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「きみが殺したの?」

そんなに大きな声ではない。
だが、わたしは誤解されたくないことを言われ、驚いた。

「……は!?」

なに言ってるんだ?

ポカンとし、目を見開き、止まる。
男に、一瞬ジッ…と真剣な面持ちで見られていた感じがした。
すぐ、ニコッと顔が戻る。

「そんなわけ、ないでしょ!?」

わたしは驚いた顔のまま、すかさず言う。

「そっかあ」

へらっと笑う。
見たこともない表情で戸惑う。  
「そっか…よかった」と小さな声で言っている。

「わたしが…殺したと思ってたの?」

静かに言う。

「…うん。ありえるかなって。
でもりりちゃんはそんな馬鹿なことしない…とも思ってた」

ニコニコと言う。
わたしは静かに男を見据えた。

…あなたが殺したんじゃないの?

そう聞きたい気持ちをゴクッ…と飲み込む。
再び口を開いた時、予想外の言葉を口にした。

「あなたは…何処に住んでるの?」


予想外と言いたげに、わたしを見ている。
そしてゆったりと優しく笑った。

「…来てくれるの?」

色気が増す。
わたしは虚をつかれた感じがした。

「いや…そうではなくて…」

わたしは男を見る。

名前すらしらない…

「なにもしらないから。あなたのこと」
「なんで急に友好的になるんだ?」

…疑われてる?それともわたしに思い込ませて、罪を着せる気?

「あなたが叔母と、なんの関係があるのか聞きたい。」

真剣な面持ちで言う。
男は頷き、切れ長のアーモンドアイでわたしを見つめる。
怖くてビリビリと、空気が響く。

「それとも…知られたくない?」

わたしは優しく聞いた。
なにもかも知らない。知りたい。
だけど、わたしのように、蓋をして思い出したくないことなの?

「俺は…会ったことがある。きみときみの叔母さんとも。
……そして、きみの叔母の息子が俺だ。」

魅力的な笑みで、ニコッと笑った。
明るく、爽やかな笑顔。

ゾッ…とした。
脳ではなにも可笑しいことが起きてないのに、なぜか鳥肌が栗立つ。

反射的に席を立った。

「まだ話終わってないよ?それとも終わりにしたい?」

優しく聞かれる。
わたしは迷う。
これ以上は、聞きたくないことまで●●●●●●●●●●知ってしまう気がする。

「……また今度」
「うん。今日のところは俺も満足したし、解放してあげる」

ニッコリ笑う男。
帰り際、連絡先すら聞いていないことに気がついた。
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