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続々々の後 焦げた目玉き【他案】
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身体を密着され、抱き着かれた。
…さっきのことを思い出し、泣きそうに一瞬なったのだろう。
「大好きだよ。ロン」
「……ん」
一瞬、自分を探していないポスターらの映像が頭をかすめた。
一気に顔が泣きそうになった。
密着し、ハルの肩から顔を出す。
気持ちを落ち着かせるために、窓の外を見た。
無心で、ゆっくり落ちる雪を見つめる。
「なに考えてるの?」
優しくあまい声。
ドキッと心臓がわずかに、跳ねた。
「そと…雪…」
羽毛と一緒にハルに巻き付かれる。
「確かに降ってるねぇ」
チラッと雪の方を見て、ハルは包むように密着してくる。
顔も声も落ち着いて、優しい。
くらくらする温かいハルの温度。
起きたい。
それに…バレたかも。
一人で出たこと
僕は再び丸窓を見る。
雪はシンシンと降り積もっている。
「ロン。どこ行く?今日は。どこでも連れて行ってあげる」
「……うん」
「俺のこと考えてないでしょ。」
ビクッと身体が跳ねる。
「怒ってないから」と軽く笑い、ハルは少し目を開いた。
◇
今のハルは切れ長に見えるカッコいい瞳。
前髪が目にかかり、アンニュイな雰囲気だ。
「…前髪切らないの?」
サラッと触れる。
「うん…?…切ってもいい…よ」
眠そうに言った。
ロンの見ている方向が気になるのか、少し体を起こし、窓の方を見た。
だが僕の身体に身を寄せ、すぐに羽毛の中に戻った。
一緒に、ハルに抱きつかれている僕も、ハルと一緒に羽毛の中にスッポリくるまる。
「…降ってるね。」
起き上がりの甘い声。
胃もたれするようなその声に、目玉焼きにたくさん胡椒を振りかけて、食べたくなった。
ジャー!ジャー!
台所から、騒がしい目玉焼きの音がする。
「ハル起きよう?ホントに焦げる…」
「…ん」
返事だけされる。
抱き着かれていた腕が、少しだけ緩んだ。
それを僕は強引にこじ開け、ハルの身体から出る。
「ずっと一緒だよ…俺とロンは」
ゆったりと言われた。
ハルの瞳は眠そうに、でも僕を捉えていた。
「………うん」
ロンは結構な時間固まり、頷いた。
これは…バレてるな。
◇
『出てってよッ!!あんたなんかッ!』
「……っ」
瞳を閉じる。
嫌な記憶が思い出された。
頭痛の痛みが、ぶり返す。
あの女の声。
また強く目を閉じた。
違うことを考えるように、思考を他のことに移す。
何度も何度も謝る、あの昔の小さな自分。
「ああッー!!もうッ!!!」
低い声で叫ぶ。
僕の目玉焼きを作っていたハルが、ギョッとした目でこっちを向いた。
「…焦げたのは俺が食べるよ。」
「いいや。食べられる。これくらい」
声が震える。
奥歯を食いしばった。
ハルのこっちを見る目が離れない。
こっちを、見るなッ…!
「ずっと俺と一緒にいるのいや?」
微笑んでいるハル。
声は悲しそうに聞こえた。
「そうじゃない」
低く言う。
「そうだね。…ごめん」
今までしたことに罪悪感があるのか、静かに言われた。
どんどん積もってくる雪。
このままでは、雪で家が埋もれそうだ。
「それでも…いいかもしれないな」
「え?」
ハルの両腕をゆっくり引っ張る。
背伸びをし、不意にハルにキスをした。
子どものような軽いキス。
そしてロンはぎこちない笑顔を、ハルに向けた。
「大丈夫だよ。僕は、ちゃんとハルのこと好きだから」
僕を必要としてくれるのは、ハルだけだから。
…さっきのことを思い出し、泣きそうに一瞬なったのだろう。
「大好きだよ。ロン」
「……ん」
一瞬、自分を探していないポスターらの映像が頭をかすめた。
一気に顔が泣きそうになった。
密着し、ハルの肩から顔を出す。
気持ちを落ち着かせるために、窓の外を見た。
無心で、ゆっくり落ちる雪を見つめる。
「なに考えてるの?」
優しくあまい声。
ドキッと心臓がわずかに、跳ねた。
「そと…雪…」
羽毛と一緒にハルに巻き付かれる。
「確かに降ってるねぇ」
チラッと雪の方を見て、ハルは包むように密着してくる。
顔も声も落ち着いて、優しい。
くらくらする温かいハルの温度。
起きたい。
それに…バレたかも。
一人で出たこと
僕は再び丸窓を見る。
雪はシンシンと降り積もっている。
「ロン。どこ行く?今日は。どこでも連れて行ってあげる」
「……うん」
「俺のこと考えてないでしょ。」
ビクッと身体が跳ねる。
「怒ってないから」と軽く笑い、ハルは少し目を開いた。
◇
今のハルは切れ長に見えるカッコいい瞳。
前髪が目にかかり、アンニュイな雰囲気だ。
「…前髪切らないの?」
サラッと触れる。
「うん…?…切ってもいい…よ」
眠そうに言った。
ロンの見ている方向が気になるのか、少し体を起こし、窓の方を見た。
だが僕の身体に身を寄せ、すぐに羽毛の中に戻った。
一緒に、ハルに抱きつかれている僕も、ハルと一緒に羽毛の中にスッポリくるまる。
「…降ってるね。」
起き上がりの甘い声。
胃もたれするようなその声に、目玉焼きにたくさん胡椒を振りかけて、食べたくなった。
ジャー!ジャー!
台所から、騒がしい目玉焼きの音がする。
「ハル起きよう?ホントに焦げる…」
「…ん」
返事だけされる。
抱き着かれていた腕が、少しだけ緩んだ。
それを僕は強引にこじ開け、ハルの身体から出る。
「ずっと一緒だよ…俺とロンは」
ゆったりと言われた。
ハルの瞳は眠そうに、でも僕を捉えていた。
「………うん」
ロンは結構な時間固まり、頷いた。
これは…バレてるな。
◇
『出てってよッ!!あんたなんかッ!』
「……っ」
瞳を閉じる。
嫌な記憶が思い出された。
頭痛の痛みが、ぶり返す。
あの女の声。
また強く目を閉じた。
違うことを考えるように、思考を他のことに移す。
何度も何度も謝る、あの昔の小さな自分。
「ああッー!!もうッ!!!」
低い声で叫ぶ。
僕の目玉焼きを作っていたハルが、ギョッとした目でこっちを向いた。
「…焦げたのは俺が食べるよ。」
「いいや。食べられる。これくらい」
声が震える。
奥歯を食いしばった。
ハルのこっちを見る目が離れない。
こっちを、見るなッ…!
「ずっと俺と一緒にいるのいや?」
微笑んでいるハル。
声は悲しそうに聞こえた。
「そうじゃない」
低く言う。
「そうだね。…ごめん」
今までしたことに罪悪感があるのか、静かに言われた。
どんどん積もってくる雪。
このままでは、雪で家が埋もれそうだ。
「それでも…いいかもしれないな」
「え?」
ハルの両腕をゆっくり引っ張る。
背伸びをし、不意にハルにキスをした。
子どものような軽いキス。
そしてロンはぎこちない笑顔を、ハルに向けた。
「大丈夫だよ。僕は、ちゃんとハルのこと好きだから」
僕を必要としてくれるのは、ハルだけだから。
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