溺愛攻めを怒らせた

冬田シロクマ 

文字の大きさ
上 下
87 / 108

[他案の続] 完全に弱っているロン

しおりを挟む
「…?……ハ、ル…?」

ヤバい、かわいい…

ニヤける。
俺は、口元を覆うように隠した。

「?」

疲れ切って、ぽやんとしたロン。
ハルは、涙のあとがついたロンの頬を、指でなでた。
「ふふっ」と笑う。

「俺はロンのこと、とても大切に思ってるよ。」

いつもの優しい表情で言われた。
僕はまだ頭が回らず、「…?」という顔をしていた。

「そして…可愛がりたい」

ロンの暗髪を優しくなでる。
ボッーとしたロンの瞳。
ハルはロンの顔をそっ…と動かし、こっちを向かせた。
ピントが合った。

ハルと目が合う。
とてもとても優しい瞳…

「それと、いじめたいし泣かせたい……ごめんね。」

ハルは、僕の顔色をうかがっている。

「…?」

ぼくはなにを言われたのか、聞き逃した。
だけどあとから時間差で、なにを言われたのかわかった。
ロンは目に見えて、ゆっくり怯えた顔になる。

「…ごめんね。」

ハルは愛おしそうな顔をしていた。
また、優しくなでる。
恐怖を感じながらも、気持ちよさに心を預ける。

ハルの手が気持ちいい…
…だめだ。考えなきゃ。言わなきゃ

なんとか口を開き、口を動かした。

「ちが、そういんじゃ、なく、て…」
「うん?」

優しく言われる。
ハルの瞳も相槌も優しい。
ぼくは勇気を振り絞って言う。

「それ、は…やだ…」

ハルのなでる手が、止まった。



「そっか。でも、おれはそれ以外で、好きなのを表現する方法を知らない。」

ハルの綺麗な顔が近づく。
顔をそむけた。

「ロン?」

口の横に、フワッとした優しいキスをされた。
心配そうにこっちを見られる。
ぼくは、ジッとハルを見た。

「ぼくのお願いでも?」

考えが変われ…と念じてみる。
優しくしないと、ハルのこと嫌いになるかかもよ、と案に言っていた。

ハルは考えたような顔をした。
思考を動かしているのだろう。
そして優しくほほえむ。
美しい笑みに、思わず見惚れた。

「うん…無理だね。ロンのことはいじめたいし、いっぱい泣かせたい。」

ニコッと笑い言うハルに、ロンは絶望の淵に落とされた。

え…なんで…?と言う顔をしている。

やわらかい唇が当たった。
ロンは目をつぶり、唇を固くしている。
ハルは、また笑った。 
ロンの頬をツゥーと指で、なでる。

熱い舌が侵入し、中まで入った。
僕は息をしたくて必死で、口元で抵抗する。口元を軽く噛まれる。

「う…ぁ…」

やっと唇が離れた。

「ロンは一番大切だ。」

ニコッとほほえむ。
ロンは、意味がわからないような顔をしている。
優しくなでた。
どうすれば伝わるか、考える。

「だから閉じ込めて、俺だけのものにしたいと思った。今でもそう思ってる」

身体が固まる。
ハルに抱擁されながらも、恐怖が蘇ってくる。
いつも幸福に満たされる瞬間で、あるものの、今日のはそうならなかった。

「それは…や」

カタカタと震え、泣き出しそうにこっちを見ている。
そんなロンに、ハルは冷たい視線を浴びせた。
ほほえむ。
ロンはビクッ…!!と反応した。
「大丈夫だよ…」と、小さな頭を包むように撫でる。
額にキスをした。

…なんで?

震えているロン。
かわいくて仕方がない。

「ロン、好き。ほんっとかわいい…」

幸せそうに笑ったハルに、頬ずりをされる。
そして、ロンの頬や、拘束された手の平に、ハルはくちを当てた。
逃げられない状態のロンは、放心し、怯えながらハルからの愛情を甘受する。

「なら…ひどいこと、も…しない、で……おねが…」

ポロッ…と一粒涙が落ちる。
腕の中に閉じ込めながら、ハルは笑う。

「それはできないなぁ」
「な…んで」

ポロポロ落ちる。
心が完全に弱っているロン。

も…やだ…なん、で…

そう思っていると、口元に口づけをされた。 

「愛してるよ」


僕は自分の震える手を、ハルに絡ませられる。
近寄ってくる口元に、口をやわらかくし、抵抗せず受け入れた。

なだれ込むように、ベッドに倒される。
床ドンで、ハルの腕に閉じ込められた後は、また長い長いイタズラが始まった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...