溺愛攻めを怒らせた

冬田シロクマ 

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多忙なはずのハル

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大きな影が座っている僕を覆う。
何気無しに顔を上げ…
暗く、ほほえむハルがいた。
高い背と、変わらない美形で、いつも圧倒される。

威圧感凄いな…

ぼんやりと思う。
月を背景に笑うハル。
なにを言うのだろうと、ハルを見上げたまま止まる。
立ったままのハルは、優越感に浸ったような表情をし、ぼくの頭を優しくなでた。

自分の中の優越感から始まった恋愛

ぼくもこんな感じだったんだろうか。
こんな表情をして…

しゃがみこむハル。
さっきの表情は消えており、ニコニコと笑った顔が前にきて、近づいた。
……

ぷるるるる!

けたたましく鳴る、家の電話。
ぼくは耳を塞ぎたくなった。
布団の中に潜る。
うつ伏せのまま、後ろから白い大きな枕で、頭と耳を覆った。


「外出しよ。一緒に」

「あ、今度は人がいない場所がいいな」と付け足すハル。

その顔を、僕はしばらく見透かすように見た。
ハルは「どうかした?」と笑う。

別にそんなことしたところで、なにも見えてこなかった。

「いいけど」

そっけなく言う。

だが、いいのか?と頭の中で響いた。

最近、僕の母親からうるさく電話が鳴っている。
きょうだいの結婚式だろう。
会いたくないという気持ちが、膨らんだ。

「はる…」
「ん?なに、ロン」

いつものようなやわらかい声色。
ぼくはどう切り出したもんか、と迷った。

ハルにも母から連絡がいっているだろう。
それもしつこく、ぼくを出席させろと。

ハルは…忙しいだろうに
大丈夫なのか?

ぼくは、眉をひそめて相手を見た。
ほほえんでいるハルに、愛おしそうに髪の毛に触れられる。

ぼくは下を向いた。
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