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第十話 日曜日。
しおりを挟むーーー日曜が来た。
あたし、湊崎 かおりは、めいいっぱいオシャレをして、1時間前には隣町のショッピングモールに来てた。緊張して、朝は何も入らなかった。
ちゃんとプレゼントも持ってきたし、カンペキ!
あたしは、バックを見て満足げにうなづく。
ショッピングモールは、カップルや、子供連れが多くて、まさに休日って感じ。
あたしは、そのまま噴水の下見に行く。
「ここかぁ」
水無瀬の言う通り、カップルが多く屯してた。
互いに幸せそうに、笑ってる。
カップルの近くの噴水の水飛沫が、太陽の光に反射して、眩しく輝いている。
はぁ、緊張する
なんで誘導したらいいかしら?
あたしが、考えていると、ふいに聞き覚えのある声がした。
「1時間前集合とか、気合入ってるみたいだな」
あたしは、驚いて顔を上げる。
そこには、あたしをみてニヤニヤしてる水無瀬と幸也が立ってた。
「来るなって言ったでしょ?!」
あたしは、真っ赤になりながら幸也の胸ぐらを掴み上げる。すると、幸也が悪びれずに言う。
「勘違いしなさんな。俺らは俺らで買い物に来てんだよ」
「そーだぜ、かおりん。自意識過剰すぎ」
うそつけ!!
絶対、覗きに来たんでしょおが!!!
あたしが言いかけると、途端に向こう側がざわめき出した。
「芸能人かなぁ?」
数人の女子が、すれ違いざまに喋ってるのが聞こえる。あたしと幸也、水無瀬が顔を合わせる。
「マクが来たんじゃねえのか?あいつの容姿、結構人目につくし」
あたしは、その言葉を聞き終わらぬうちに、エントランスまで走り出した。
「おーおー、お熱いこって」
水無瀬が、ピュウと口笛を吹く。
「じゃ、俺らもストーキングを開始しますか」
あたしは、肩で息をしながら、エントランスまでついた。心臓がうるさい。みんなに聞こえるくらい、動いてる気がする。
女子がチラチラと、エントランスの壁にもたれ掛かってる人物に視線を注いでる。
あたしはすぐに誰だかわかった。
マクだ!!
マクは、ブカブカの右左で色の違うパーカーを上に羽織ってて、下は黒のスキニーを履いてた。ここからは横顔しか見えなかったけど、目鼻の整った顔立ちは、いつも見てるあたしですら、はっとするほど、洗練された姿だった。
ホント、黙ってればイケメンなのに!
あたしは、ドキドキしながら、震える声でマクの名前を呼ぶ。
「マク…っ!」
あたしの言葉に、マクがこっちを振り返った。
自然と、周りにいる人もあたしに視線を注いでるのを感じる。
「あれ?!もういたの?」
あたしを見るなり、マクが驚いたように、言った。
「おれ、I時間前に来たよね?!」
慌ててスマホを確認するマク。
「ううん。あたしが早く来ただけ。
ーーそれよりもーーせっかくだから、行こう?」
マクがうなづくと、あたしたちは歩き出した。
隣を歩けただけで、あたしはホントに幸せだった。みんなの羨望の視線もくすぐったい。あたしは、マクの顔をチラッと垣間見た。
どことなく、緊張してる気がする。視線がすごい泳いでるし。
ちゃんと、告白しよう
あたしは、緊張で震えながらもそう決心した。
でもこの時は幸せすぎて、あたしたちに、迫り来てる影にも気づかなかったーーーーー
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