溺愛攻めを怒らせた

冬田シロクマ 

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信頼

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「俺の家だったら、いつでも歓迎するから。ほとんど留守だし…俺の親」

心配そうに見られているのが、暗闇でもわかる。
ハルの声は、低くかすれていた。

「ああ…ありがと」

ロンは微かに微笑んだ。



家にいたくないと言うロンに、そう提案した。
彼女が最近、泊めてくれないらしい。

ボッーとするロン。
意識が遠くにあるようだった。

「ロン?」

手の甲を、ロンの頬にピト…と当てる。
ロンの「え」と言う顔。

「…ごめん」

調子乗った…

俺は顔を、うつむける。

暗いのと、下を向いてるので、ハルの顔がよく見えない。
だが…泣いてるような声だった。

「どうしたんだ?ハル。最近おかしい」

心配そうに、俺を慰めるように笑うロン。
ハルは泣きそうで、切実な目だった。

暗闇で…ほんと、よかった。

好きだよ。ロン

言えない言葉を胸に、ロンにのしかかる。
「重いよ?」と笑っている。

「ロン…」

自分の声が震えていたのか、慰めるように頭を撫でられた。
嬉しくて、と他の感情で、俺はますます泣きそうになった。

「ロン…ずっと俺の傍にいてね」



「…どういうこと?」

ロンに、軽蔑した瞳を向けられた。
声からは信じられないと言った、主旨が滲み出ている。

俺は「はぁ」と息を吐いた。
そしてニコッ微笑む。

ロンが少し、たじろいだ気がした。 


「ごめん。あの子は…全然俺の話聞かないで、一方的に言われたんだ。」
「…」

俺と付き合うために、ロンと別れると言った子がいた。
俺は「そっか」としか言わなかった。

「ロン…」

手を伸ばす。
ロンは一歩、後ろに引いた。

無理かな…

ロンの顔をよく観察する。

迷っている。
複雑な表情。

ロンの彼女と、俺

天秤に掛けられてると感じた。



「ハル…今後一切、僕の彼女に関わるなよ」

渋々といった感じで許される。

「…分かった。ありがと。許してくれて」

優しく笑う。

僕は、反省してんのか…?と思い、イラッとした。

窓を見た。
ビュンビュンと、風が強めに吹いていた。

「寒いねぇ」

ハルは、いつもの調子で言った。

ロンは、俺の言葉を無視し、教室をスタスタと出ていった。



ハル「はぁ…」

片手で自分の髪を強めに掴んだ。
少し痛みを感じる程に引っ張る。

自分の鋭い瞳が、スタスタと歩く、ロンの背中を貫いた。

…いつまで、誤魔化せるだろうか。

ロンの彼女との、接触禁止例まで出てしまった。 

「どうしよ…」



「おい、ロン」
「仲良くしろよー、空気悪くなるぜ」

二人の男友達。
関わりたくなくて、僕はハルを避けまくる。

その彼女のことだけではなくて、ハルのことも信じられなくなっていた。

「ロン…ごめん」

腕を掴み必死に言われた。
前と調子が全然違う。

「なぁ~謝ってるだろ?」と外野がうるさい。

「ロン…ごめん…悪かったと思ってる」
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