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2 第一王女
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タッタッタッタッ
追いかけられてる夢を見る。
わたしは必死で逃げる。
周りの従者が、わたしを庇って次々に死んでいく。
ある部屋にポツンと小さな人影があった。
「…お姉さま?」
手を伸ばす。
届いたのに、透明でさわれない。
「お姉さまっ!」
心配そうな姉の顔。
姉は霧のように消えた。
◇
バクバクバクッ…
鼓動が早い。
薄暗く、ふくろうの「ホッーホッー」という鳴き声がした。
まだ夜…
「はあああ」
大きなため息をつく。
虚ろうつろし、姉の気配がしないことにまた絶望した。
頭を抱え、また目を閉じよとする。
「やあ」
静かに夜空に響いた。
「うわあッ!!」
飛び起きる。
王子はわたしの声で少し驚いたようで、目を丸くしたのち可笑しそうに「クスッ」と笑った。
「そんなに驚かなくても…
ここにぼくが来ることぐらいわかってただろ?」
美しい顔が月夜に照らされる。
心做しか冷たく見えた。
わたしは息を「ふぅ」と付き、また夜空を見上げる。
姉がいなくて寂しいからか、「綺麗ね…」と声を出していた。
「…そうだね。」と返答が来る。
大きな月で、また姉のことを思い出した。
姉と見たこと、楽しかった思い出…
泣きそうになった。
慰めようとしてか、近くに寄ってくる。
それにビクッと反応した。
「…ぼくのこと嫌い?」
不安そうに言われた。
「いいや…」
暗い声で言う。
自分の気持ちがよくわからなかった。
「…遅れてごめんね。」
優しく笑った気配。
わたしは珍しい気がして、顔を見る。
偽物の笑顔かもしれないと思った。
「全然…かまわないわ」
無難なことを言う。
今日がわたしの命日にならないように。
内心、心を探りながら言わなきゃいけないことに辟易した。
心は遠く、話し続ける。
姉が死んたのなら…もう、生きてる意味があるんだろうか?
顔を傾け、綺麗な顔にジッと見られる。
その時はもう、心ここにあらずで、気づけずにいた。
「大切にされてるね。」
急に話が変わった。
王子は、「クスクス」と子どものように笑う。
わたしは「…?」と思い王子を見る。
王子はヒョイと高い横棒の上に乗った。
目の前に座った。
「ここに来るのが遅くなったわけだよ。
女王様と話をしていたんだ。
警告されたよ。
第2王女を絶対に傷つけるな、とね。
そしたらただじゃ置かない…とも言われた。冷徹な表情で。」
わたしの顔色を、ゆったり見ながら言う。
「…?そう。まあ母親だからね。心配してくれてるんでしょう。」
見てくる目が離れなかった。
なんの意図があるのかまったく読めない。
わたしは怪訝な顔をして、その王子を見た。
「きみは現時点で女王にとても愛されている。跡取りのはずの第一王女よりもずっとね。」
寝起きでボッーとする。
なに?なんの意図が…
……母が姉を殺したと言いたいのだろうか?
ゆっくり王子を振り返る。
王子は至近距離にいた。
その瞳は好奇心と…冷たい感じのもの。
美しい顔で嫌悪感が芽生えにくい。
わたしは少し離れた。
「母は…そんなことしないと思うわ」
静かに言う。
「…姉が恋しい?」
その言葉に心臓が凍る。
なにか知ってるのかと。
「…ええ、そりゃそうよ。」
わたしはうつむきながら答えた。
「そっか。…探してあげようか?」
ニコッとほほえむ美しい王子。
わたしはバッ!とその王子の顔を見る。
王女の強い眼差しに、僕は混乱した。
追いかけられてる夢を見る。
わたしは必死で逃げる。
周りの従者が、わたしを庇って次々に死んでいく。
ある部屋にポツンと小さな人影があった。
「…お姉さま?」
手を伸ばす。
届いたのに、透明でさわれない。
「お姉さまっ!」
心配そうな姉の顔。
姉は霧のように消えた。
◇
バクバクバクッ…
鼓動が早い。
薄暗く、ふくろうの「ホッーホッー」という鳴き声がした。
まだ夜…
「はあああ」
大きなため息をつく。
虚ろうつろし、姉の気配がしないことにまた絶望した。
頭を抱え、また目を閉じよとする。
「やあ」
静かに夜空に響いた。
「うわあッ!!」
飛び起きる。
王子はわたしの声で少し驚いたようで、目を丸くしたのち可笑しそうに「クスッ」と笑った。
「そんなに驚かなくても…
ここにぼくが来ることぐらいわかってただろ?」
美しい顔が月夜に照らされる。
心做しか冷たく見えた。
わたしは息を「ふぅ」と付き、また夜空を見上げる。
姉がいなくて寂しいからか、「綺麗ね…」と声を出していた。
「…そうだね。」と返答が来る。
大きな月で、また姉のことを思い出した。
姉と見たこと、楽しかった思い出…
泣きそうになった。
慰めようとしてか、近くに寄ってくる。
それにビクッと反応した。
「…ぼくのこと嫌い?」
不安そうに言われた。
「いいや…」
暗い声で言う。
自分の気持ちがよくわからなかった。
「…遅れてごめんね。」
優しく笑った気配。
わたしは珍しい気がして、顔を見る。
偽物の笑顔かもしれないと思った。
「全然…かまわないわ」
無難なことを言う。
今日がわたしの命日にならないように。
内心、心を探りながら言わなきゃいけないことに辟易した。
心は遠く、話し続ける。
姉が死んたのなら…もう、生きてる意味があるんだろうか?
顔を傾け、綺麗な顔にジッと見られる。
その時はもう、心ここにあらずで、気づけずにいた。
「大切にされてるね。」
急に話が変わった。
王子は、「クスクス」と子どものように笑う。
わたしは「…?」と思い王子を見る。
王子はヒョイと高い横棒の上に乗った。
目の前に座った。
「ここに来るのが遅くなったわけだよ。
女王様と話をしていたんだ。
警告されたよ。
第2王女を絶対に傷つけるな、とね。
そしたらただじゃ置かない…とも言われた。冷徹な表情で。」
わたしの顔色を、ゆったり見ながら言う。
「…?そう。まあ母親だからね。心配してくれてるんでしょう。」
見てくる目が離れなかった。
なんの意図があるのかまったく読めない。
わたしは怪訝な顔をして、その王子を見た。
「きみは現時点で女王にとても愛されている。跡取りのはずの第一王女よりもずっとね。」
寝起きでボッーとする。
なに?なんの意図が…
……母が姉を殺したと言いたいのだろうか?
ゆっくり王子を振り返る。
王子は至近距離にいた。
その瞳は好奇心と…冷たい感じのもの。
美しい顔で嫌悪感が芽生えにくい。
わたしは少し離れた。
「母は…そんなことしないと思うわ」
静かに言う。
「…姉が恋しい?」
その言葉に心臓が凍る。
なにか知ってるのかと。
「…ええ、そりゃそうよ。」
わたしはうつむきながら答えた。
「そっか。…探してあげようか?」
ニコッとほほえむ美しい王子。
わたしはバッ!とその王子の顔を見る。
王女の強い眼差しに、僕は混乱した。
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