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「暴れたな~ロン」

距離が近い友人に肩を組まれ、馴れ馴れしく話し掛けられる。

あの約束をたがえた一人だ。

「お前のせいで散々な目にあったんだけど」

低く怒ったような声を出す。

「仲直りさせようと思ったんだよ。
ハル可哀想なほど反省してたし…。」

ロンの怒りが、薄々伝わったのだろう。
少し怯えて、上目遣いに切り替わる。
ロンはイラッとした目で、ソイツを見た。

「噂通りだと思ってるのか…?」

友人はまたもや言った。
僕の表情を見て「え?マジ?」と驚いている。

「ハルが本当にそんなことするか?」
「するよ。…したよ。見たし」

言い終わり、ソイツのもっていたコーヒーミルクをグビッと飲み干す。
その友人は「あーあ」と言い、手に負えないと、両手をヒラヒラしてみせた。
 


「なんで…?アイツならいいの?」

ハルは優しく笑う。
怒っていることは分かった。


「ロン」

声で分かった。
僕は反射的に、声がしなかった方へ走る。
だが遅かったみたいで、ハルに後ろから抱きつくように捕らえられた。

「手ぇ、離せよッ!!」

周りの視線が痛い。
ロンはあふれ出すように、顔を真っ赤にし、怒鳴どなった。

「ロン聞いて?」

余裕を含んだ声。
案の定、ハルは反省したような顔じゃなかった。
やわらかく、笑っている。
ロンは、ギイイと睨んだ。

近くに寄るハル。
大きな影が自分を覆う。
ハルは相変わらず優しく笑った。

「なに…なんなんだよ…!」 

急に捕まえられ、頭が混乱した状態で言った。
ハルは腕を離し、ゆっくりと両手で顔を覆った。

「はああー」

ハルは大きなため息をついた。

「ロン」

名前を呼ばれただけなのに、ビクッと身体が反応する。
その様子を見て、ハルはニコッと笑った。

「……なんで?」

ヤバい

目を見開いて、そう思った。



「ロン、なんで?なんでアイツにベタベタと…それに飲み物も…どうして?」

ニコッと笑うハル。

「っ…」とロンは怖がっている。
畳み掛けるように、ハルはまた優しく言った。

「嫌なはずでしょ?ロンはそういうの。」

まさか アイツは 特別なの?

不安そうな声からは、そう読み取れる。
ハルは、沸騰しそうな内側を隠し、ニコニコと笑っている。

僕は、面倒くさいことになった…と考えていた。

なんとか怒らせないよう、話を微妙に変える。

「……本は…手渡してきた本は、関係あるのか?それと」

この前、手渡された男同士の恋愛本。

関係あるんだったら…あの友人と僕が、そんな関係だと揶揄って、あんなプレゼントをしたのか?

疑うような目でハルを見る。
ニコッと、綺麗な顔で笑うハル。
ギクッと何故か動揺した。

『俺の質問に答えてもらってないんだけど』

言おうか迷った。
だけどやめる。

「読んだの?早いねぇ」

子どもに言うような言い方。
僕は思いっきり、イラッとした。

あの本を読んだ日の夜、考え過ぎて眠れなかった…!

ギリッと悔しそうに、ハルを見るロン。
ハルは下を向き、考えてから…僕を見た。

「察することが、できるかなぁって。」

ハルは、やわらかい笑みを浮かべた。
「ふふっ」と笑う。

「はあ?」
「無理かな。鈍感なロンは」
「さっきからなに、ごちゃごちゃ言ってっ…」
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