約束を想う。

 ある森の奥深く、桜の老木が生えている。
 今年も美しい花を咲かせ、見る者を魅了する桜のもとで、今日もアヤはひとり、桜越しの空を見上げていた。
 ある日の夜、うたた寝をしていたアヤの耳に、懐かしい鈴の音が聞こえた。その音に揺り起こされるようにして目を覚ましたアヤのもとに、徳利を手にしたひとりの鬼の少女――ハクが訪れる。

「――やぁ。ひさしぶり」

 にっ、と口の端から白い牙のような歯を覗かせながら笑う、友人の来訪に、アヤも頬をほころばせる。
 彼女は手にした徳利を揺らしながら、

「覚えてるかな?」

 と。
 懐かしい〝約束〟を果たすため、思い出を肴に、春夜の桜の下で一夜限りの宴をはじめる。

注意!
若干の『百合』要素あり。
 
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
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