魔法も使えない下等幼女

冬田シロクマ 

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探り合い

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ニイと魅了的な赤い瞳が開く。

魔物を見ているようで、私は引き、固唾を呑んだ。
そして必死に頭を回す。

…あの大魔女と対抗できるくらいの魔力か。
はたまた国随一という魔力は世界一の大魔女の足元にも及ばないか…

冷静に考え、なんとか理性を保とうとした。
だが本当は、内心恐怖で発狂しそうだった。

大魔女との関連を言わせるため、拷問にかけられるんじゃないか

その考えが文字として大きく頭に浮かんでくる。 
それが浮かぶたび、私は苦しくて悶えた。
……

おそらくフィーピーが言いたいのは、かけた魔法はいつも期限がある。
シンデレラのように。
そして、それが幻覚を見させているような強い魔法ほど、早くて途切れる。

まったく解けない

それがなにを表すか。

何度も何度も、魔法をかけ直してもらってるということだ。
それが………

この男が予想している通り、大魔女のような強力な魔法を浴びている。

魔法使いによく会っている、それか大魔女の意味不明な強力魔術。

「…」

睨み合いが続く。
ニコッと笑うリチャード。
私はビクッと過剰反応する。

もう言ってしまおうかッ…

「あの大魔女と知り合いなら、手厚くもてなさないとね。」 

圧のある声だった。
誰かに聞かせているのだろうか?と辺りを見回す。
だが2人きりだった。

「じゃあね」

立ち上がったフィーピーは、見下ろし私に作り笑顔を向けてくる。
笑顔は、影になり暗かった。
………
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