魔法も使えない下等幼女

冬田シロクマ 

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性犯罪者の身体の一部が切断されます。細かい描写はありません。

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1番強烈な記憶…

それはレイプしようとしてきた人の腕や他を、切り落としたことだった。
喚き、もがき苦しむ男。
自分が世界一可哀想だと言いたげに泣き叫ぶ。

反吐が出た

そして私はその様子を、目に焼き付けるように見ていた。

コイツから、二度と被害者が出ない…

それを思うと、心がスッし、ホッとした…


あの赤目の男は、おそらく魔法使いだろう。
こんなに、魔力がないだけで障害者扱いしてくる国。
連れてこられたこの国では、魔力なしと認定された人間は、国からお金が出、年金も支払われる。
差別の目もあるが、楽して暮らせるかも…と隠れている間、捨てられた新聞を広げながら思った。

だが、もう…どうでもいい。
だって、もう死ぬんだから

私は笑う。
狂気に満ちて、高笑い。
頭がおかしくなったのか、と周りの目はギョッとした。
銃を向けられる。
早く殺してくれと私は願った。
……

走馬灯のように意識が遠のく。
色んなことが頭に浮かんだ。
……

記憶の1番深いところにある…祖母。
大魔女で、私に呪いをかけた。
不老の魔法。
よりにもよって、まだ幼い子どものときに。

きょうだいの中で、魔力がまったくない私を哀れんでのことだった。

幼く、可愛く…誰からも守って貰えるように…と。
だがそれは祖母の勘違いだったことに気づく。

中身が大人びすぎた幼子は、周りから気味悪がられるし、しかも、ろくでないヤバい奴らをこの容姿はおびき寄せる。
生きにくさが増していた。
……  

最大の敵。
弱いものに強く出る男たち。
支配欲と性欲を、幼女で同時に満たそうとしてくる人間。

今は、これとは関係ないか

目をゆっくり開く。

まだ、殺してくれない…

「…ッ!!!おいッ!」

後ろから声がした。
私は走った。
とっさの隙をついて、軍人から銃を奪い取るのは諦めた。
その代わり… 

「わっ」

身体が浮いた。
私の冴えた脳に感謝する。

高い絶壁

空を飛べる人たちは、こんな意味不明なところにも建物を建てるらしい。
いつもはそういう物はイライラと見上げるが、このときばかりは、そのことにとことん感謝した。

私は笑いながら落ちていく
……
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