上 下
4 / 41

過去

しおりを挟む
「うう…ごめんなさい、罰はうけるからそのカードだけ返して」

「破ってないだけありがたく思え」

100万騒動からカイルにこってり絞られたミシェルがリビングの床に正座させられて大量の紙と対峙していた。

「使った分きっちり働いて返せよ。利子は倍だからな」

「ぐす…」

カイルがソファに座ってミシェルを監視しながらイライラしている。

まるで看守と囚人だな

「りんごくーん、喜んでください。
明日には元の時代に戻れそうですよー」

タブレットを確認していたライトが報告する。
「まじか!!」

「リアムは仕事がはやいな」

「でしょ??さっすがおれの推し!!」

ミシェルが自慢げに言う。

「え?たくとっていうやつが推しなんじゃないのか?」

「おれ、キラキラ輝いてる人がすきなんだよね!タクトもリアムも芯をもって自信にあふれてキラキラしてるから大好きなんだ!!」

「リアムは重度のナルシストですからねー」

「今、リアムのことバカにした?」

「わかりました?」



ーーー「ちょっと?!?!」

突然、舞踏館のほうで慌ただしい靴音と声が聞こえてきた。

「あ、帰ってきましたー」

今度はだれだ??

ーーその人物が現れる。

ライトと同じく金髪で碧眼をもっていた。

いかにもプライド高そうなおぼっちゃまタイプだな

まあたしかにキラキラしてんな、髪が。
絶対クラスだと一軍だろうな

「おかえりなさいー」

「いや、おかえりなさいじゃないんだけど。何かいうことあるでしょ?!」

ライトを睨みつけ眉間にシワを寄せている。

「いやー本当にたすかりましたぁ!さすがリアム!!隊長なだけありますね!!」

「白々しいんだけど」

「リアムー!!おかえり!!」

ミシェルがリアムに飛びつく。

「あつくるしいから離してくれる?」
だるそうにミシェルを追い払う。

「嫌われた…おれもう死ぬしか…」

「死ぬ前に金は返せよ」

ミシェルがメンヘラタイムに入るとカイルがソファから追い討ちをかける。

「うう…みんなしておれをいじめるんだ」

落ち込むミシェルにりんごが肩を叩く。

「え?慰めてくれるの?」
ぱあっと振り返るとりんごが小声で

「さっき飛びついたってことはやっぱそっち系の人?」

「推しだってゆってるじゃん!!」

ぴゃっ、とミシェルがふせる。


「ーーふうん、その子?ロストチャイルドって」

リアムが腕を組んでりんごのほうに近づく。

「あ、どもっす…浅田りんごっていうっす」

こいつ近くに来たら主人公オーラ半端ないぞ?!、くっそお、俺だって!!
威圧感もすげえし…
思わず一歩下がっちまったじゃねえかよ

「僕はリアム・ドフラス。
ーー1000年前から来たんだってね」

「1000年?!?!」ミシェルが驚いて声を上げる。

「なんだぁ、おじいちゃんかぁ」

「だれがじじいだっっっまだピチピチの17歳だわっっ」

ミシェルにぶちぎれるりんご。

それをみてリアムが笑う。

「あはは!威勢はいいみたいだね」

「つかドフラスってことはライトと兄弟なのか?」

「あれ、名前、よく覚えてましたねー。バカそうだったので忘れてるかと思いました」

「誰がばかだっっ!!」

「たしかに僕とライトは兄弟だよ、腹違いのね」

「うわぁ、なんか複雑そうだな」

「ぐっちゃぐちゃですよ♪聞きたいです?」

「いや、いいわ」



ーー~♪~♬♪

突然音楽が流れ始める。

「ーーはあ、そうだった。

てゆうか、さっきまで会議だったのになんで僕が見回りに行かなきゃいけないわけ?」

頭痛がするんだけど、とリアムが頭を手で押さえる。

「見回りって過去のだよな?ーー俺も行きたいっっ!!!」

りんごが手を上げて目を輝かせる。

「ああ?ダメに決まってんだろ、過去に行けるのは政府関係者のみなんだよ」

カイルが即却下する。

「でもっっ今しか行けないし!!」

りんごがキッと抗議するものの

カイルのあ〝?を聞いて改心する。

「……やっぱりだいじょぶです」

「いいじゃん、ついて来なよ」

「えっっ!!!??」

「は?何言ってんだお前違反だぞ」

カイルがリアムに反対する。

「どーせ、過去に戻る時もゲートを通っていくんだから関係ないでしょ」

いい人だっっ

「おれもいく!!」
ミシェルが身を乗り出す

「てめえはまだ仕事がおわってねえだろーが」

ーーーゴッ

「いてっ…うう…おれもリアムのそばにいたいのに」

「そういえば、見回りってノアとレグルスも一緒ですかー?」

「のあ?」
ピクッとミシェルが反応する。

「やっぱおれいかなーい。死にたくないもん」

「え、どういうことだ??」

「そのまんまの意味だけど。死ぬかもしれないってこと」
リアムがニヤリとわらう。

「え、は?」りんごの頬から冷や汗が流れる。

「ノアは仏頂面で恐ろしく愛想がないんです。カイルなんか比べものにならないほど冷酷で怖いんですよ」

「やーーーーーやっぱ俺行かないどこうかな…」

「よし!行こうか」

「ねえ、きいて!!!」

「大丈夫だろ、死にゃあしない」

カイルが嘲笑する。

「や、そういうことじゃ…」

「時間がないな、テレポートで行くから僕につかまってくれる?」

「俺行かないっていってーーーー」

またあのえげつないGがくるっっ!!

ギュッと目をつぶり、体勢を整える。

ーーーーーーあれ?こねえな

目を恐る恐る開けるとそこはホテルのフロントのようなところにたっていた。

フロントには大柄の男が座っている。

「え」

「何してるの?早くついてきなよ」

「え?!今テレポート本当にしたのか?!?!」

「はあ?」

「もっとガクン!!ってシリウスの時はしたのに!!」

「僕の方が上手いに決まってるじゃん。隊長なんだから」

りんごにそう言った後リアムがスタスタとフロントの男に近づくと男が気づいた。

「あらん❤️リアムちゃんじゃない?会議ぶりね」

今度はオカマかよ?!
未来って変な人ばっかなのか??

2人はもう中にいるわよ、となにかをリアムに渡す。

「今度お茶会をするの、よかったらこない??」

「行きたいのは山々ですが、今はまだ忙しいので、またの機会にお願いします」

ニコッと微笑む。

「それは残念。ーーあら?そこの子は誰?」

「ロストチャイルドです」

「悪いわねぇーーま、いいわ、今日だけリアムちゃんに免じて許してあげる。」

「ありがとうございます」

セキュリティガバガバじゃねえか
大丈夫か?




ーーフロントを抜け、巨大なエレベーターの前まで来る。

「おそいぞ!」

と腕組みをした深い青色の髪の男が仁王立ちしていた。

ーーこいつがノアか?

ビクビク相手の顔色を伺っていると、男がりんごをみて怪訝な顔をする。

「だれだ、こいつは」

「ロストチャイルドだよ、連れて行こうと思って」

「はあ?、後で絞られても知らんぞ」

ーーするともう1人がエレベーターの中から現れた。

「もお~ようやくきたの?」

栗色の髪の毛にいかにも優しそうな顔をしていた。

すごい、めっちゃやさしそう
まわりにほのぼのオーラが飛び散ってるな

「ん?誰なのこの子は」 

「ロストチャイルドらしい。どうやらこいつも連れていくようだ。

後で怒られると言っているのに、こりないな」

「はじめまして。名前はなんて言うの?」

優男の方がにっこり微笑みかける。

「浅田りんごっす!よろしくおなしゃす!!」

「すごい元気だね!ーーー俺は、ノア・アルフォンスっていうんだ」

「よろしくな!!ってーーーーーーーーええ?!?!あんたがノア?!?
ーーだってノアは冷酷で恐ろしいって!」

「あはははは」リアムが笑い出す。

「だましたな!!」

「騙してなんかないよ、そのうちわかる」

リアムがエレベーターに向かう

「も~、なんで怖がらせるようなこと言うの。」

ぷんぷん、とおこる。

ーーあ、この人怒っても怖くないタイプだ。

まじでなんだったんだよ、さっきのは。
俺じゃなきゃトラウマものだぞ

「俺はレグルス・エドワードだ。さ、来るなら早く着いてこい。じきに出発する」

レグルスがエレベーターへ入る。

「俺たちも行こうか」
と、ノアがりんごを促しエレベーターの中へはいった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。

大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。 ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。 主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。 マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。 しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。 主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。 これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー

ジミー凌我
ファンタジー
 日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。  仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。  そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。  そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。  忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。  生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。  ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。 この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。 冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。 なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

処理中です...