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11 女王の素質

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わたしは、姉を利用している。

甘い汁だけ吸っていたい。
お金も愛情も、もらえる分だけすべて感受したい。
嫌なことから目を逸らし、自分が世界で1番幸せだと思いたい。

そして暗いとこ……自分のせいで誰かが犠牲になる。
自分の誤った判断のせいで、人が大勢死ぬようになる。

王家に生まれれば珍しくないこと。
だけど、わたしはそんな罪悪感を覚えたくなかった。

『お姉さまは…強い。』 

そう言ったことがあった。
姉は「?」と言う顔をし、上品な顔を傾ける。

お姉さまは、自分より下の者が自分の犠牲になってもなにも思わない。
そんなことより、自分が死なない道。
そして王家が滅ばない道を、探し出す。
死んだ人たちのことは振り返らない。
心を痛めず、失敗しても次に活かす。

まるでチェスの駒を動かすように、淡々と非道なことをやってのける姉を、尊敬と同時に畏怖の念。
どっちも感じるようになった。

………昔…姉はわたし1人のために、1つの家族が殺されるのを選んだ。
犯人は元老院だが、その一族を突いたら面倒になるため、なんの罪もない家族に王女殺しという重い罪を着せた。
周りには見せしめとして、その家族親戚に至るまで皆殺しだった。

あれは正しかった、と皆言う。
わたしもそう思う。

それはであるならば。

王家のためなら、死んだことも誇りに思えと姉は言った。
おりの前、姉はいくら酷く罵られても、表情1つ変わらなかった。

『恨むなら、己を守れなかった力の弱さを恨め』と

賢い選択だったとわたし達は言い聞かす。
第二王女を狙ったあの元老院一族は、強大な力と富を持っていた。

しばらく経ったあと、その元老院一族が、王族を呪っている、と虚偽の知らせをし、おとしいれた。
姉は母に褒められ、無邪気な可愛い表情をしていた。

あのときのことを、今もずっと覚えている。
その元老院一族の息子が亡くなり、悲しみに打ちひしがれ、因果応報ってあるんだなと思っていた矢先だった。
従兄弟が台頭し、内部分裂し、その一族が弱まっていたとき、姉の行動は早かった。
……
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