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過去の感情 傷付き
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掴まれた腕を離させるよう、苛立ちを混じえた瞳で見る。
「え、えっと…」
慌てたように離れ、顔を赤らめる。
ハルは心底嫌気が差したような顔をした。
………
「そうかな?」
ふ、とやわらかく笑ったハル。
かっこよすぎて、常心を失いそうになった。
いまだに慣れない、この表情…
前もかっこよかったが、前よりずっと、色気が増したのかかっこよくなった。
両手を伸ばす。
しがみつき、ハルの腕の中に沈む…
静かに目を閉じた。
「やっぱり…ロンの方がかわいいよ。
おれのこと、褒めてくれたけどね。」
上品なほほえみ。
ぼくはハルの顔に手を伸ばす。
ハルの頬を、好奇心ありありと見せ触るロン。
笑い、抵抗をまったくしないハルに、ロンは頬をつまむ……
これは…支配欲かな。
ハルはいつもの表情を浮かべながらロンを見る。
…俺に触っているときのロンは……いつも興味なさそうで、無表情だ。
今は一瞬好奇心の色を見せたが、またすぐに戻った。
確かめている。
自分の物だと。
………それでもいい
心の声が、高く上擦る。
所有したいと思ってるだけで。
俺もロンを所有していたいから。
ハルは、ロンをゆっくり引き込み、再び腕の中に入れる。
満足そうな顔に、ロンは「……おい」とあからさまに不機嫌な声を出した。
静かに凄まれる。
だが慣れているのか、ハルは臆することなく腕の中に入れる。
内心びびるロン……
……
ハルの、唯一ぼくだけに赦している瞳。
触れるのもキスするのも、抱きしめられるのも全部ぼくだった。
それが嬉しかった。
自分だけが、ハルの好意を感受できる。
こんなに気持ち良いことない。
だけどなぜかあのとき……
ハルに振られに行く女子の光景が頭に浮かぶ。
胸が痛んだ。
あれは…感情移入したから?
あの子に…?
自分とは、違うタイプの人間だった。
自分に自信がなさそうでいて、感情が表に出やすい。
ノーガードで人に突っ込み、思いっきり傷付き去っていく。
いつもは感情移入しにくいそんな人間。
おそらく周りに煽られて、ハルに告白なんかしたんだろ。
普通、ハルに振られるくらいわかるだろうに…
「………」
そう、いつもなら切り捨てる。
同情なんか微塵も浮かばない……
なのに、なんで
……
「え、えっと…」
慌てたように離れ、顔を赤らめる。
ハルは心底嫌気が差したような顔をした。
………
「そうかな?」
ふ、とやわらかく笑ったハル。
かっこよすぎて、常心を失いそうになった。
いまだに慣れない、この表情…
前もかっこよかったが、前よりずっと、色気が増したのかかっこよくなった。
両手を伸ばす。
しがみつき、ハルの腕の中に沈む…
静かに目を閉じた。
「やっぱり…ロンの方がかわいいよ。
おれのこと、褒めてくれたけどね。」
上品なほほえみ。
ぼくはハルの顔に手を伸ばす。
ハルの頬を、好奇心ありありと見せ触るロン。
笑い、抵抗をまったくしないハルに、ロンは頬をつまむ……
これは…支配欲かな。
ハルはいつもの表情を浮かべながらロンを見る。
…俺に触っているときのロンは……いつも興味なさそうで、無表情だ。
今は一瞬好奇心の色を見せたが、またすぐに戻った。
確かめている。
自分の物だと。
………それでもいい
心の声が、高く上擦る。
所有したいと思ってるだけで。
俺もロンを所有していたいから。
ハルは、ロンをゆっくり引き込み、再び腕の中に入れる。
満足そうな顔に、ロンは「……おい」とあからさまに不機嫌な声を出した。
静かに凄まれる。
だが慣れているのか、ハルは臆することなく腕の中に入れる。
内心びびるロン……
……
ハルの、唯一ぼくだけに赦している瞳。
触れるのもキスするのも、抱きしめられるのも全部ぼくだった。
それが嬉しかった。
自分だけが、ハルの好意を感受できる。
こんなに気持ち良いことない。
だけどなぜかあのとき……
ハルに振られに行く女子の光景が頭に浮かぶ。
胸が痛んだ。
あれは…感情移入したから?
あの子に…?
自分とは、違うタイプの人間だった。
自分に自信がなさそうでいて、感情が表に出やすい。
ノーガードで人に突っ込み、思いっきり傷付き去っていく。
いつもは感情移入しにくいそんな人間。
おそらく周りに煽られて、ハルに告白なんかしたんだろ。
普通、ハルに振られるくらいわかるだろうに…
「………」
そう、いつもなら切り捨てる。
同情なんか微塵も浮かばない……
なのに、なんで
……
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