溺愛攻めを怒らせた

冬田シロクマ 

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続々々の後 焦げた目玉き【他案】 

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身体を密着され、抱き着かれた。
…さっきのことを思い出し、泣きそうに一瞬なったのだろう。

「大好きだよ。ロン」
「……ん」

一瞬、自分を探していないポスターらの映像が頭をかすめた。
一気に顔が泣きそうになった。

密着し、ハルの肩から顔を出す。
気持ちを落ち着かせるために、窓の外を見た。
無心で、ゆっくり落ちる雪を見つめる。

「なに考えてるの?」

優しくあまい声。
ドキッと心臓がわずかに、跳ねた。

「そと…雪…」

羽毛と一緒にハルに巻き付かれる。

「確かに降ってるねぇ」

チラッと雪の方を見て、ハルは包むように密着してくる。

顔も声も落ち着いて、優しい。
くらくらする温かいハルの温度。

起きたい。
それに…バレたかも。

一人で出たこと

僕は再び丸窓を見る。
雪はシンシンと降り積もっている。

「ロン。どこ行く?今日は。どこでも連れて行ってあげる」
「……うん」
「俺のこと考えてないでしょ。」

ビクッと身体が跳ねる。
「怒ってないから」と軽く笑い、ハルは少し目を開いた。



今のハルは切れ長に見えるカッコいい瞳。
前髪が目にかかり、アンニュイな雰囲気だ。

「…前髪切らないの?」

サラッと触れる。

「うん…?…切ってもいい…よ」

眠そうに言った。
ロンの見ている方向が気になるのか、少し体を起こし、窓の方を見た。
だが僕の身体に身を寄せ、すぐに羽毛の中に戻った。
一緒に、ハルに抱きつかれている僕も、ハルと一緒に羽毛の中にスッポリくるまる。

「…降ってるね。」 

起き上がりの甘い声。
胃もたれするようなその声に、目玉焼きにたくさん胡椒を振りかけて、食べたくなった。

ジャー!ジャー!

台所から、騒がしい目玉焼きの音がする。

「ハル起きよう?ホントに焦げる…」
「…ん」

返事だけされる。
抱き着かれていた腕が、少しだけ緩んだ。

それを僕は強引にこじ開け、ハルの身体から出る。

「ずっと一緒だよ…俺とロンは」

ゆったりと言われた。
ハルの瞳は眠そうに、でも僕を捉えていた。

「………うん」

ロンは結構な時間固まり、頷いた。

これは…バレてるな。



『出てってよッ!!あんたなんかッ!』

「……っ」

瞳を閉じる。
嫌な記憶が思い出された。
頭痛の痛みが、ぶり返す。
あの女の声。
また強く目を閉じた。
違うことを考えるように、思考を他のことに移す。  

何度も何度も謝る、あの昔の小さな自分。

「ああッー!!もうッ!!!」

低い声で叫ぶ。
僕の目玉焼きを作っていたハルが、ギョッとした目でこっちを向いた。

「…焦げたのは俺が食べるよ。」
「いいや。食べられる。これくらい」

声が震える。
奥歯を食いしばった。
ハルのこっちを見る目が離れない。

こっちを、見るなッ…!

「ずっと俺と一緒にいるのいや?」

微笑んでいるハル。
声は悲しそうに聞こえた。

「そうじゃない」

低く言う。

「そうだね。…ごめん」

今までしたことに罪悪感があるのか、静かに言われた。
どんどん積もってくる雪。
このままでは、雪で家が埋もれそうだ。

「それでも…いいかもしれないな」
「え?」

ハルの両腕をゆっくり引っ張る。
背伸びをし、不意にハルにキスをした。
子どものような軽いキス。
そしてロンはぎこちない笑顔を、ハルに向けた。

「大丈夫だよ。僕は、ちゃんとハルのこと好きだから」

僕を必要としてくれるのは、ハルだけだから。
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