アイドルの元彼

冬田シロクマ 

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好き勝手

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「どう?気に入った?」

 振り向き、爽やかな笑顔で聞いてくる。
ぼくは眩しくて、目を細めた。

「うん、…綺麗だ。」

 充分に回っていない頭では、そう言うのが精一杯だった。
 
とっても静かな、ホテルのような大きな家…

 自分の生活とかけ離れ過ぎて、ピンと来ない。
 だけど裕介の内面とは、よく合っている。
潔癖さがかんが見える。
白く、大きな建物……

「よかった」 

優しい瞳で見つめてくる裕介。
意を決して言った。

「いつまで…ここにぼくを居させる気?」

刺激しないようにやわらかく言ってみる。
 だが、無意識に、一瞬面倒くさそうな顔をしたのだろう。
 裕介はあからさまに口角を上げ、ニコッとほほえんだ。
 CMで見るような作り笑顔で、ぼくは怖くてビクッと反応した。

「ずっと。俺が飽きるまで」
 
 語彙が強い…
 ソラはたじろぐ。

「そ、そうか…」

壁を見上げて誤魔化した。

「フッ、…そうか?」

 笑った裕介に、ソラは挙動不審になった。

「危機感全然持ってないね。ソラは」

 怒ってるのにほほえみ、近づいてくる裕介。
ソラは裕介の歩幅に合わせ後ろに下がった。
面白がっている感じのゆうに、違和感を覚える。
 トンッ…と背中に壁に当たった。
 変な汗が絶え間なく出、視線がせわしなく動いた。
 裕介の手が、ぼくの耳の近くの壁に固定される。
近付いてくるゆうに、ソラ観念したように目を閉じた。
だけど、キスされるわけでもなく、澄んだ声が響く。

「……ソラは、もう僕に飽きたかもしれないけどね。」

裕介は切なく言った。
演技がかった言い方で、ぼくは裕介を睨む。
ふ、と笑った裕介にぼくは釘付けになった。
とってもまばゆい笑みだった。
……
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