溺愛攻めを怒らせた

冬田シロクマ 

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「僕のおっぱい、いじめてください」
「ふふっ、…なに?」

うつむいたロンは小さな声で言った。
だがこんなに近くにいるんだ。
届いてるだろう。
だがハルはニコニコと愉しそうに、聞こえない振りをする。

「…っ…だからっ!」
「ん?」

っとに、性格悪い…!

キッ!と睨む。
ハルはソファーの持ち手に、頬杖をつく。
嬉しそうに笑っている。

「両手で持って。俺に懇願して」
「…は?」

ロンは、あり得ないと言った表情で固まる。
ハルはニコニコ笑う。
ハルの表情で、冗談じゃないことがわかった。

…まだやる前だというのに、ロンはカアアアと真っ赤になっている。
屈辱的に、顔をしかめ、地面を見ている。
ハルは、ロンの顔をしっかり見たくて、体を傾け、ロンの顔を覗き込む。
フイッと顔を背けられた。

恥ずかしそう…かわい…

ロンの頬に、スリッ…と優しく触れる。
ロンのキメ細やかで赤くなった肌。

これを見れただけで、いつもなら満足するが…

ロンの恥ずかしそうな表情を見て、ハルはニコッと笑った。

アリサの「ロンも楽しんでいたよね?!」と言った言葉を思い出した。
イライラが募る。
これだけじゃ気が済まない。

「ロン」

ロンの顎を掴む。
恥ずかしいからか、目は滲んでいた。
勘弁してくれ…と懇願されているようだ。

かわいいけど…俺以外とデートしたことを、許せるはずもない。

ハルはニコッと笑う。
ビクッッ!といつも以上にロンは怯える。

ロンはゆっくりと、震える手を無い胸に添える。
ハルの目を見る。
冷たいハルの目は、「早くやれ」とせっついているようだった。

「…なめてほしい…ッ……おっぱい…」

最後の方の言葉は、泣きそうで濁音が混じっていた。

声も、ロンも震えてる…

ハルはロンの耳元や頬を、コショコショとなでる。

「よくできました」

酷く優しく言った。
ロンは(これで許された…?)といった表情をしていた。



恥ずか死にそうだ…

ニコニコと笑ったハルは、僕の胸に顔を付け、「ペロッ」と僕の胸の間を舐めた。
わかっていても「ヒッ」と声が出る。
思っていた所ではなく、驚いた。
「ふふっ」と余裕そうな笑い声と、余裕そうな表情。
にこやかに、笑う顔に一種の憎しみの色を向けた。
ハルの手は下にも伸びてきた。

カツッ…

「?」

なんか音が…

ハルの手元を見る。
柔らかそうな掛け布団以外、ベッドの上にはなにもない。

「どうしたの」

ハルは優しい表情で僕の顔を、覗き込む。
その表情を見て、溶けるような気持ちになった。

かわいい…それとハルは綺麗だ。
嫉妬深さが無ければ、完璧なのに…

僕は目を細める。
ハルは優しく笑った。 

ハルは黒いベルトの手錠を、右手に掴んでいた。

「好きだよ。」

「僕もだよ…」と言う代わりに、ハルの胸板にグリグリと顔を擦り付ける。
ハルは「ふふっ」と嬉しそうに笑った。
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