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【番外】過去6.1 ハルの深い怒り
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家に入るなり、音もさせずそっと抱かれた。
僕は背筋が凍った。
ドクンと心臓が跳ねた。
「な…なに?」
「前にもこんなことあったね」
怒ってるとは思えない、酷く優しい声。
その記憶は曖昧だったが、僕はコクンと頷いた。
◇
…なにが始まるんだ?
言われるがままに、僕はハルの膝の上に乗る。
大きなハルの肩に、片腕を置いた。
満足したようなハルの表情。
それに少しホッとする。
そして僕は、ハルを抱きしめた。
ハルは僕の背中を、ポンポンと優しく叩く。
体を離し、ロンはいたずらっ子ぽく笑った。
次は機嫌を取るように、僕はハルの柔らかな髪の毛に手を伸ばした。
◇
ニイッと笑うロン。
俺を飼い慣らしているような…ロンの、思い上がった表情に、少しばかり、嗜虐性を刺激された。
◇
…?なに?
ロンは怪訝な顔をする。
ハルの髪に、触れようとした手は髪に届く前に掴まれた。
ニギニギとイヤラシく触られる。
…立ってしまわないように心を鎮める。
ハルはニコッと笑った。
僕も釣られて、ぎこちなく笑う。
何故か逃げたい気持ちになった。
こんなにハルは機嫌が良さそうなのに…
この不安な気持ちは、取り越し苦労であることを祈った。
◇
「悪いと思ってるんだよね?ロンは。
あんなに泣いてたし」
さっきハルから逃げ、少しはねた髪の毛をハルに優しく整えられる。
…「泣いてたし」というのは余計だ、と思いつつも僕は素直に頷く。
「そっか~」
ハルは嬉しそうに笑う。
少し、意地悪げな…嗜虐的な色が顔を覗かせる。
本当に…機嫌は直ったのか?
不安はどんどん広がっていく。
その不安はよそに、ハルは戯れるように、ほっぺ、口と軽くキスする。
くすぐったいのか、ロンは少し体を縮こませた。
「ロン…俺のこと好き?」
何度も聞かれるこの言葉。
酷く不安そうな、今にも捨てられる子犬のような表情。
何回聞くんだ…
内心うんざりしながらも、優しい僕は答えてあげる。
「当たり前だよ」
僕は安心させるように、優しく笑った。
ハルの、キラキラした明るい瞳に綺麗な顔。
嘘をつくことに、珍しく罪悪感を感じた。
…僕は誤魔化すようにハルに抱き着いた。
「好き」
僕は言った。
ハルに頭を撫でられる。
機嫌は直ったのかな…?
とても…凄くホッとした。
◇
『好きで付き合ってるんじゃない』
わかっているつもりだったが、この言葉は心をえぐる。
ロンの頭を、なでる。
今言ってくれた言葉が、本音だったらどんなにいいか…
俺は、ロンに気づかれないように、自分より色素の濃い頭にキスをした。
◇
「ロン」
僕は顔を上げる。
ハルは優しく笑っていた。
「戯れて遊ぶのもいいけど、いつもはやってくれないことやってほしい。」
ハルの笑顔に嫌な予感が募っていく。
眠たいと思いながらも、心がザワザワとうるさい。揺れる。
「…?やってくれないこと?」
背中をずっと擦られたりするのが、気持ちよかったのか、目が少しトロンとしている。
このまま優しくしてもいいが…
ロンの細い腰をなでる。
艶っぽい触り方にロンは、「?」という顔をする。
「するの?」
ポヤンとしたロンの顔。
…一度だけ酷くしてみたい
「うん。その前に舐めてほしい。俺の」
ハルは、なんでもないことのように言う。
ニコッと笑った。
この時見惚れ、なにを言われたのかハッキリわからなかった。
◇
「…はあ!?」
大きな声を出した後、ロンは脳がフリーズしたように固まってしまった。
「ロン?」
ハルは可笑しそうに、ロンをツンツンとつつく。
「…え?舐めるって…」
戻ってきたロンは、あり得ないといったように言う。
言い終わった後、引き続きロンは目を見開いたまま、時が止まっているようだった。
ハルは「ハハッ」と笑う。
「なに、ふざけたことを…」
「俺は、なんにもふざけてないよ。」
優しげに笑う。
ニコッと笑った顔に「ああ…まだ怒ってるんだ」と、引き攣った笑みを浮かべた。
僕は背筋が凍った。
ドクンと心臓が跳ねた。
「な…なに?」
「前にもこんなことあったね」
怒ってるとは思えない、酷く優しい声。
その記憶は曖昧だったが、僕はコクンと頷いた。
◇
…なにが始まるんだ?
言われるがままに、僕はハルの膝の上に乗る。
大きなハルの肩に、片腕を置いた。
満足したようなハルの表情。
それに少しホッとする。
そして僕は、ハルを抱きしめた。
ハルは僕の背中を、ポンポンと優しく叩く。
体を離し、ロンはいたずらっ子ぽく笑った。
次は機嫌を取るように、僕はハルの柔らかな髪の毛に手を伸ばした。
◇
ニイッと笑うロン。
俺を飼い慣らしているような…ロンの、思い上がった表情に、少しばかり、嗜虐性を刺激された。
◇
…?なに?
ロンは怪訝な顔をする。
ハルの髪に、触れようとした手は髪に届く前に掴まれた。
ニギニギとイヤラシく触られる。
…立ってしまわないように心を鎮める。
ハルはニコッと笑った。
僕も釣られて、ぎこちなく笑う。
何故か逃げたい気持ちになった。
こんなにハルは機嫌が良さそうなのに…
この不安な気持ちは、取り越し苦労であることを祈った。
◇
「悪いと思ってるんだよね?ロンは。
あんなに泣いてたし」
さっきハルから逃げ、少しはねた髪の毛をハルに優しく整えられる。
…「泣いてたし」というのは余計だ、と思いつつも僕は素直に頷く。
「そっか~」
ハルは嬉しそうに笑う。
少し、意地悪げな…嗜虐的な色が顔を覗かせる。
本当に…機嫌は直ったのか?
不安はどんどん広がっていく。
その不安はよそに、ハルは戯れるように、ほっぺ、口と軽くキスする。
くすぐったいのか、ロンは少し体を縮こませた。
「ロン…俺のこと好き?」
何度も聞かれるこの言葉。
酷く不安そうな、今にも捨てられる子犬のような表情。
何回聞くんだ…
内心うんざりしながらも、優しい僕は答えてあげる。
「当たり前だよ」
僕は安心させるように、優しく笑った。
ハルの、キラキラした明るい瞳に綺麗な顔。
嘘をつくことに、珍しく罪悪感を感じた。
…僕は誤魔化すようにハルに抱き着いた。
「好き」
僕は言った。
ハルに頭を撫でられる。
機嫌は直ったのかな…?
とても…凄くホッとした。
◇
『好きで付き合ってるんじゃない』
わかっているつもりだったが、この言葉は心をえぐる。
ロンの頭を、なでる。
今言ってくれた言葉が、本音だったらどんなにいいか…
俺は、ロンに気づかれないように、自分より色素の濃い頭にキスをした。
◇
「ロン」
僕は顔を上げる。
ハルは優しく笑っていた。
「戯れて遊ぶのもいいけど、いつもはやってくれないことやってほしい。」
ハルの笑顔に嫌な予感が募っていく。
眠たいと思いながらも、心がザワザワとうるさい。揺れる。
「…?やってくれないこと?」
背中をずっと擦られたりするのが、気持ちよかったのか、目が少しトロンとしている。
このまま優しくしてもいいが…
ロンの細い腰をなでる。
艶っぽい触り方にロンは、「?」という顔をする。
「するの?」
ポヤンとしたロンの顔。
…一度だけ酷くしてみたい
「うん。その前に舐めてほしい。俺の」
ハルは、なんでもないことのように言う。
ニコッと笑った。
この時見惚れ、なにを言われたのかハッキリわからなかった。
◇
「…はあ!?」
大きな声を出した後、ロンは脳がフリーズしたように固まってしまった。
「ロン?」
ハルは可笑しそうに、ロンをツンツンとつつく。
「…え?舐めるって…」
戻ってきたロンは、あり得ないといったように言う。
言い終わった後、引き続きロンは目を見開いたまま、時が止まっているようだった。
ハルは「ハハッ」と笑う。
「なに、ふざけたことを…」
「俺は、なんにもふざけてないよ。」
優しげに笑う。
ニコッと笑った顔に「ああ…まだ怒ってるんだ」と、引き攣った笑みを浮かべた。
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