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第十三話 さよなら。
しおりを挟む終わったーーー
結界が壊れたのを見て、おれはそう思った。
おれは、そのまま糸が切れた人形のように、イナズマを撒き散らしながら、床に倒れ込む。
「マク…っ!!」
かおりちゃんが、駆け寄ってきて、おれを抱き起してくれた。同時に、悔しくて、涙がこぼれ落ちる。
ーー能力を、使っちゃった。
あんな奴らのためにーー
もう、おれの過去での調査は、この瞬間で終わる。
最後の月曜日を迎えないまま。
おれは、悔しくて悔しくて、涙が止まらなかった。
それだけじゃない
かおりちゃんを、怖がらせた。
ゆきやを、怪我させた。
ここにいる人たちに、恐怖や恐れを感じさせてしまった。
情けない。
おれが、連絡に気付いてさえいればーーー
こんなことには、ならなかったのかもしれない
かおりちゃんと、まだ一緒にいたい……のに……
おれが、嗚咽を漏らして、泣いているのを見て、かおりちゃんは心配そうに俺を覗く。
ゆきやも、おれの方に駆け寄ってくる。
「お疲れ様でした。」
すると、おれの頭の上で、みなせの声がした。
「お前ーー!!お前があの男どもに支持しやがったんだろ?!?!」
ゆきやが、みなせの胸ぐらを掴み上げる。
すると、みなせが静かに言った。
「違う。俺は、政府と連絡をとってたんだ」
ゆきやたちが、理解できずにいると、みなせは、ゆきやの手を振り払って、おれの前に来た。
「はじめまして、時の番人。
俺は、この時代で未来政府に仕えている者です。
ご挨拶が遅れました」
ぺこりと頭を下げるみなせ。
その胸には、未来政府のシンボルである、砂時計が描かれていた。
ああーー
見られちゃったんだ……気づかなかった
まさか、みなせが未来政府だったなんて
「貴方は、能力を発現してしまいました」
おれが、言葉を失っていると、みなせがおれに告げる。
「よって、これで、貴方の過去での調査が、終わります」
その言葉に、来たか、って、思った。
今までの過去での出来事を思い出す。
かおりちゃんが、みなせに食ってかかる。
「どういうことよ?!過去での調査ってなんなの?!ちゃんと説明しなさいよ!!水無瀬!!未来政府って、本当だったの?!」
すると、ゆきやもみなせに怒鳴った。
「そうだ!お前は、誰なんだ?!なんで、さっきからそんな意味のわからんことを、言ってるんだ?!お前もマクをバカにしてたじゃねえか!!」
2人がみなせに詰め寄っていると、おれの後ろで、聴き慣れた声がした。
「うるさいんだけど、こっちまで響いてる」
「リアム!!」
おれは姿を見た瞬間、久しぶりのリアムに嬉しくて、叫んだ。
「うるさいんだけど」
そう言うと、リアムはそのままかおりちゃんのほうに歩いて行った。
あたしは、驚いて目を見張った。
教室で会った金髪の男が、マクと喋ってる。
きっと、結界が壊れたから、中に入れたんだ。
てか、待って。
リアムって、マクが言ってたじゃない。
時の番人の隊長ーーー
そう思っていると、リアムと呼ばれた男が、あたしの目の前まで歩いてきた。
「助言は、少しは役に立った?」
目を細めながら、あたしに言う。
あたしは、何も言えなかった。
ーーだって、認めることになるから。
マクとの時間が、あとわずかしか残されていないってことを。
あたしが、黙って見つめていると、リアムが笑いながら言う。
「ま、記憶がなくなるまで、あと少しはあるし。
ーー別れの挨拶くらいなら、多めに見てあげるけど」
そう言うと、リアムが、床に倒れてる男たちの方へ身を翻すと、それを縛り上げ始めた。
あたしは、急いで座り込んでるマクの方に、駆け寄った。
マクはひどい怪我をしてたけど、笑ってて、みなせに手当してもらってた。
「マク」
あたしの言葉で、顔を上げる。あざだらけだった。
そりゃそうよね。あんだけ、殴られたり、蹴られたりしてたんだもん。
あたしのことを、庇ってーーー
そう考えた瞬間、あたしは、我慢できなくて、マクの前で泣いた。
泣いてるあたしを見て、水無瀬はそっとその場を離れる。
あと、ちょっとでマクは本当に未来に帰るんだ。
もう、これから先、あたしたちは二度と会えない
忘れたくない
このまま一緒に、おばあちゃんになって亡くなるその時まで、一緒にいたいの
ーーでも、叶わない。
それが、決まりだから。リアムとか言う男も言ってた。
それにあたしが、ここでそんなことを言ったって、きっとマクを困らせるだけ
あたしは、思い出したように、バックを開け、用意してたプレゼントを取り出した。
マクが少し驚いたように、あたしを見る。
「忘れないで…っ」
プレゼントを握りしめたまま、あたしは嗚咽を漏らしながら、マクに縋り付いた。
離れたくなかった
離したくなかった。
離したら、もうマクは行ってしまうって分かってたから。
時は、残酷だ。
ちっぽけな人間なんかじゃ、止めることはおろか、操ることすら出来ない
あたしが、泣いてるのを見て、マクはそっとあたしを抱き返してくれた。
マクの体が震えてる。
泣いてるんだと分かるのに、時間はかからなくて、すぐにあたしの肩に、温かいものが溢れ落ちた。
「マク……」
あたしは、マクの顔を見上げた。
マクの顔は、血と涙でぐしゃぐしゃだった。
「おれ、本当はミシェルって言うんだよ」
しばらくしてようやく落ち着いたマクが、あたしに言った。
「本当の名前は、ミシェル・ローズブレイド」
「ミシェル…」
あたしが、復唱すると、マクーーいや、ミシェルが、また大粒の涙を、綺麗なオッドアイの瞳に浮かべてる。
深く、澄んだ瞳だった。そう。まるで、透明な海のように。
あたしは、引き寄せられるように、泣いてるミシェルの唇に、そっと口づけをする。
驚くほど、ミシェルの唇は柔らかくて、甘かった。
離れると、ミシェルの顔が、今までに見たことないくらい、赤くなって、恥ずかしそうに、慌てて手の平で少し顔を隠してた。
あたしは、その顔が見れただけで、満ち足りたような気分になった。
「そろそろ、いいかなぁ?非リアには、だいぶキツい光景なんだけど」
振り返ると、リアムが鬱陶しそうに、目を細めながら、立っていた。あたしは、ここに人がいたことを思い出して、少し赤面した。
いつのまにか、リアムの後ろには、大きな渦が出来てて、ゲートみたいだったから、きっと未来へと繋がってるんだろう。
すると、リアムが茹で蛸のように赤いミシェルに感心しながら言った。
「でもミシェル、お前にしては、今回頑張ったんじゃない?力もないまま、ちゃんと戦えたんだ。
ーー成長してるよ」
「リアムぅっ」
その言葉に、ミシェルが目をキラキラさせて、リアムを見上げた。
飛び付こうとしたら、かわされてたけど。
「マクーーーいや、ミシェル」
幸也が、いつのまにか、あたしの後ろに立ってた。
「今まで、信じてやれなくて悪かったな」
幸也が、バツが悪そうな顔で、ミシェルに言った。
「未来から来たとか、転校初日に言った時は気が振れてるとしか思わなかった」
「は?ちょっとまって。ミシェル、それ極秘事項なんだけど?」
リアムの目が、鋭く光る。
ミシェルが、慌ててリアムを渦状の中に押しやりながらいった。
「あわわわ…っ!ややこしくなるから、リアムは先行っててよっっ」
あたしは、呆れたようにミシェルを見た。
そりゃそうよね。
あたしたちが、信じてなかったからよかったけど、最大の秘密情報じゃない
「なんか、余計なこと言っちまったみたいで、悪かったな」
幸也が、謝るけどミシェルは、何も入ってないみたいだった。頭を抱えながら、ミシェルがぼやく。
「ぐすん…今日おれ、絶対徹夜だよ…っ
けがなんて絶対多めに見てくれるような人じゃないし!!」
絶望するミシェルの顔を、あたしは両手で挟む。
「シャキッとしなさい!あんた、男でしょ?根性見せなさいよね!」
「ん、むむ…」
ミシェルが、あたしの剣幕に驚いて慌てて首を縦に振った。
ゲートが、ひとまわりほど、小さくなった。
あたしは、プレゼントを箱から出すと、ミシェルの耳につける。
「これ、イヤリングなの」
あたしは、言った。
「キンモクセイの匂いのイヤリング。すごいかおりがいいのよ」
ミシェルが、あたしの言葉に目を見張る。
「そう。あたしを、思い出すように。あたしの名前にちなんだの。
ーー忘れないように」
ホントは、告白の時にあげる予定だったけど。
あたしが、言うとミシェルは、黙ったまま、あたしの顔を、見つめてる。その頬を涙が伝っていった。
それを見て、幸也も、付けてたブレスレットをとってミシェルに渡す。
「今まで、ありがとう。お前は、本当に強烈だった。俺のことも忘れるな」
その時にはミシェルは、もう号泣してた。
「うえーん…っ!やめてよっ!
おれ、こういうの、弱いんだからさっっ!!
ーーみなせはなんかくれないの?」
「俺は、これからも厨二病とは関わりがあるんで」
「ずっる!!!」
その言葉に、幸也と、あたしは同時に叫ぶ。
水無瀬が、笑って、ミシェルにいった。
「タイムが3秒台だったときは、まじで焦ったんだからな。上になんて報告しようかと思ったぜ。
未来政府のこともベラベラ喋るしよ。まじでヒヤヒヤしてたぜ?」
おどけて、水無瀬が笑う。
「元気でな。伝説の時の番人と、過ごせて良かった」
水無瀬が、寂しそうな顔で、ミシェルに言った。
すると、ミシェルが水無瀬にハグをする。
「おい、鼻水つけんじゃねえよ」
「うう…関わりがあるって言っても、直接的な関わりはないじゃん。水無瀬も、本当はここでお別れって分かってるでしょ」
「……っ」
水無瀬がその言葉に、急いでミシェルから顔を背けた。急いで袖で拭う。
「強がってただけかよ」
幸也が笑いながら、水無瀬の肩を軽く叩いた。
「早く来なよねぇー」
リアムの声が、ゲートの中から聞こえた。
ミシェルは、まだ泣きじゃくってて、あたしは、ミシェルの背中を押す。
「もう!!最後の最後まで、女々しいのね!全く
シャキッとしなさいよ!
ーーー最後くらい」
あたしの声が最後、震えた。
ミシェルが、涙に濡れながら、あたしを見て不満そうに言う。
「かおりちゃんは、おれのために泣いてくれないの?寂しくないの?もう、一生会えないんだよ…グスッ」
寂しいわよ!!
ばかじゃないの?!あたしだって、堪えてるんだから!
あたしまで泣いたらあんたは、ゲートに行こうとしないでしょ
「寂しいわよ…っ」
あたしは、涙をグッと堪え、拳を握りしめた。そして、ミシェルを見る。
「最初にあたしに話しかけてくれて、嬉しかった」
ここまで言うと、あたしの口から、次々と言葉が溢れ出して、あたしは、胸が締め付けられそうな思いで必死に、声を絞り出す。
「あたしに、微笑みかけてくれて本当に嬉しかった。
あたしが、マクに想いを打ち明けて泣きじゃくった時も、優しく抱きしめてくれてありがとう…
あたしが怒って当たった時も、嫌な顔しないでくれて…っ
ーー今日も…っ」
あたしは、深呼吸をして、ミシェルをじっと見据えた。
大丈夫。
ちゃんと言える
「今日も、あたしと遊んでくれて、ありがとう。
貴方と過ごした時間は、楽しくて、幸せで…
ーーあたしは、一生忘れないわ」
ミシェルは、あたしの言葉を聞いてる間も、肩を震わせて泣いてた。
ホントに、愛おしい……
あたしは、そっと背中に手を回す。
そして、ミシェルの顔を覗き込んだ。
雪のような白い透き通るような肌に、整った目鼻立ち。あたしが、見てると、深く澄んだ美しいオッドアイが、あたしを捉える。
「ずっと前から、好きでした。」
あたしは、ミシェルを見ながら続ける。
「貴方に出会った時から、あたしは、一目惚れだったわ」
その言葉に、ミシェルが、驚いたように目を見開いた。あたしは、そのままミシェルにまた、甘い口づけをする。
「ゲフンッゲフンッ」
うしろで、幸也のわざとらしい咳払いが聞こえた。
あたしは、怒ったような口調で言った。
「ちょっと、空気読みなさいよね」
「いや、気まずいだろーが!普通に。
ーーなぁ?水無瀬」
「つーか、俺にはねえのか?かおりん」
水無瀬が、戯けたようにあたしを見て笑った。
「ないわよ。バカじゃないの」
そう言って、あたしは、ミシェルの胸に顔を埋める。
「これからも、ずっと好き」
ミシェルの心臓が、ドックンと跳ね上がったのが、聞こえた。鼓動が速くなっていってる。
「おい、かおり、もういい加減離してやれよ。
マクーーじゃねえ、ミシェルが茹で蛸のようになってるぞ」
幸也がそう言って、ミシェルを指さした。
顔を上げると、真っ白だったミシェルの肌が、深紅に染まっていた。ミシェルが、あたしと目が合うと、慌てて手で顔を隠す。
あたしも、顔が火照ってきた。
ーーごおおおぉおお
ーーゲートが閉じかける。
ミシェルが、眉を顰め、悲しそうな顔であたしたちを見た。
「これ」
あたしに、何かを差し出した。
小さな瓶だった。中身が、美しくゆらめいてる。
綺麗だと思った時だった。
「それは、記憶を消す瓶」
ミシェルの言葉に、あたしはハッとして顔を上げる。
眉が歪んでて、顔が悲しそうに曇ってた。
哀しくて、やるせない思いが、あたしにも伝わってくるくらい……
「おれが、ゲートを通ったら……開けて?」
その言葉に、あたしは、胸がいっぱいになって、熱いものが込み上げてきたけど、別れるまでは、気丈に振る舞おうって決めてた。
「ーー分かった」
でも耐えられず、涙がこぼれ落ちそうになった時だった。
「あ、俺、それどっかやったわ」
幸也の一言に、あたしとミシェルは、思わず吹き出した。
「もう!なくさないでよ!これ、高いんだからね」
マクが、泣き笑いしながら、幸也に言う。そして、ポケットから瓶を取り出すと、幸也にもうひと瓶渡した。
「じゃあ、バイバイ」
そう言うと、マクの体が、光の粒子になって、ゆっくり少しずつ散っていった。
「ゆきやもみなせも、今まで、ありがとう
元気でね」
あと少しで、消えかかるって時に、ミシェルがあたしにこそっと言った。
「本当は、おれも、好きだったよ。
ーーずっと」
「ーーーー」
あたしが、声にならない声を、出した時にはもう、ミシェルの姿は、無かった。
ミシェルがいたところには、ミシェルが付けてたピアスが落ちてた。砂時計のピアス
あたしは、震える手で、それを拾い上げる。
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