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踏みつけ、嫉妬
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カタカタと音がする。
後ろから近づいてくる気配がした。
背中からロンの体温を感じ…止まる。
珍しく、抱きついてくるロン。
「どうしたの?」
喜んでいそうなハルの声。
僕は強く抱きついた。
…驚いた
ハルは意外そうな顔をした。
「…忙しいのか?」
ロンの声。
心配しているようで、上目遣いで見られる。
かわいい…
「うん。まあ~ちょっとね。」
へらっと笑うハル。
うれしそうにロンを膝に乗せ、前から抱き着いた。
「ちょっと休憩。」
グリグリと頭を擦り付けられ、首筋を吸われる。
抱っこしながらハルはうれしそうにニコニコ笑った。
「…?ロン?」
「…」
ロンは、ハルの笑った顔を、変わらない表情で見下ろした。
そしてそれを誤魔化すかのように、前からハルに抱き着いた。
……
目を開く。
トン…トン…と背中を叩かれている。
うつらうつらしていた僕は、体温が高くなっている自分の身体を感じた。
眠たそうと思って、ハルはぼくを寝かしつけてるのだろう。
ハルの肩に頭を預けている。
振り向き、薄目で見たパソコンの画面から、ハルの仕事がまったく進んでいないことに気づく。
結構な時間…経ったのに……
時計も見る。
構ってほしいからとはいえ、自分が邪魔になり過ぎている思い、目をこすり起きようとした。
「大丈夫だよ、…もっといて欲しいな」
温かい声。
本心のように聞こえた。
最近不安定になってきているのか、泣きそうになった。
ぼくはハルにしがみつく腕を強くし、目をつぶった。
……
あれから時が過ぎていく。
若い店員に「キャッキャッ」と話しかけられ、作り笑顔で断っているハル。
その様子を窓越しで見ながら、僕は溶けかけの雪を蹴った。
パッ、と水が散る。
…
「ロン。今度は静かな場所に行こうか。誰もいないとこ」
うんざりしたのか、もらった紙を捨て、ぼくに笑いかけながらそう言うハル。
心做しか疲れているように見えた。
外のベンチで、肩に頭を置かれ、目をつぶった状態で話し掛けられる。
「雑音が…多いよね。
どうしたら二人きりになれるのかな。」
「そうだな…」
僕は静かに言った。
そんなつもりなくても、意識が遠くにあると思われたみたいだ。
ハルの目が開く。
さっきまで明後日の方向を見ていたが、このときはハルの顔に見つめていたため、僕はビクッとした。
ハルの口元が、綺麗なアーチを描く。
からかうような、そんな表情を浮かべた。
「ロンも俺のことかっこいいと思う?」
ロン、も…
イラッとし、不味いものを食べたかのように、ロンは顔をしかめた。
前を向く。
「まあ、そうなんじゃないか?」
僕は、吐き捨てるようにそう言った。
…
いつものようにハルに抱きつかれながら、彼の言葉に耳を傾ける。
ハルの言葉は、いつも軽やかで心地いい。
だがこのときは、声に棘を感じた。
ハルの肩で眠りに落ちそうになってた僕は目を開く。
『ロンは、あんまり嫉妬しないよね。』
頭の中でこだまする…
少し不安そうに言っているのが想像できた。
目をパチッと開く。
「…嫉妬してないわけじゃないよ。」
店員に話しかけられていた情景が浮かび上がる。
可愛らしい女性店員二人…
一言で言えば、“不愉快” だった。
ずっと前から、ハルは自分のものという意識があったことに気づく。
もっと 手酷く 突き放せば、いいのに…
ロンの表情の雲行きが怪しくなる。
僕はジ、リッ…と強めに雪を踏んだ。
後ろから近づいてくる気配がした。
背中からロンの体温を感じ…止まる。
珍しく、抱きついてくるロン。
「どうしたの?」
喜んでいそうなハルの声。
僕は強く抱きついた。
…驚いた
ハルは意外そうな顔をした。
「…忙しいのか?」
ロンの声。
心配しているようで、上目遣いで見られる。
かわいい…
「うん。まあ~ちょっとね。」
へらっと笑うハル。
うれしそうにロンを膝に乗せ、前から抱き着いた。
「ちょっと休憩。」
グリグリと頭を擦り付けられ、首筋を吸われる。
抱っこしながらハルはうれしそうにニコニコ笑った。
「…?ロン?」
「…」
ロンは、ハルの笑った顔を、変わらない表情で見下ろした。
そしてそれを誤魔化すかのように、前からハルに抱き着いた。
……
目を開く。
トン…トン…と背中を叩かれている。
うつらうつらしていた僕は、体温が高くなっている自分の身体を感じた。
眠たそうと思って、ハルはぼくを寝かしつけてるのだろう。
ハルの肩に頭を預けている。
振り向き、薄目で見たパソコンの画面から、ハルの仕事がまったく進んでいないことに気づく。
結構な時間…経ったのに……
時計も見る。
構ってほしいからとはいえ、自分が邪魔になり過ぎている思い、目をこすり起きようとした。
「大丈夫だよ、…もっといて欲しいな」
温かい声。
本心のように聞こえた。
最近不安定になってきているのか、泣きそうになった。
ぼくはハルにしがみつく腕を強くし、目をつぶった。
……
あれから時が過ぎていく。
若い店員に「キャッキャッ」と話しかけられ、作り笑顔で断っているハル。
その様子を窓越しで見ながら、僕は溶けかけの雪を蹴った。
パッ、と水が散る。
…
「ロン。今度は静かな場所に行こうか。誰もいないとこ」
うんざりしたのか、もらった紙を捨て、ぼくに笑いかけながらそう言うハル。
心做しか疲れているように見えた。
外のベンチで、肩に頭を置かれ、目をつぶった状態で話し掛けられる。
「雑音が…多いよね。
どうしたら二人きりになれるのかな。」
「そうだな…」
僕は静かに言った。
そんなつもりなくても、意識が遠くにあると思われたみたいだ。
ハルの目が開く。
さっきまで明後日の方向を見ていたが、このときはハルの顔に見つめていたため、僕はビクッとした。
ハルの口元が、綺麗なアーチを描く。
からかうような、そんな表情を浮かべた。
「ロンも俺のことかっこいいと思う?」
ロン、も…
イラッとし、不味いものを食べたかのように、ロンは顔をしかめた。
前を向く。
「まあ、そうなんじゃないか?」
僕は、吐き捨てるようにそう言った。
…
いつものようにハルに抱きつかれながら、彼の言葉に耳を傾ける。
ハルの言葉は、いつも軽やかで心地いい。
だがこのときは、声に棘を感じた。
ハルの肩で眠りに落ちそうになってた僕は目を開く。
『ロンは、あんまり嫉妬しないよね。』
頭の中でこだまする…
少し不安そうに言っているのが想像できた。
目をパチッと開く。
「…嫉妬してないわけじゃないよ。」
店員に話しかけられていた情景が浮かび上がる。
可愛らしい女性店員二人…
一言で言えば、“不愉快” だった。
ずっと前から、ハルは自分のものという意識があったことに気づく。
もっと 手酷く 突き放せば、いいのに…
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