溺愛攻めを怒らせた

冬田シロクマ 

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営み のあと

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グイッと身体を起き上がらせられ、ハルにしがみつく。
嬉しそうに笑うハル。
「ふふっ」と優しい笑い声がした。

「かわいいね。
もう少しだけ我慢したら終わるからね。」

少しの希望が見えた。が、その言葉を合図に、好き勝手に中をズボズボと動かされる。

「あッ…ゔぁ…あッ…ああッ!やめろ…ッ!!…お願ッ!やめてえッ…!!」



いつもどおり玩具のように、激しくされた。
ぐったりしているロンは、無言でハルに責めるような目を向ける。

言っていたことが違う。
ハルは顔を傾け、ニコ、と嬉しそうに笑った。

「気持ちよかったね。」

満足そうだな…
ああ…だめだ、言ったことが全然伝わってない

今日は、「もうしたくない」と言ったはずだった。
ロンはイラッとし、責めるような目を続けた。
ロンは機嫌が悪そうだが、ハルは意に返した風は無い。

「俺は気持ちよかったよ?」

ロンの頬にキスをする。

「やめっ…!」

ゾッとした。
真っ暗な冷たい目。
ヒュッ、と喉に冷たい空気が入る。

ニコッ

「いい子にしようか。」

「あ…あ…」と怯えたロン。
それに、片手で顎を掴む。
凍てついた氷のような、ハルの瞳は変わらない。

頬…のど…髪の毛…と順々に口づけをし、最後に小さな赤みを帯びた唇にキスをした。

「ゔ…」

ブルッと身体が震える。
嫌なのに、ゾクッ…と身体が喜んだ。
だが身体とは裏腹に、心は荒んでいた。
…生理的な涙がこぼれ落ちた。

怖い
でも… 
怖くなったのは…僕のせいでもある…

ロンは苦しそうに目を開く。
ハルの、優しいそうな…相変わらず綺麗な顔がそこにあった。
今まで顔で誤魔化して来たんだろうな、と思った。
だが今までハルと噂があった人は、僕の恋人だけだったと思い返す。
ワンコのような、僕しか見ていない顔。
それが色んなものに目を向けるようになった。

アリサ…元カノ……

顔が思い浮かび、パッと消える。
ハルの髪をなでた。

本当に損な生き方してるなぁ

……哀れな目を向けてくるロン。

「?」

近づき、またロンにキスを再開する。

「………?」

ロンの、髪の毛をなでる手が優し過ぎる。

「どうしたの?その表情」

僕はハルに対して、心配そうな…そして苦しそうな顔になっていた。
笑うハル。
僕は、顔をなんとか動かし、ハルのいない方を向いた。

「ねぇ、こっち向いて。」
「…」
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