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神罰

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「なんだって!?うちの領の守り神様であるサラ様がマーカスとか言うのに怪我をさせられただと!?」
「宝石強盗事件の英雄であるサラ様が!?」
「庶民さえ守ってくれるサラ様が!?」
「探せ!マーカスとか言うのを見つけて八つ裂きにしろ!」

 馬鹿な…俺は今何を見ているんだ…これが現実なのか…あれから二日間逃げ回っている。何でたかが子爵の娘を数発蹴って怪我させただけでこれだけの人間が動くんだ…これじゃ生かして逃げてきた意味がないじゃないか!
 普通10人くらいだろう!どうみてもこれは1000人規模で俺を捜索されている。ふざけんなよ…こんな事があってたまるか!

 そんな!?あそこにいるのは王国軍!あっちはオブライエン家の家紋が入った鎧を着た兵士たち。なんだこれ…これじゃとても逃げ切れない…

 馬鹿な…百歩譲って王国軍は分かる。あの小娘とは関係なくイリスとレオンを殺しかけた俺を血眼で捜すのはわからなくもない。でもそれでも少しおかしいがな…俺がいた頃の王国軍ならそれでも軍を動かすのにまず会議をしてからだから少々動きが早すぎるのが気になるが…とりあえず動くこと自体は納得は出来る。
 だが、オブライエン家は関係ないだろ!?あの小娘はそれだけの価値があるとでも言うのか!?まさか王国軍もイリスとレオンとは関係なくほんとはあの小娘のためだけに動いているとしたら?王国軍さえも動かすほどの価値があの小娘にあるとしたら…もしそうならあの時小娘を生かしておいたのは俺の人生の最大の失策になるのでは…

 いやいやいや…馬鹿か俺は!?そんなことあるか!ふざけんな!たかが子爵の6歳の子供が王子や王女より価値があるとか世迷言を考えるとか完全に冷静さを失っている。落ち着け…このままではあっという間に捕まってしまう。何とか脱出用の船のところまで行かないと…

「いたぞ!あそこだ!撃て!」

 くそ!弓兵に見つかってしまった!

 ヒュン!ヒュン!ヒュン!

 矢が雨のように降ってきた。ちくしょぉぉお!かわしきれない!

 ザクッザクッザクッ!

「ぐはぁあああ!!!」

 右腕に一本わき腹に一本みぞおちに二本矢が刺さった。
 こんな馬鹿なことが…まさかこれが神罰!?こんな事があるというのか。俺があの小娘に蹴りを入れた場所と同じ場所に刺さるなんて!
 幸いといっていいのか分からないが皮鎧を着ていたおかげで内臓までは刺さっていないが確実に筋肉は突き破っているのでこのままでは失血死してしまう。なんなんだ!なんなんだ!俺は何に手を出したんだ!?あの小娘は神の使いとか天使だとでも言うのか!それに暴行した俺は『死あるのみ』だとでも言うのか。ふざけんなぁあああ!
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