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番外 13.5 酔っ払い

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朝、凛々子に絶叫されたあと、凛々子は見たこともない生き物を見るようにジッと篤を見つめた。

「なんだよ。寂しいから帰らないでと言ったのはりりだよ?」

記憶が鮮明になる。
安く買ったお酒で悪酔いした。
すぐにでも酔いたくて、危ないのを承知で帰りながら一本開けた。


「…なにしてんの」 

コート姿で静かに言う篤。
目の前にはへべれけの、顔を真っ赤にしたりり。

「あぁ~あつ~♡」

ニコニコと笑い、機嫌が最高に良さそうな凛々子。

「やった、会えた」とポケットに入れていた僕の腕を取り、両手を掴まれる。

「へへへっ」

…おれとは思ってなさそう

嬉しそうに笑う凛々子。
優しい瞳で見てくる篤。
篤は顔をゆっくりかしげる。

「ぷはー」

わたしはまたお酒を煽った。

「酔いすぎじゃない?」

優しくほほえみ、手を掴まれる。と思ったら、缶ビールだった。

「え~?そう?」

キャッキャッと嬉しそうに笑う凛々子に、篤は少し意外そうな顔をした。
家まで送る。

「帰らないでよー」と言ったのは凛々子だ。
一瞬固まり、振り返り作り笑顔を向ける。

「ふふふふっ」

凛々子は気味の悪い笑い声を漏らした。



「わたし…呼んだ?あなたのこと」
「呼んでないけど。会おうと思って行ったら酔ってた。帰り道に飲まないほうがいい」

最後の言葉は忠告のようだ。
ニコッと笑っているが、怒っているのは明らかだった。

優しくほほえむ篤。
わたしはバツが悪く、醜態を晒したのもあり「ははっ」と笑い誤魔化した。
視線を横に流す。

「また飲むつもり?それとも職場で嫌なことが?」

いつもより静かで大人っぽい。
こういうときが一番かっこいい。
幼稚でもなく、優しくて、余裕がありそうで。

「そうじゃない。ただ…疲れただけ」

チュンチュン鳴く鳥に目をやった。
いつもより鳥の声に苛つかない。

「そっか、大変だね」

言いながらベッドに座る。
変な時間に起きてしまった。
いつもなら、すぐにお暇をお願いしただろう。
だけどいつもと違う篤に、警戒心があまり沸かない。

ヤバいな…

だが篤の一言で気分は最悪なところに落とされた。

「きみの伯母さんが、りりちゃんにいくら残したかを知れば働かなくてよくなるよ。」

わたしの顔が引き攣った。

「僕は必要ないんだよね~」と笑っている。

わたしは篤と距離を取る。
なんにもわかっていない。コイツは…

「ふはっ」

篤は下を向いて笑う。
不愉快だった。

「なに?」

凛々子は、顔を歪め喧嘩腰で言う。

「お前が面白くて。」
「…は?」

凛々子は篤の顔をまじまじと見る。
その様子がかわいくて、篤はニコニコと目を合わせ優しく見つめた。
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