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「わたしは王にはならないわ」
「…ほう」
意味ありげな表情で、興味深げに聞いているイケメン。
わたしの夫となった隣国の坊っちゃんは、わたしが王になり国を乗っ取るつもりで来たらしい。
「どうして?」
ほほえみながら優しく聞かれる。
惹き込まれそうな笑みだった。
「興味ないから。
そういうことなら姉がなる。」
強くハッキリ言った。
「僕はきみに嫁いでしまった。
きみらの国の手違いでね」
語尾を強くし、怒っている。
わたしはそれをうんざりした顔で睨んだ。
だから責任を取れって言うのは、あまりにも傲慢じゃないか?
「頼むよ。僕はきみを気に入ってるんだ」
耳の近くの後れ毛に振れられる。
わたしはパシッと手を振り払った。
目の前の男は「はあ」と息をつく。
まるでわたしが物わかりの悪い子どもだとでも言いたげな顔だ。
言いたくなった。
『わかってるのよ。あなたの魂胆は。』
…
目の前の男を見る。
高い背で整った顔で、容姿が完璧だ。
そして身のこなしもスマートで惹きつけられる。
どう見ても上流階級にしか見えないが…
会ったことがある…
昔わたしが城を抜け出し、スパイ学校に面白がって潜入していたときの話だ。
そのところにいた。
冷めた目をして、すべての人間が同じに見えると言った顔をしていたのに、よくもまあ人は変わるものだ。
一生懸命媚びを売り、優しくほほえむ目の前の王子に化けた男。
瓜二つ?それともあの王様の隠し子かしら?
だけどわたしの直感が当たり、本当にそのスパイだったとしたら…
背筋にひんやりしたものが落ちた。
「…あなたの要求は?」
恐る恐る聞く。
「いなくなった姉の方はもうどうでもいいから、きみが女王になって。
僕が王様になりたい」
無邪気な笑みで言った。
わたしはわかっていたはずなのに、若干引いて狼狽えた。
「そう…」
ぎこちない顔を返すのが精一杯だった。
……
姉は、どこにいったんだろう。
初夜は一人。
そろそろ来るはずの夫は来ない。
それに心がホッとする。
好きでもない人間と結婚し、抱かれるなんてまっぴらごめんだった。
「はあ…」
夜空を見つめる。
わかっていた。
あの返答…
『いなくなった姉の方はもうどうでもいいから、きみが女王になって。
僕が王様になりたい』
おでこを、横の柱につける。
また小さくため息をついた。
どこかしら期待していた。
姉を一緒に探してくれるんじゃないかって。
だけどこのままじゃ…あの男に殺される標的にもなりうる。
それか、わたしが殺され姉を誘惑し始めるか…
「…お姉さま」
恋しくて、悲しくなる。
わたしスパイと結婚しちゃったんだよ?
姉と話したくてたまらない。
「早く帰ってこないかな…お姉さま」
……
「…ほう」
意味ありげな表情で、興味深げに聞いているイケメン。
わたしの夫となった隣国の坊っちゃんは、わたしが王になり国を乗っ取るつもりで来たらしい。
「どうして?」
ほほえみながら優しく聞かれる。
惹き込まれそうな笑みだった。
「興味ないから。
そういうことなら姉がなる。」
強くハッキリ言った。
「僕はきみに嫁いでしまった。
きみらの国の手違いでね」
語尾を強くし、怒っている。
わたしはそれをうんざりした顔で睨んだ。
だから責任を取れって言うのは、あまりにも傲慢じゃないか?
「頼むよ。僕はきみを気に入ってるんだ」
耳の近くの後れ毛に振れられる。
わたしはパシッと手を振り払った。
目の前の男は「はあ」と息をつく。
まるでわたしが物わかりの悪い子どもだとでも言いたげな顔だ。
言いたくなった。
『わかってるのよ。あなたの魂胆は。』
…
目の前の男を見る。
高い背で整った顔で、容姿が完璧だ。
そして身のこなしもスマートで惹きつけられる。
どう見ても上流階級にしか見えないが…
会ったことがある…
昔わたしが城を抜け出し、スパイ学校に面白がって潜入していたときの話だ。
そのところにいた。
冷めた目をして、すべての人間が同じに見えると言った顔をしていたのに、よくもまあ人は変わるものだ。
一生懸命媚びを売り、優しくほほえむ目の前の王子に化けた男。
瓜二つ?それともあの王様の隠し子かしら?
だけどわたしの直感が当たり、本当にそのスパイだったとしたら…
背筋にひんやりしたものが落ちた。
「…あなたの要求は?」
恐る恐る聞く。
「いなくなった姉の方はもうどうでもいいから、きみが女王になって。
僕が王様になりたい」
無邪気な笑みで言った。
わたしはわかっていたはずなのに、若干引いて狼狽えた。
「そう…」
ぎこちない顔を返すのが精一杯だった。
……
姉は、どこにいったんだろう。
初夜は一人。
そろそろ来るはずの夫は来ない。
それに心がホッとする。
好きでもない人間と結婚し、抱かれるなんてまっぴらごめんだった。
「はあ…」
夜空を見つめる。
わかっていた。
あの返答…
『いなくなった姉の方はもうどうでもいいから、きみが女王になって。
僕が王様になりたい』
おでこを、横の柱につける。
また小さくため息をついた。
どこかしら期待していた。
姉を一緒に探してくれるんじゃないかって。
だけどこのままじゃ…あの男に殺される標的にもなりうる。
それか、わたしが殺され姉を誘惑し始めるか…
「…お姉さま」
恋しくて、悲しくなる。
わたしスパイと結婚しちゃったんだよ?
姉と話したくてたまらない。
「早く帰ってこないかな…お姉さま」
……
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