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サラ先生

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「キース…君さすがにこれはやりすぎじゃないのかな。」

 レオン王子が少し呆れ気味に言った。

「何を言っているんだ。レオン。俺はレオンのライバルで同じ土俵で戦ってくれるんだろう?それなら同じクラスという土俵くらいは用意しても良いじゃないか。」

 そうこともなげに返すキース。この人はホントにむちゃくちゃだな…

「わかったよ…今回だけだからね。あんまり権力を使っての暴走はダメだからね。他の人に迷惑かけるようじゃサラの相手としてふさわしくないしね。」

 と、王子も渋々了承したようだ。ちなみにレオンの席は私の反対側の隣である。これも偶然なんだろうか?レオン王子が何かしたとは考えにくいが国王なら…うーん…まぁいいか。

「それじゃ気を取り直してもう一度…明日からはこの教科書をもってきてくださいね。」

 そう言ってキースが来る前の話を再開するメル先生。こんな不測の事態でもすぐに元に戻せるとは見た目ほどダメな先生ではないのかもしれない。
 それはそうとに明日からはじめる教科書は…当然うんざりするほど簡単な勉強だった。小学生だしね。仮にも私ついこの前まで現役女子高校生だったのよ?JKよ?ぴちぴちのJK!
 え?ぴちぴちとか言うのがもう古い?その前は何歳かだって?それは言わないで…大体そんなの関係ないわ!今はさらに肉体も若くてJKすらおばたん扱いできるのよ!?
 あ、ちなみに前世では最初ちょっとだけ勉強に苦労しました。勉強なんて物から離れて十数年の私がいきなり高校生レベルの勉強なんて出来ないわよ。現代日本よりは簡単な方だと思うけどそれでも数学なんて忘れたわよ。算数レベルしか覚えてないわよ。とは言え周りの子供たちは…

「うぅ…お勉強難しそうだよぉ…」
「これみんなやってるんだよな?」
「数字なんて貴族の俺が覚える必要ないだろう。召使にやらせれば良いじゃないか。」

 と、みんなおびえていた。ふふふ…なんだか微笑ましく思えてきたわ。ここはお姉さんがちゃんと導いてあげましょうかね。

「大丈夫ですよ。みなさん。いきなり最初から難しい事は誰だって出来ません。まずは簡単な事から順番にやっていけば誰にだって出来ますよ。皆さんが開いているページは中盤じゃないですか?まずは順番に1ページ目から目を通して見てください。どうですか?」

 と、説明してあげた。

「あ…ホントだ!最初は難しくないや。すごーい。サラさん先生みたいだね。」
「じゃーメル先生いなくても大丈夫だね。」

 コラ…なんてことを言う。やめてください。なんかメル先生からの視線が痛いんですが?
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