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9 複雑な立場
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「第2王女」
時が止まる。
一泊置いて、わたしの身体は1センチ飛び上がった。
「考えごとか?勉強は?」
圧がある。
ほほえむ王子に、わたしは恐怖で固まった。
だが、味方かもしれないと思い直す。
だって、この国のスパイ学校に…
そう思ったが、お金がなかったら、自分の得になりそうなことならなんでもやりそうだなとも思った。
「今…読んでる。」
片手に持っている教科書を偽王子に見せた。
「へぇ、どこまで?」
その教科書を、第2王女から受け取り、開いていたページを見る。
パラパラとめくっている第一王子。
「…読んで感じたことは?」
ちゃんと読んでいるか確認したかった。
「この国は…酷いことをしたんだと」
暗く言う。
まるで遠い昔のように。
まだそこまで経っていない。
「君の祖先かもしれない。」
「祖先?酷い従者じゃなくて?」
教科書を受け取る。
「周りがした。
碌でもない政治家が操り、王を動かした。
言葉巧みに王を騙し……」
わたしは居心地の悪さを思い出した。
黙って聞いている。
「騙された方にも問題があると思わない?」
飄々と、笑顔で言っている。
わたしは…言葉を選ばなければならないと思った。
「言いたいことは……わたしに罪悪感を持って欲しいのか。
それとも…従者ごときに騙されない王になれとわたしに案に言っているのか。」
後者だろう。
言っている途中で分かった。
「どっちもある。」
綺麗な仕草で立ち上がる。
やっぱり王族の血を引いているとしか思えない。
乱雑さが一切ない。
これは覚えて真似できるものなのだろうか?
優雅で平和なところで育った、ゆっくりとした見た目だけ美しく見える所作。
庶民にはなんの意味も持たない所作だ。
「人のせいにし、全ての罪を誰かに被せられるのは、王族という歴史やイメージを守らなければならない人間の特権だが、わかる人にはわかる。
ここは………この国だと違うが、全世界からは非難轟轟に書かれているページだ。」
淡々と事実を言っているようだ。
わたしは静かに偽王子を見た。
なぜ、居心地の悪さをわたしが感じるのか、あとで自問自答したかった。
「決めたのは政治家だが、王にも発言権があった。
それを使わなかった。
数少ない特権だったのに。
それで、たくさんの他の国の人を犠牲にした。」
「……それで…わたしにどうしろと?
戦争のない世を作れと?」
わたしは静かに言う。
この男の意図が知りたかった。
「そこまでは言ってない。」
近くに座る。
ヒョイと座る様子は、豹のようだと思った。
「君は、王位継承権があることを自覚をすべきだ。
姉がいなくなったら、君が女王。
そんなことぐらいわかっていたはずだ。」
「あなたは…姉が戻って来ないと思ってるの?」
目がキラリと光る。
それが1番聞きたいことだったのだろう。
「さあ、ぼくには分からない。
ただ…」
近くに寄る。
女慣れした雰囲気を感じ、咳払いする。
甘い雰囲気にされるのを恐れた。
「ぼくが殺ったとしたら、あんなに怒ると思うかい?
王位継承者でもない妹と結婚させられて、ぼくはとても腹が立っていたんだ。」
甘い声で言われる。
これは生まれつきだろう。
言われたことを考え、前の出来事を思い起こしてみる。
…確かに、あのときは静かに怒っていた。
大きな苛つきを、内面に隠していた。
時が止まる。
一泊置いて、わたしの身体は1センチ飛び上がった。
「考えごとか?勉強は?」
圧がある。
ほほえむ王子に、わたしは恐怖で固まった。
だが、味方かもしれないと思い直す。
だって、この国のスパイ学校に…
そう思ったが、お金がなかったら、自分の得になりそうなことならなんでもやりそうだなとも思った。
「今…読んでる。」
片手に持っている教科書を偽王子に見せた。
「へぇ、どこまで?」
その教科書を、第2王女から受け取り、開いていたページを見る。
パラパラとめくっている第一王子。
「…読んで感じたことは?」
ちゃんと読んでいるか確認したかった。
「この国は…酷いことをしたんだと」
暗く言う。
まるで遠い昔のように。
まだそこまで経っていない。
「君の祖先かもしれない。」
「祖先?酷い従者じゃなくて?」
教科書を受け取る。
「周りがした。
碌でもない政治家が操り、王を動かした。
言葉巧みに王を騙し……」
わたしは居心地の悪さを思い出した。
黙って聞いている。
「騙された方にも問題があると思わない?」
飄々と、笑顔で言っている。
わたしは…言葉を選ばなければならないと思った。
「言いたいことは……わたしに罪悪感を持って欲しいのか。
それとも…従者ごときに騙されない王になれとわたしに案に言っているのか。」
後者だろう。
言っている途中で分かった。
「どっちもある。」
綺麗な仕草で立ち上がる。
やっぱり王族の血を引いているとしか思えない。
乱雑さが一切ない。
これは覚えて真似できるものなのだろうか?
優雅で平和なところで育った、ゆっくりとした見た目だけ美しく見える所作。
庶民にはなんの意味も持たない所作だ。
「人のせいにし、全ての罪を誰かに被せられるのは、王族という歴史やイメージを守らなければならない人間の特権だが、わかる人にはわかる。
ここは………この国だと違うが、全世界からは非難轟轟に書かれているページだ。」
淡々と事実を言っているようだ。
わたしは静かに偽王子を見た。
なぜ、居心地の悪さをわたしが感じるのか、あとで自問自答したかった。
「決めたのは政治家だが、王にも発言権があった。
それを使わなかった。
数少ない特権だったのに。
それで、たくさんの他の国の人を犠牲にした。」
「……それで…わたしにどうしろと?
戦争のない世を作れと?」
わたしは静かに言う。
この男の意図が知りたかった。
「そこまでは言ってない。」
近くに座る。
ヒョイと座る様子は、豹のようだと思った。
「君は、王位継承権があることを自覚をすべきだ。
姉がいなくなったら、君が女王。
そんなことぐらいわかっていたはずだ。」
「あなたは…姉が戻って来ないと思ってるの?」
目がキラリと光る。
それが1番聞きたいことだったのだろう。
「さあ、ぼくには分からない。
ただ…」
近くに寄る。
女慣れした雰囲気を感じ、咳払いする。
甘い雰囲気にされるのを恐れた。
「ぼくが殺ったとしたら、あんなに怒ると思うかい?
王位継承者でもない妹と結婚させられて、ぼくはとても腹が立っていたんだ。」
甘い声で言われる。
これは生まれつきだろう。
言われたことを考え、前の出来事を思い起こしてみる。
…確かに、あのときは静かに怒っていた。
大きな苛つきを、内面に隠していた。
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