12 / 41
レグルスと…?
しおりを挟む「えーーーなんで、ここにーー」
りんごがレグルスの顔を見て固まっているとよこから、さゆが割って入る。
「あんたが成績が悪すぎて寝ている間に転校してきたのよ」
「ーーっ、うるせーな、だからそれは違うって」
「いいのよ、わかってるわ」
「なんもわかってねーだろ!!絶対!!」
ガタッとりんごが立ち上がってさゆに抗議すると、さゆが突然知らん顔をして前を向き始めた。突然後ろから肩を叩かれる。
「おおい??今は授業中なんだけどなぁ???」
「うげ、せんせ、、すんません」
「お前な、病み上がりなんだから静かにしてろ。ふふっ」
「笑ってんじゃねーかよ!だから違うんだって!!」
教室がまた笑いに包まれる。その中でレグルスだけが少し驚いたような表情でりんごをみていたのだった。
ーー放課後
「なあなあなあ!!朝陽くんだっけ?」
「……そうだ。」
朝は俺が赤っ恥かいてあんま観察する暇なかったけど、やっぱレグルスだな。めっちゃ幼い。
「俺、りんごっつーんだ!一緒に帰ろうぜ」
「結構だ。一人で帰れる。」
くるっとりんごに背を向け、スタスタと帰って行った。
「くっ、ガードが固えな。これじゃダメだ」
「なにを目指してんのよ」
さゆが呆れたようにいう。
まあ、未来のレグルスも最初はとっつきにくいやつだったしな。でも心開いたやつには笑顔を見せてたからいずれは開くだろ。
他の番人がここにいれば違ったんだろうな
「朝陽、転校してきた時からあまり周囲と関わってないわ。いつもピリピリ張り詰めてる感じがする。休み時間ですらも教室にいないし。」
「他の番人はいなかったか?」
「番人?」
「いや、なんでもねえわ」
あっぶねえ!!バレるとこだったよっっ
カイルはいねえだろうな?!
あ、つかレグルス見つけたから連絡しねーと、、
通信機で連絡をするりんご。すると、高松がやってきた。
「おい、りんご!今日飯いかね??」
「いく!!メンツは?お前と、さゆとーー」
「あたしも行くぜ!!」
美知が元気よく返事をする。
「えみりどこいった?あいつも行くと思うんだけどな」
「ここだよ~!うん!いく!!」
井上えみり、面食いである。
さらにさゆ、美知よりも10センチひくい、160センチでそのことを気にしている。
「小さすぎて見えなかったわ」
美知がえみりをからかうと怒りながら美知をポカポカ殴る。
「つか、えみり、お前面食いだったよな?朝陽とか仲良くなんなくていいのかよ?」
「えみりは、なんども挑んでるわよ。その度に撃沈してるけど」
「なんでいうの!!さゆのばか!!言わないでってゆったじゃない!!」
「わからんこともないな、あいつとっつきにくいし」
「出会って1日のあんたになにがわかるの」
「そうだよ!りんごにいわれたくない!」
さゆとえみりの総攻撃はりんごには届いておらず、りんごは、もし未来に行ったのがえみりだったら絶対帰ってこなかったろうな、などと考えていた。
あいつらの態度も豹変しそうだよな
女子だし。特にシリウス。
「えみり、喜べ。俺が今度未来のイケメンを紹介してやるよ」
「ええ~ほんと?!?!」
「やめといたほうがいいよ、りんごの友達でイケメンなんて俺くらいしかいないし??」
「じゃ、だめじゃん。たかし、イケメンじゃないし」
あはは、と笑いながら教室を後にして学校の正門へと続くメイン通りにでる。
「あれ??朝陽じゃない?おーい!!朝陽ーー!!」
だいぶ先にいる朝陽の後ろ姿を見つけ、大声でえみりが呼び止める。
ーーと、そのとき突然うしろからけたたましい笑い声が聞こえてきた。
何人かの女子が笑いながら帰っているようだった。
レグルスのところまでようやく追いついたが、止まったまま固まっていた。
「ねえ!あさひ!今日ご飯に行くんだけど、一緒に行かない??すごい美味しいところがあるの!」
えみりがきゃぴきゃぴ、と楽しそうに話しかけるがレグルスは固まったまま動かない。
「おい、大丈夫か?」
不審に思ったりんごが顔を覗く。
え?すごい汗じゃねーか、そんな暑いか今日?涼しいくらいなのに
さゆも顔を覗く。
「息切れしてるわ、過呼吸になってるのかも。とりあえず落ち着かせなきゃ」
さゆの指示によって、建物の影に運ぼうとたかしとレグルスを持ち上げる。
?震えてる?怯えてるのか?
「保健室の先生呼んでくるから男子はここにいて!」
美知とさゆ、えみりが走って呼びに行った。たかしがレグルスの汗をふく。
「どうしたんだろうな、急に。持病か?」
たかしが不思議がる。
持病なんで聞いたことねえぞ
すると、うしろから肩を叩かれる。
みると、カイルが静かにしろ、と小声でいいながら、たっていた。
レグルスを介抱しているたかしに見えない場所へりんごを誘導する。
「レグルスを見つけたんだな」
「そうだけど、今やばい状態でさ」
「心配するな、病気なんかじゃねえさ。ーー女性恐怖症さ」
「え?」
「今はおおかた完治してるが昔はひどかったんだ。女の声を聞くだけで動けなくなっていた。」
女性恐怖症ーーーさっきの女子の笑い声のせいだな。
「安静にしとけばそのうち治まる。
ーー原因は家庭環境のせいだ。あとは本人の口からきけ」
そういうと、カイルがフッときえた。
りんごが建物の隅からてでくる。
「お前、どこ行ってたんだよ!」
「や、ちょっとトイレーー」
レグルスの汗はおさまっていて、呼吸も安定していた。それを、みてりんごがズバッと言う。
「女が怖いのか?」
「ーー!」
レグルスの目が少しだけ見開いた。
「え?がち?」
たかしが顔を覗き込もうとすると、振り払われ、突然の立ち上がった。
「助けてくれたのには感謝する。もう結構だ。ーーこれで失礼する。」
というものの、遠くで女子の声がすると震えてしゃがみこむ。
「おい、無理すんなって」
りんごがレグルスの肩をポンと叩く。レグルスが悔しそうに手を握り締めていた。
「誰にだって怖いものくらいあるさ」
「…」
「つか、どうして女が怖くなったんだ?」
「お前にいう義理はない。」
かわいくなっっっ!!!なんだこいつ
りんごはむかっとしていたが、まだレグルスの手が震えていることに気づく。
いじっぱりだな。まー、見た目はいいとこのお坊ちゃんっぽいもんな。プライドが高そうだぜ
「お前、どこから来たんだよ?」
シカトか。ま、いいぜ?こうなりゃ質問攻めにしてやっからよ
たかしがレグルスをみながらきく。
「お前、最初来た時も思ったんだけど作法とかしっかりしてるよね?もしかしてちゃんとした家柄だったり?」
「…前まではそうだった」
「前まで?どういう意味?」
「捨てられたんだ」
「え」
「ぐえ」
たかしも、りんごも突然の展開に頭が追いつかず、変な声が出た。
二人で顔を見合わせる。
「なんのために生まれてきたんだろうな。見捨てられないように懸命に励んできたというのに。
俺のせいで……」
唇を噛みしめる。かみしめた唇からツーっと血がこぼれ落ちた。
「引き取られた今もこの性格のせいで周りからも嫌われているんだ」
ギュッと拳を握り締め、レグルスの顔が苦悩で歪む。辛そうなのがりんごたちにもビリビリと伝わってきた。
引き取られたあと、ってことはケニーとかいうやつにってことか、、?
番人たちって最初は仲がくっそ悪かったみたいだな。
たかしが、りんごと目を見合わせうなずくとレグルスに優しくいう。
「今は一人で暮らしてるんじゃないってことだろ??
それに、そいつらはきっと、お前のことをを誤解してるんだよ。」
「…」
「一緒に飯いこーぜ?そこでたっぷり相談きいてやんよ。クヨクヨすんな、男だろ?
金は安心しろ、全部たかしの奢りだ」
「おいっ!!つか、この前貸した金帰ってきてないんだか?」
「あ?なんの話だ?」
「ふざけんな」
ふふっ、とレグルスがようやく笑った。
その様子に少しだけホッとした。
「仲がいいのだな。俺には真似できない。」
「何言ってんだよ、お前にも必ずできるぜ?だって俺はみたんだからな」
「みた?なんの話だ?」
「さーな?ほらたてよ。いくぞ」
レグルスに手を貸し立たせる。その瞬間学校の電光掲示板が流れ始める。
「うわっ、びっくりしたぁ!」
「なんだ?あれは」
レグルスがりんごたちに怪訝な顔で問いかけた。りんごが電光掲示板を指差しながら説明する。
「電光掲示板っつーんだよ、ニュースとか流れるんだ。最近は政治とか経済とかぎ多いんだけどーーーーー」
りんごの声が止まった。たかしが不思議そうにどした?と問いかける。レグルスも不審がったが電光掲示板をみて、すぐに固まった。
電光掲示板の放送が流れる。
『そうですね、僕は大統領の息子だということを奢らないで勉学に励んでいます。』
その人物が女性記者に、にこやかに答えると、記者は興奮しながら言った。
『秀才だと聞いています!!次期大統領候補だとも!まさかお会いできるなんて光栄です!!』
流石にまくしたててやばいと思ったのかこほん、と咳払いをして記者が落ち着きを取り戻し、台本どおりの文章をいう。
『ありがとうございます。
ーーでは、最後に日本の皆様へ向けて一言お願いします』
『日本の皆様、はじめまして。日本のテレビに出るのは初めてなので緊張しますね。
僕の名前は、リアム・ドフラス。現大統領であるダレス・ドフラスの息子です。よろしくお願いします』
その人物が爽やかに微笑んだあと、次のニュースが流れ出した。
「えええええ?!?!?!大統領の息子だと…?」
りんごがポツリとこぼす。状況が理解できない。
「あー、リアム様だろ?イギリス現大統領の息子の」
「知ってんのか?!?!」
りんごが食い入るようにたかしに詰め寄る。
「や、知ってるも何も日本人のほぼすべてが知ってるぜ?全てにおいて完璧らしくて次期大統領候補だって期待されてる」
りんごが頭を抱えているのをみてたかしが続ける。
「つか、お前が知らないっていうのに驚いてるんだが。
まあ、イケメンだからな。女子に大人気なんだそうだよ。さゆたちもしってんじゃないか?」
りんごが我に返ったように徐ろにスマートフォンを取り出す。
「ほんとだーー」
スマホにもリアム・ドフラスの名前があった。正真正銘、少し幼いリアムが映っていた。
スマホを持つ手が震える。
レグルスもたしか、由緒正しい家柄的なことを言ってたよな
俺、くっそ偉い人たちと今まで一緒にいたんだ
「ふ、、ふふっ、ふはっはっは!」
りんごが現実に耐えきれず、笑い出した。
その様子をみてたかしたちは一歩りんごと距離をとったのだった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部
山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。
これからどうかよろしくお願い致します!
ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。

竹林にて清談に耽る~竹姫さまの異世界生存戦略~
月芝
ファンタジー
庭師であった祖父の薫陶を受けて、立派な竹林好きに育ったヒロイン。
大学院へと進学し、待望の竹の研究に携われることになり、ひゃっほう!
忙しくも充実した毎日を過ごしていたが、そんな日々は唐突に終わってしまう。
で、気がついたら見知らぬ竹林の中にいた。
酔っ払って寝てしまったのかとおもいきや、さにあらず。
異世界にて、タケノコになっちゃった!
「くっ、どうせならカグヤ姫とかになって、ウハウハ逆ハーレムルートがよかった」
いかに竹林好きとて、さすがにこれはちょっと……がっくし。
でも、いつまでもうつむいていたってしょうがない。
というわけで、持ち前のポジティブさでサクっと頭を切り替えたヒロインは、カーボンファイバーのメンタルと豊富な竹知識を武器に、厳しい自然界を成り上がる。
竹の、竹による、竹のための異世界生存戦略。
めざせ! 快適生活と世界征服?
竹林王に、私はなる!

異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる