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続中 求めるもの
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ゾッとする。
本音じゃない。嘘だ。
なんの魂胆がある…?
そう感じ取った。
昔からそうだった。
リチャードは平然と嘘をつく。
疑り深い自分も信じたくなるような、理知的な瞳に巧みな話術で。
本当はなんの興味もないのに。
興味があるのは他のもので……
「……ああ……………」
呻き声か、ため息かわからない。
とにかく自分の口元から吐き出すように出た。
本当にストレスだ。
早くフィーピーから離れたい。
感情に蓋をしていたが、コイツが自分の軽いトラウマにでもなっていたのかもしれない。
「君もそののろいとやらを解きたいだろ?」
笑顔で横でしゃべっているのがわかる。
にも関わらず、はるか遠くにいる気がした。
私は心ここにあらずで、気分だけ過去に戻っている。
………
やっと、1人になれたことにホッとし、冷たい白いベッドのシーツに触れる。
触った時の感触から、自分は癒しに飢えていることがわかる。
こんな物で心が歓喜した。
本格的に、精神的に参ってきているとわかる。
今の状況もそうだが、それよりも先の不安だ……
……
幼女の姿は、たぶん普通の人よりずっと眠い。
座っているベッドを見下ろす。
捕虜にしてはとてもいい待遇だ。
だからこそ怖い。
ふと、さっきのことを思い出す。
フィーピーの眼差しは真剣で、大魔女を探すのには本気だろう。
力を利用しようって魂胆か…
爪を噛む。
だができないことはわかってるだろう。
あの大魔女は誰の味方にもならない。
フッと現れ、消えていく。
なにか他の魂胆があるのだろう。
………もし…フィーピーが言う魔女探しに協力しなかったら……
そう思うと背筋が冷えた。
いや、はなからあいつは私が拒否すると思っていない。
もし一緒に探すってなると…
私は大魔女の足跡を隠滅し、逃げ道を広げるだろう。
『その世紀の大魔女は…どこに逃げた?』
真っ赤な瞳の瞳孔が大きく開く。
真っ赤な火のように輝くリチャードの爛々とした瞳…
ふと思う。
なぜ今更、私の祖母の行方が気になるんだ?
昔、大魔女の情報は敵国の魔法団体らしき人に高値で売られた。
そして、その大魔女に奇襲をかけるのにこの元少年の情報は大いに役に立ったはずだ。
うまく取引きもしていた…失敗してたけど。大金はあのリチャードに渡った。
なのに…なんで?
……
本音じゃない。嘘だ。
なんの魂胆がある…?
そう感じ取った。
昔からそうだった。
リチャードは平然と嘘をつく。
疑り深い自分も信じたくなるような、理知的な瞳に巧みな話術で。
本当はなんの興味もないのに。
興味があるのは他のもので……
「……ああ……………」
呻き声か、ため息かわからない。
とにかく自分の口元から吐き出すように出た。
本当にストレスだ。
早くフィーピーから離れたい。
感情に蓋をしていたが、コイツが自分の軽いトラウマにでもなっていたのかもしれない。
「君もそののろいとやらを解きたいだろ?」
笑顔で横でしゃべっているのがわかる。
にも関わらず、はるか遠くにいる気がした。
私は心ここにあらずで、気分だけ過去に戻っている。
………
やっと、1人になれたことにホッとし、冷たい白いベッドのシーツに触れる。
触った時の感触から、自分は癒しに飢えていることがわかる。
こんな物で心が歓喜した。
本格的に、精神的に参ってきているとわかる。
今の状況もそうだが、それよりも先の不安だ……
……
幼女の姿は、たぶん普通の人よりずっと眠い。
座っているベッドを見下ろす。
捕虜にしてはとてもいい待遇だ。
だからこそ怖い。
ふと、さっきのことを思い出す。
フィーピーの眼差しは真剣で、大魔女を探すのには本気だろう。
力を利用しようって魂胆か…
爪を噛む。
だができないことはわかってるだろう。
あの大魔女は誰の味方にもならない。
フッと現れ、消えていく。
なにか他の魂胆があるのだろう。
………もし…フィーピーが言う魔女探しに協力しなかったら……
そう思うと背筋が冷えた。
いや、はなからあいつは私が拒否すると思っていない。
もし一緒に探すってなると…
私は大魔女の足跡を隠滅し、逃げ道を広げるだろう。
『その世紀の大魔女は…どこに逃げた?』
真っ赤な瞳の瞳孔が大きく開く。
真っ赤な火のように輝くリチャードの爛々とした瞳…
ふと思う。
なぜ今更、私の祖母の行方が気になるんだ?
昔、大魔女の情報は敵国の魔法団体らしき人に高値で売られた。
そして、その大魔女に奇襲をかけるのにこの元少年の情報は大いに役に立ったはずだ。
うまく取引きもしていた…失敗してたけど。大金はあのリチャードに渡った。
なのに…なんで?
……
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