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出発準備

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 そんなわけで入学式の日がやってきた。

「お父様…もうこれくらいで充分です。」

 何の事かって?私の初入学式にお父様が張り切ってしまって私の服装とかお父様の服装とかお母様の服装とか…
 まぁ要するにみんなの見た目にこだわりにこだわっていつまでたっても出発できないのだ。

「し、しかしこの地上に舞い降りた天使であるサラの入学式だぞ?どんだけ念を入れても足りないくらいだ。」

 何を言っているのだこのお父様は…

「これ以上時間をかけているとその入学式が終わってしまいますわ!」

 余裕をもってかなり早起きしたのにもうこのままでは遅刻ギリギリである。

「そ、それはさすがにいかんな…もうそんな時間か…仕方ない。」

 何とかお父様を納得させて出発できるようになった。
 出不精のお母様もさすがにこういうイベントは参加してくれるようでちゃんとおしゃれしてくれている。家では枕が恋人なのとか言っているお母様も外では完璧な貴族令嬢を演じてくれるのだ。
私にとってはそれで充分だ。イベントに参加してくれるだけでも嬉しい。
 前々世での親は…いやもう思い出すのはやめておこう。今のお母様はちゃんとやる事はやってくれる。それ以外のときくらい家では自由でいたいと思うのは私もすごく気持ちが理解できるので文句は何もない。

「では出発だ!」

 お父様が御者に声をかける。
 男爵の時は専属の御者なんていなかったが子爵になってから御者を雇う事にしたのだ。
 それなりの身分のものはそれなりのことをしなければいけないって言う貴族のめんどくさいしがらみと言うのかな?そう言うのがあるみたいであんまりに貧乏臭い行動すると貴族として信用してもらえなくなって誰も相手してくれなくなってしまうのだ。

 と、ホントはしたくないけどしなければいけないからしたように言ったけど、実を言うとお父様はなんだかんだ言って御者を雇うと言う事にそれなりに憧れがあった様で結構ウキウキで御者に指示を出している。

 今までも自分がやる以外に護衛にやらせたりすることもあったけど、あくまで護衛は護衛が仕事だからあんまり細かい指示を出すと…

「俺は御者じゃねぇんだよ!馬扱うためにこの仕事してるんじゃねえんだよ!俺の仕事は剣を扱うことなんだよ!!馬の舵を切らせるんじゃなく賊を切らせろ!!!」

 となんか上手い事言いながら激怒されて仕事をボイコットされたりもあったのでさすがにあんまり言えないのだ。
 だから専属の御者と言うのはやはり気分が良いみたいだ。
 お父様にもそんな可愛らしい所があったんだなーと思うのでした。
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