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死ぬより怖いこと。
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死んだ方が、マシだと思った。
自分のプライドをズタズタにされるくらいなら。
数々の歴史を見て思った。
戦争に、レイプはつきものだと
だが、別にこの人たちにレイプされると思ったわけではない。
そんなのわからない。
だがもし今、被害にあわなくとも、今後どうなるかなんて誰にもわからない。
ある可能性の高い、その恐怖に、怯える。
その恐怖は、打ち消せなかったし、想像するだけで、全身が死体のように硬くなった。
…自分は、このまま死ぬのが幸せだろう。
そう客観的に、まるで自分のことではないかのように言ってみる。
納得できた。
その通りだと思った。
まだ私が耐えれるほどのバッドエンドでよかった。
そう心から思っている。
そして今後もこの考えは変わることはない。
…………
………
長い沈黙、打ち破る声。
暗闇の中、話し声が聞こえた。
表面上だけ優しい声と、緊張した、硬い声。
私をどうするか、話しあっているのだろう。
トロンとした目で、ぼやけて見える。
発光したような派手なブロンド。
片方は嫌でも誰とわかった。
………
しばらく経つ。
退屈になってきた。
そして、自分のすべてをさらけ過ぎたと反省する。
敵軍に、どう思われただろうか。
おかしい子ども、あるいは…
考えに至ってほしくないことが頭に浮かぶ。
魔法で、中身は成長しきってると思われたか。
喉が鳴った。
ヒュッと、
死ぬことさえ怖くなかった私。
やっぱりこの世には、死ぬより恐ろしいことがあるとわかる。
投与された薬のせいか、脳がハイになりなにかがドバドバでている。
……
「起きた?」
美しく笑う青年。
一瞥される。
優しい…甘い声。
見てくるのは、真っ赤な派手なルビー。
私は無意識に、うんざりするような目線をするのをやめられない。
この人が、あまり怖くないのもあるだろう。
「大丈夫?しゃべられないかな」
枕元を見られる。
なにを見ているのかわからない。
そして…他にもひっかかる。
若干…子どもにするような声だったのが、女に対するような、低い声になった気もしないでもなかった。
静かに全身の毛が逆立つ。
そして、私の頭にはなぜ?という疑問符が浮かんだ。
私は疲れた顔で、寝たまま美青年を見る。
薄暗い夜明け。
気づかないうちに、部下らしき人はいなくなっていた。
ほほえむ美青年。
私のうんざりした表情は、変わらなかった。
身体を動かそうとする。
腕が上がらないことにき気づき、イラッとした。
そのあと、冷静な頭が今後どうなるか教えてくれたため、喉がまたもやヒュッと鳴った。
今にも泣き出し、オエッと吐きそうだった。
男はマイペースに言う。
「ごめんね。
今治癒魔法かけてるから、しばらくは動けない。
なにもしないから…安心して」
信用できない…
心の声は、言葉にして出していた。
すぐにも、「殺して…」と言う言葉が、一粒の涙とともに自分の口から出た。
自分のプライドをズタズタにされるくらいなら。
数々の歴史を見て思った。
戦争に、レイプはつきものだと
だが、別にこの人たちにレイプされると思ったわけではない。
そんなのわからない。
だがもし今、被害にあわなくとも、今後どうなるかなんて誰にもわからない。
ある可能性の高い、その恐怖に、怯える。
その恐怖は、打ち消せなかったし、想像するだけで、全身が死体のように硬くなった。
…自分は、このまま死ぬのが幸せだろう。
そう客観的に、まるで自分のことではないかのように言ってみる。
納得できた。
その通りだと思った。
まだ私が耐えれるほどのバッドエンドでよかった。
そう心から思っている。
そして今後もこの考えは変わることはない。
…………
………
長い沈黙、打ち破る声。
暗闇の中、話し声が聞こえた。
表面上だけ優しい声と、緊張した、硬い声。
私をどうするか、話しあっているのだろう。
トロンとした目で、ぼやけて見える。
発光したような派手なブロンド。
片方は嫌でも誰とわかった。
………
しばらく経つ。
退屈になってきた。
そして、自分のすべてをさらけ過ぎたと反省する。
敵軍に、どう思われただろうか。
おかしい子ども、あるいは…
考えに至ってほしくないことが頭に浮かぶ。
魔法で、中身は成長しきってると思われたか。
喉が鳴った。
ヒュッと、
死ぬことさえ怖くなかった私。
やっぱりこの世には、死ぬより恐ろしいことがあるとわかる。
投与された薬のせいか、脳がハイになりなにかがドバドバでている。
……
「起きた?」
美しく笑う青年。
一瞥される。
優しい…甘い声。
見てくるのは、真っ赤な派手なルビー。
私は無意識に、うんざりするような目線をするのをやめられない。
この人が、あまり怖くないのもあるだろう。
「大丈夫?しゃべられないかな」
枕元を見られる。
なにを見ているのかわからない。
そして…他にもひっかかる。
若干…子どもにするような声だったのが、女に対するような、低い声になった気もしないでもなかった。
静かに全身の毛が逆立つ。
そして、私の頭にはなぜ?という疑問符が浮かんだ。
私は疲れた顔で、寝たまま美青年を見る。
薄暗い夜明け。
気づかないうちに、部下らしき人はいなくなっていた。
ほほえむ美青年。
私のうんざりした表情は、変わらなかった。
身体を動かそうとする。
腕が上がらないことにき気づき、イラッとした。
そのあと、冷静な頭が今後どうなるか教えてくれたため、喉がまたもやヒュッと鳴った。
今にも泣き出し、オエッと吐きそうだった。
男はマイペースに言う。
「ごめんね。
今治癒魔法かけてるから、しばらくは動けない。
なにもしないから…安心して」
信用できない…
心の声は、言葉にして出していた。
すぐにも、「殺して…」と言う言葉が、一粒の涙とともに自分の口から出た。
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