未来を繋ぐキンモクセイ

桜ふぶき

文字の大きさ
上 下
10 / 15

第十話 日曜日。

しおりを挟む


ーーー日曜が来た。

あたし、湊崎 かおりは、めいいっぱいオシャレをして、1時間前には隣町のショッピングモールに来てた。緊張して、朝は何も入らなかった。

ちゃんとプレゼントも持ってきたし、カンペキ!
あたしは、バックを見て満足げにうなづく。

ショッピングモールは、カップルや、子供連れが多くて、まさに休日って感じ。

あたしは、そのまま噴水の下見に行く。

「ここかぁ」

水無瀬の言う通り、カップルが多く屯してた。
互いに幸せそうに、笑ってる。

カップルの近くの噴水の水飛沫が、太陽の光に反射して、眩しく輝いている。

はぁ、緊張する
なんで誘導したらいいかしら?

あたしが、考えていると、ふいに聞き覚えのある声がした。

「1時間前集合とか、気合入ってるみたいだな」

あたしは、驚いて顔を上げる。
そこには、あたしをみてニヤニヤしてる水無瀬と幸也が立ってた。

「来るなって言ったでしょ?!」

あたしは、真っ赤になりながら幸也の胸ぐらを掴み上げる。すると、幸也が悪びれずに言う。

「勘違いしなさんな。俺らは俺らで買い物に来てんだよ」

「そーだぜ、かおりん。自意識過剰すぎ」

うそつけ!!
絶対、覗きに来たんでしょおが!!!

あたしが言いかけると、途端に向こう側がざわめき出した。

「芸能人かなぁ?」

数人の女子が、すれ違いざまに喋ってるのが聞こえる。あたしと幸也、水無瀬が顔を合わせる。

「マクが来たんじゃねえのか?あいつの容姿、結構人目につくし」

あたしは、その言葉を聞き終わらぬうちに、エントランスまで走り出した。

「おーおー、お熱いこって」

水無瀬が、ピュウと口笛を吹く。

「じゃ、俺らもストーキングを開始しますか」




あたしは、肩で息をしながら、エントランスまでついた。心臓がうるさい。みんなに聞こえるくらい、動いてる気がする。

女子がチラチラと、エントランスの壁にもたれ掛かってる人物に視線を注いでる。
あたしはすぐに誰だかわかった。

マクだ!!

マクは、ブカブカの右左で色の違うパーカーを上に羽織ってて、下は黒のスキニーを履いてた。ここからは横顔しか見えなかったけど、目鼻の整った顔立ちは、いつも見てるあたしですら、はっとするほど、洗練された姿だった。

ホント、黙ってればイケメンなのに!

あたしは、ドキドキしながら、震える声でマクの名前を呼ぶ。

「マク…っ!」

あたしの言葉に、マクがこっちを振り返った。
自然と、周りにいる人もあたしに視線を注いでるのを感じる。

「あれ?!もういたの?」

あたしを見るなり、マクが驚いたように、言った。

「おれ、I時間前に来たよね?!」

慌ててスマホを確認するマク。

「ううん。あたしが早く来ただけ。
ーーそれよりもーーせっかくだから、行こう?」

マクがうなづくと、あたしたちは歩き出した。
隣を歩けただけで、あたしはホントに幸せだった。みんなの羨望の視線もくすぐったい。あたしは、マクの顔をチラッと垣間見た。
どことなく、緊張してる気がする。視線がすごい泳いでるし。

ちゃんと、告白しよう

あたしは、緊張で震えながらもそう決心した。

でもこの時は幸せすぎて、あたしたちに、迫り来てる影にも気づかなかったーーーーー

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」 そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。 彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・ 産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。 ---- 初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。 終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。 お読みいただきありがとうございます。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

【完結】巻き戻りを望みましたが、それでもあなたは遠い人

白雨 音
恋愛
14歳のリリアーヌは、淡い恋をしていた。相手は家同士付き合いのある、幼馴染みのレーニエ。 だが、その年、彼はリリアーヌを庇い酷い傷を負ってしまった。その所為で、二人の運命は狂い始める。 罪悪感に苛まれるリリアーヌは、時が戻れば良いと切に願うのだった。 そして、それは現実になったのだが…短編、全6話。 切ないですが、最後はハッピーエンドです☆《完結しました》

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。

石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。 そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。 新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。 初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、別サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

三度目の嘘つき

豆狸
恋愛
「……本当に良かったのかい、エカテリナ。こんな嘘をついて……」 「……いいのよ。私に新しい相手が出来れば、周囲も殿下と男爵令嬢の仲を認めずにはいられなくなるわ」 なろう様でも公開中ですが、少し構成が違います。内容は同じです。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

処理中です...