさ、目を覚ましたとき、すぐそばにアヤがいて、すごいびっくりしたんだよ」
「そうは見えなかったけど?」
「必死に余裕なふりをしてたから、気づかなかったでしょ? ふふ、私の演技も捨てたものじゃないよね」

 ふふん、とハクは誇らしげに胸を張っている。
 そこまで上手かったかな、とアヤが呆れたように眉を下げると、ハクは困ったように苦笑をこぼした。

「すぐに追っ手だと思ってさ、逃げようとしたんだよ。……でも、私のことを見つめてた藍色の目を見たら、そんなことも忘れてた」

 照れくさそうに頬を掻きながら、だってさ、と。

「……私の、この紅い目を見ても、怯えてなかったんだもん」

 うれしかったんだよ、とハクが幸せを噛みしめるように、はにかんだ。
 その幸せそうな空気にあてられたように、アヤは微かに頬を染めて、

「だ、だって。きれいだったんだもの」

 と、言い訳をするように目を泳がせる。
 ハクは幸せそうに『花霞』を口にすると、それにさ、と呟きをこぼした。
 あれからずいぶんと、柔らかくて、子どものような感情の色を見せてくれるようになった紅い目に、懐かしむような色を灯しながら。

「ああ、この子も、逃げてきたんだなって。わかった」

 微かに口元へと浮かべた笑みは、優しいばかりで。

「あのときは何も知らなかったけどさ、なんとなく、アヤが逃げてきたんだってことだけは、わかったんだよ」

 似た者同士、通じるところがあったのかもね、とハクが笑う。
 その笑みにつられてアヤも口元をほころばせると、そうね、と相槌を打った。そうして、緩やかに目を伏せると、苦い記憶が滲んだ。

「私は、体が弱かったせいで、迷惑を掛けてばかりだったもの」

 呟きとともに、黒く濁った感情がこぼれる。
 それを誤魔化すように苦い笑みを浮かべるけれど、一度こぼれてしまった感情はせきを切ったように溢れ出してくる。

「まさに役立たず。それがわかっていたから、迷惑を掛けないようにして」

 わがままにならないように、周りに気を遣わせないように、せめて笑っていようとした。
 感情を殺して、息をひそめて、取り繕ったような笑顔ばかりを浮かべて。
 ぎゅっと、膝の上で握った手に力がこもる。
 がたがたと震えだした体を押さえるように、アヤは自分の体を抱くように腕を押さえた。

「あのときの、私は本当に、」
「ねぇ、アヤ」

 アヤの自責を窘めるように、ハクの穏やかな声がアヤの名前を呼んだ。
 その声にはっとして、アヤはばつの悪い顔をしながら、そっと俯けていた顔を上げる。すると、ハクが柔らかな微笑を浮かべていた。

「どうしたの?」
「こういうときじゃないと、言えそうにないから、さ」

 こほん、とわざとらしく咳払いをして、ハクは照れくさそうに頬を掻いた。
 酔いが回っているのか、その頬は微かに赤く染まっていて。
 逡巡するように泳がせた目が、柔らかく細められる。


「ありがとう。大好きだよ」


 と、口の中で飴玉を転がすように、ハクが想いを告げる。
 そんな不意打ちに、え、とアヤは藍色の瞳を瞬かせる。けれど、そんなことはお構いなしに、ハクは幸せを噛みしめるように微笑する。

「……ずっと、ありふれた幸せだとか、そういうものに憧れていたんだよ。私みたいなのは、いつの時代も嫌われ者だからね」

 そう言いながらも、ハクの真白の髪から覗いた角を撫でる仕草はとても穏やかで。

「だから、どこにも馴染めなかった私みたいな存在と、アヤが一緒にいてくれたこと、本当にほんとうに、うれしかったんだよ?」

 アヤは知らなかったかもしれないけどね、とハクは困ったように苦笑する。

「たくさん迷惑もかけたし、困らせてばかりだったけどさ。私はアヤと一緒にいられて、幸せなんだよ。二人で話したことも、遊んだことも、食べたものも、全部ぜんぶ、覚えてる」

 そう言って、一口、とハクは『花霞』を口にする。
 そうして、幸せを噛みしめるように微笑すると、紅い目を緩やかに細めた。

「アヤは、私に色々なものをくれたんだよ。ひとりじゃないことの温かさも、帰るべき場所も、人並みの幸せも。……この小さな腕じゃ抱えきれないくらいたくさんの、大切なものを私にくれたんだよ」

 ――だから、ありがと。
 と、ハクは囁くように言いながら、にっと歯を見せて笑った。
 そんな笑みを向けられて、うれしさが込み上げてくる。けれど、ずきりと。胸が軋むように痛むのを感じて、アヤは唇を噛んだ。

 自分にはそんな言葉も、笑顔も受け取る資格はないのだと。
 その胸の痛みが、告げる。
 やめて、と心の中で囁きながら、アヤは痛む胸を押さえて、不恰好に笑った。

「ねぇ、ハク。あなたは優しいから、私のおかげでひとりじゃなくなった、なんて言うけれど、そんなことはないの。本当は逆なんだよ。……あのとき救われたのは、私なの」

 罪を打ち明けるように、アヤは想いを口にする。
 そんなにきれいなものじゃないんだよ、と藍色の目を伏せながら。

「あなたが倒れているのを見つけて、あなたが人じゃないことを知ったとき、私は歓喜した。ああ、これで〝終わり〟を迎えられるんだ、って」

 この役立たずで、価値のない命を終わらせられるのだと。
 代わり映えもせず、空虚なばかりの生きるという行為に、終止符を打てるのだと。
 でも、と。

「あなたはお伽噺の鬼のように、恐ろしい存在じゃなかった。それどころか、とても優しい目をしていた」

 遠い日の記憶に、アヤは顔をしかめる。

「私は、そんなあなたのことが憎らしかったの。私と……私なんかよりも、ずっとつらかったはずなのに、それでも優しい目ができるあなたが、妬ましくて、羨ましくて」

 口元に、醜く歪んだ笑みが浮かぶのを感じて、吐き気がする。
 どうして、こんなにも違うのだろうと。
 そう感じたことを、アヤは鮮明に覚えている。

 アヤよりも、ずっとつらい目に遭っているはずなのに、同じように逃げてきたはずなのに、ハクは恨み言の一つもこぼさず、とても優しい目をしていた。
 その目に、お前はとても矮小で、醜い存在なのだと、突きつけられているように感じて。アヤは身勝手にも妬んで、羨んで、そして憎らしいと嫌悪した。

「でも、迷子みたいな目をしたあなたを見て、あなたが心から笑っている姿を見たくなった。そうしたら、私も救われるような気がして、だから、あなたに手を差し伸べようとした」

 そっと、自分の手のひらを見つめながら、アヤは目を伏せた。
 もし、ハクを心から笑わせることができたら、この命にも価値があるのだと胸を張れると。そして、そのとき、自分の心も救われるのではないかと、そう思ったから。

 そんなどこまでも〝自分のため〟でしかない理由で、手を差し伸べようとして。
 アヤは、ハクが〝ひとり〟で笑顔になれるようにして、笑顔になった彼女を見て満足する。そんな未来を思い描いていた。
 きっと、アヤのあからさまな態度から、そんな考えはハクに伝わっていたはずなのに。

 ――〝ともだちになってくれないかな〟
 なんて。
 ハクは、こともなげに〝一緒に〟笑顔になれるような道を選んだ。
 それはとても不器用で、幼稚な言葉だったのかもしれない。だけど、その言葉と、差し伸べられた手の温もりよって、アヤの心はいともたやすく救われてしまった。

「本当に、あなたは優しすぎるよ」

 だから心配なんだよ、とアヤは困ったように眉を下げる。
盃を傾けながら、『花霞』を口にしている友人を見つめて、ふと、白い髪に添えられた朱色に目が留まる。

 ちりん、と。
 ハクに贈った髪飾りが、真白の髪のもとで揺れている。
 年経て、アヤの記憶よりも色褪せたような気がするけれど、大切に手入れされているのか、鈴も、朱の花とそれに連なる紐飾りも、きれいなままで。
 ハクが大切にしてくれていることが伝わってきて、アヤはゆるりと口元をほころばせる。

 まるで、二人の友情の証のようで。
 あれから、長い月日が流れてしまったけれど、二人の関係は変わらずに、ずっと続いているのだと、そう思わせてくれたから。




「む、ああ。もう、お酒がないや」

 手にした『花霞』の徳利を揺らしながら、ハクは口惜しそうに呟きをこぼした。
 その紅い目には、このひとときの酒宴が終わることへの落胆と、隠し切れない寂しさがうかがえる。

「……もうないの?」
「まぁ、ちょうどいいかな。もうじき、夜も明けるだろうし」

 白みはじめる東の空を見つめて、そっと、ハクは眩しそうに目を細めた。
 二人の周りには、夜明け前の静けさが漂っている。
 それがまた、このひとときが終わることを告げているようで。

 このまま時間が止まったらいいなと、そう願わずにはいられない。けれど、どれほど願おうとも、否応なしに終わりは訪れるのだということも、身に染みている。

「この一杯で、もう行くよ」

 夜明けまでって決めてたからね、とハクは困ったように苦笑すると、とくとくと『花霞』を盃へと注いでいく。
 ――そうしないと、ここから離れられなくなるからね。
 と、俯けたハクの横顔から、そんな声を聞いた気がして、アヤは溢れそうな感情を隠すように、ことさら明るく笑って見せる。

「そっか。今日は来てくれてありがとう、ハク」
「……乾杯」

 こん、とハクはアヤの盃に自分の盃を重ねると、最後の一杯を口にする。
 味わうようにゆっくりと喉を鳴らしてから、ハクは何かをこらえるように微笑すると、そのまなざしを白みゆく稜線へと向ける。

 つられて見ると、夜の帳を持ち上げるように、夜の濃紺から藍色、そして橙色と徐々に色づき、移ろいゆく空の濃淡に見惚れる。
 その色彩にほんのひととき、ふたりで目を凝らした。

 横目にハクの様子を伺うと、彼女の目には涙がたまっている。それをこぼさないようにと、微かに上を向きながら、夜明け前の空を見つめている。

「ねぇ、アヤ」

 と、名前を呼んでくる、その声は震えていた。
 ぎゅっと、羽織の裾を握りしめながら、ハクはためらうように喉を震わせる。
 ちりん、と。
 ハクは髪飾りを撫でると、その鈴音から勇気をもらったように、微かに口元をほころばせる。彼女は鼻をすすると、笑おうとして失敗したような、くしゃくしゃな顔をした。
 そうして、頬を伝った涙を拭うこともせずに、ハクは不恰好に笑った。



「ちゃんと、そこにいるかな? 楽しんでくれてるかな? ……ねぇ、私の声、聞こえてる?」



 そう言って、ハクはアヤを――アヤの後ろの、桜の老木を見つめた。

「ん。ちゃんと、楽しんでるし、聞こえてるよ」

 と、藍色の目を細めて、アヤはハクの言葉へと返事をする。
 もう、彼女の声はハクには届かないけれど。それでも、ハクが会いに来てくれるなら、届かなくても返事をするのだと、そう決めているから。

「アヤ、大好き。ずっと、ずっと大好きだよ」
「私も、大好き」

 そう返事をしながら、そっと、アヤはハクの頬へと手を伸ばした。
 この手の温もりを伝えることも、もうできないけれど。
 その頬を、風が撫でたのだと思われるのだとしても。
 心配を掛けないようにと、涙をこらえる、このやさしくて、寂しがり屋な少女に、この想いが届くといいな、と祈りながら。

 頬に触れると、ハクは目を丸くする。
 けれど、すぐにこぼれた涙を拭うことも忘れて、うれしそうに破顔する。そして、ハクは砂の城にでも触れるように頬を撫でると、柔らかく包み込むように、その指先を丸めた。

 その指先から、ハクの手の温もりが伝わってくるように、アヤの胸が温かくなる。

「アヤ。また来るからね。約束する」
「ん、約束だよ」
「ぜったい、ぜったいに、また来るから。ちゃんと来るから」
「そのときはまた、旅のお話をたくさん聞かせてね?」

 ハクは頬を伝った涙を羽織の袖で拭うと、ゆっくりと立ち上がる。
 そうして、空になった徳利やお菓子の包みなどを丁寧に、大きな鞄の中へとしまっていくのを、アヤはじっと見守る。

「次は、他の西洋のお菓子も持ってくるからさ。足が速くて、今日は持ってこられなかったものも、持ってこられないか試してみるよ。かすてら、とか、とっても甘くてふわふわだから、きっとアヤはすぐに気にいると思うよ」

「楽しみにしてる」
「あと、美味しいお酒も探しておくね」
「ん。香りも楽しめるといいな」
「それから、えっと、それから……」

 また涙をこぼしながら、ハクは後ろ髪を引かれるように、たどたどしく言葉を探している。
 けれど、終わりを告げるように太陽が昇り、辺りを白く染め上げた。
 そんな太陽に、ハクは困ったように微苦笑を浮かべると、鞄を肩に掛けて、徳利を手にした。そうして紅い目を細めながら曖昧に微笑むと、それじゃ、と手を挙げて、告げた。

「またね、アヤ」
「ん、また」

 アヤも曖昧な笑みを浮かべて、手を振る。
 けれど、ゆっくりと遠ざかっていくハクの背中を見送りながら、アヤはえもいわれぬ不安に襲われる。
 だから、その不安を吹き飛ばすように、アヤは遠ざかるハクの背中へと向けて叫んだ。


「――またね!」


 アヤの声が、春夜の空気を震わせた。
 え、とアヤが驚きに目を丸くしていると、ハクも弾かれたように振り向いた。ちりん、と鈴が鳴る。くしゃりと、ほんの一瞬、溢れそうになる感情こらえるように顔を歪めると、ハクは頬を伝う涙をそのままに、にっと白い歯を見せて笑った。

「うん、また!」

 と、ハクは大きく手を振って。
 そのまま、姿が見えなくなるまで、手を振ってくれていた。




「……またね、か」

 ぽつりと、アヤは新しい約束を噛みしめながら、そっと桜の老木を見上げる。
 その老木は、今も昔も変わらずに、誇らしげに美しい花弁を咲き乱れさせている。それは何よりも美しくて、儚げで。
 でも、どこか泣いているように感じるのは、この頬を伝う涙のせいだろうか。

 そっと、桜の老木に、自身の〝墓標〟に手を添えながら、祈る。
 ――どうか、また会えますように、と。
 たとえ、その真紅の瞳にこの姿が映らなくても、その耳にこの声が届かなくても。
 きっと、この想いは届くはずだから。
 緩やかに、藍色の目を瞑る。

 ちりん、と。
 もう聴こえるはずもない鈴の音に、耳を澄ませながら。
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