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一話 雨
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ザーザー振り。
ポチャン…ポチャンと、水溜りをわざとのように踏む人間がいた。
なんでこんなところに…と言う気持ち。
そしてなにか楽しいこと起こるのかな、とワクワクする気持ちも膨らんでいった。
ぼくは丸窓から覗く。
レインコートを着た男が、ズルズルと二つの人程にもある大きな袋を引きずっていた。
僕は腕を二本重ね顎をつく。
まさか、と思いいつつもその男が何をしようとしているのか理解した。
その頃には、その男とバッチリ目が合っていた。
◇
森の中にある一戸建て。
ムーミン家のように何階にもあり、家の中は螺旋階段が連なっている。
夏休み、たまたま別荘に来ていたらこんな災難にあった。
「ねえ、そろそろ解いてくれる?」
僕はへらっと笑う。
レインコートを脱いだ男は、身体中赤黒く染まっていた。
うわぁ…
バサッ
濡れて乾かすためか、レインコートを乱雑に整えようとしている。
「…っ!」
目をギュッと閉じる。
血がパシッ!と自分の顔に飛び散った。
◇
殺人者らしき男は、よくよく見ると思ったより若い…
自分と同い年くらいにも、見えなくもなかった。
突き刺すような瞳で、ソイツは僕を一瞥した。
「…なに、笑ってんだ?」
期待を裏切らないバリトンボイス。
恐怖と好奇心が打ち消し合う。
「殺人者さん。お名前は?」
◇
油断した。
「チッ!」と舌打ちをする。
ニコ、と少年は笑う。
先ほどコイツに巻いていたロープは、今や自分に巻かれていた。
「なにを考えてるの?」
優男は笑った。
その少年は、好奇心を抑えられない様子で俺に質問する。
目はキラキラと輝いていた。
◆
「大丈夫…ですか?なにをしてるの…ぼく?」
近づいて見ると結構背が高く「ぼく」と言われる年齢では無いことがわかった。
だが不安定に見えるうつらな表情は少年ぽい。
「……ヒィッ!!」
血の海が広がっていた。
そこにその少年が膝まづいている。
「ふふ…ふふふ…アイツらを…殺した。血がブアアアってッ…」
瞳孔が開き、興奮を抑えられない様子で少年は言う。
「ねぇ、お姉さんも見たでしょ!?」
明らかにヤバい目で訴えかけられた。
「え…」
恐怖で身をすくめる。
その子に強引に、私の腕を引っ張った。
そして肩を持たれ揺さぶられる。
「見たでしょ!?ねえ!!」
「…う、うん」
「……うっ……う…ゔゔっ…ゔゔ…ゔあああ~」
狂気に満ちた顔が崩れる。
まるで赤ちゃんのような、急な泣き声に驚いた。
「…どうしたの?大…丈夫?」
同じようなことを繰り返してしまう。
この子に関わると危ないことは百も承知だが、心配で背中をさすってしまう。
「ゔあああ~~!!!」
大雅は女性の肩に額を押し当て、泣きはらした。
「…………お母さん」
聞こえないほどの小さな声だった。
◇
テレビで、もしかして…と思う事件を見かけた。
両親を殺したらしい10代の少年。
逃げた後捕まったようだ。
森の民家に逃げてたらしい。
◇
「ねぇ、もっとおしゃべりしよ?まずどこから来たの~?」
殺人者にギリッ!と強く睨まれる。
ニコニコと笑うこの少年。
ヒョロいと思って油断しすぎた…!
自分と同じくらい力が強かった。
「おしゃべりしようよー」
能天気な声がうるさい。
心底ウザそうにその少年を睨んだ。
ポチャン…ポチャンと、水溜りをわざとのように踏む人間がいた。
なんでこんなところに…と言う気持ち。
そしてなにか楽しいこと起こるのかな、とワクワクする気持ちも膨らんでいった。
ぼくは丸窓から覗く。
レインコートを着た男が、ズルズルと二つの人程にもある大きな袋を引きずっていた。
僕は腕を二本重ね顎をつく。
まさか、と思いいつつもその男が何をしようとしているのか理解した。
その頃には、その男とバッチリ目が合っていた。
◇
森の中にある一戸建て。
ムーミン家のように何階にもあり、家の中は螺旋階段が連なっている。
夏休み、たまたま別荘に来ていたらこんな災難にあった。
「ねえ、そろそろ解いてくれる?」
僕はへらっと笑う。
レインコートを脱いだ男は、身体中赤黒く染まっていた。
うわぁ…
バサッ
濡れて乾かすためか、レインコートを乱雑に整えようとしている。
「…っ!」
目をギュッと閉じる。
血がパシッ!と自分の顔に飛び散った。
◇
殺人者らしき男は、よくよく見ると思ったより若い…
自分と同い年くらいにも、見えなくもなかった。
突き刺すような瞳で、ソイツは僕を一瞥した。
「…なに、笑ってんだ?」
期待を裏切らないバリトンボイス。
恐怖と好奇心が打ち消し合う。
「殺人者さん。お名前は?」
◇
油断した。
「チッ!」と舌打ちをする。
ニコ、と少年は笑う。
先ほどコイツに巻いていたロープは、今や自分に巻かれていた。
「なにを考えてるの?」
優男は笑った。
その少年は、好奇心を抑えられない様子で俺に質問する。
目はキラキラと輝いていた。
◆
「大丈夫…ですか?なにをしてるの…ぼく?」
近づいて見ると結構背が高く「ぼく」と言われる年齢では無いことがわかった。
だが不安定に見えるうつらな表情は少年ぽい。
「……ヒィッ!!」
血の海が広がっていた。
そこにその少年が膝まづいている。
「ふふ…ふふふ…アイツらを…殺した。血がブアアアってッ…」
瞳孔が開き、興奮を抑えられない様子で少年は言う。
「ねぇ、お姉さんも見たでしょ!?」
明らかにヤバい目で訴えかけられた。
「え…」
恐怖で身をすくめる。
その子に強引に、私の腕を引っ張った。
そして肩を持たれ揺さぶられる。
「見たでしょ!?ねえ!!」
「…う、うん」
「……うっ……う…ゔゔっ…ゔゔ…ゔあああ~」
狂気に満ちた顔が崩れる。
まるで赤ちゃんのような、急な泣き声に驚いた。
「…どうしたの?大…丈夫?」
同じようなことを繰り返してしまう。
この子に関わると危ないことは百も承知だが、心配で背中をさすってしまう。
「ゔあああ~~!!!」
大雅は女性の肩に額を押し当て、泣きはらした。
「…………お母さん」
聞こえないほどの小さな声だった。
◇
テレビで、もしかして…と思う事件を見かけた。
両親を殺したらしい10代の少年。
逃げた後捕まったようだ。
森の民家に逃げてたらしい。
◇
「ねぇ、もっとおしゃべりしよ?まずどこから来たの~?」
殺人者にギリッ!と強く睨まれる。
ニコニコと笑うこの少年。
ヒョロいと思って油断しすぎた…!
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「おしゃべりしようよー」
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心底ウザそうにその少年を睨んだ。
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