アイドルの元彼

冬田シロクマ 

文字の大きさ
上 下
31 / 31

sex話し合いゴタゴタ (aiノベリスト使用)

しおりを挟む
セックス…

痛い!

裕介は獣のようにおれに噛みついた。
肩が薄く血で滲んでるのがわかる。

「うあッ!」

陰部を掴まれ、強く掴まれる。
ゔッ、うッ、うっ…と無理やり声が出てしまう。

「はなっ…はなッ…」

涙で頬を濡らし、睨みながら言うソラ。
少し意地悪をしたくなった。

「あぁあッ!!」

尿道に爪を軽く立てられる。
恐怖でブルッと身体が震えた。
鼻水でグシャグシャになるソラ。

「このソラの顔が見たかったんだよ」

顔が近くにきて言う裕介。
ぼくの汚い顔とは正反対で、綺麗の鋭い瞳が僕の涙に濡れた目と合う。
今にもぼくは泣きそうだった。

「ぐっちゃぐちゃのソラの顔が」

思いっきりいい笑顔で言ったゆう。

………もうぼくは逃げ出したかった。

だが、逃げようものなら縄のようなもので縛られるだろう。
サド傾向のある裕介。
身動きできない状態にされたらやり過ぎる……
しかもおれは助けを呼べない状態…

絶望がじんわり襲ってくる。
話し合いながら、セックスに移行したこの状態。
裕介の笑顔に、嫌な予感がしたが………

挑発しなきゃよかったと遅い後悔が胸の内で膨らむ。

「ソラ」

優しい声に前を向く。
大丈夫?と汗を帯びた髪の毛に触れられ、思考を手放しそうになった。
「ソラ、好きだよ」
ぼくは目を見開き、裕介と目を合わせる。
嘘ではない目。
本当に好きだという目だった。
 
仕事より?

おかしなことを口走りそうになった。

裕介は、仕事よりソラが好きだよと言うに決まっている。
ゆうは目先の欲望に気を取られ、本当に大事なものを見失いつつある。
裕介の、ぼくを好きな気持ちは本物だ。
だが……
「ソラは?」
ゆうがぼくの目を見る。

「ソラも、なにより大事なものは俺だよね? 」

喉の奥が少し息苦しくなった。
ぼくは……ゆうになんて言えばいい? 
ゆうは仕事よりぼくをとる。
ずっと一緒にいられるためなら、バカバカしい芸能界からもおさらばする。

そう平気で言いそうなのが見てとれた。
だけど、僕は違う。
目立つゆうを遠くにやって、ひとり静かに過ごしていたい。

……じゃあ、なんで今こんな状態なんだ? なんで抵抗しないんだ? なんで受け入れてるんだ? なんでこんなに嬉しくなってしまうのだろう。

「ソラ」

名前を呼ばれハッとする。

「ソラは、俺を選ぶよね?」

ゆうの瞳が不安げに揺れる。

ぼくは……ゆうすけがぼくを好きなら、ぼくもゆうを好きになれるのか? 
いや……違うな……
ゆうすけがぼくを好きでいてくれるなら、ぼくも裕介を好きでいられる気がするんだ。
だから、今この状態でも抵抗できないでいる。

「ねぇ」

ゆうの声がする。

「なんで答えてくれないの?」

あ、と声を漏らすと、ゆうはまた目に涙を溜めていた。

「ソラは俺のこと嫌い?」

違う、と首を横に振る。

「じゃ、好き?」

ぼくはまた首を横に振った。
ゆうはぼくの頬を掴み、無理やり目を合わせる。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

KPOPアイドルは執念深い

のす
BL
KPOPアイドル×ファン

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

トップアイドルのあいつと凡人の俺

にゃーつ
BL
アイドル それは歌・ダンス・演技・お笑いなど幅広いジャンルで芸能活動を展開しファンを笑顔にする存在。 そんなアイドルにとって1番のタブー それは恋愛スクープ たった一つのスクープでアイドル人生を失ってしまうほどの効力がある。 今この国でアイドルといえば100人中100人がこう答えるだろう。 『soleil』 ソレイユ、それはフランス語で太陽を意味する言葉。その意味のように太陽のようにこの国を明るくするほどの影響力があり、テレビで見ない日はない。 メンバー5人それぞれが映画にドラマと引っ張りだこで毎年のツアー動員数も国内トップを誇る。 そんなメンバーの中でも頭いくつも抜けるほど人気なメンバーがいる。 工藤蒼(くどう そう) アイドルでありながらアカデミー賞受賞歴もあり、年に何本ものドラマと映画出演を抱えアイドルとしてだけでなく芸能人としてトップといえるほどの人気を誇る男。 そんな彼には秘密があった。 なんと彼には付き合って約4年が経つ恋人、木村伊織(きむら いおり)がいた!!! 伊織はある事情から外に出ることができず蒼のマンションに引きこもってる引き篭もり!?!? 国内NO.1アイドル×引き篭もり男子 そんな2人の物語

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

BlueRose

雨衣
BL
学園の人気者が集まる生徒会 しかし、その会計である直紘は前髪が長くメガネをかけており、あまり目立つとは言えない容姿をしていた。 その直紘には色々なウワサがあり…? アンチ王道気味です。 加筆&修正しました。 話思いついたら追加します。

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

処理中です...