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最終章
58.役割
しおりを挟む次の日、父親に呼び出され学校終わりに事務所に行く。
「お。明里」
「話って何?」
「うん。来週からバイトしなくて良いぞ」
「えっ?」
「来週から新しい人雇ったから」
父は机の上の書類に目を通しながら私に言う。
「待って…急すぎる」
「元々次の人が見つかるまでって言ってただろ?お小遣いは変わらず頑張ってたから上げていく。それじゃダメなのか?」
「それは…」
司さんや皆と一緒にいたい…。
と言えない。
そんなのは自分勝手だ。
「…わかった」
「荷物、早めにまとめておきなさい」
私はそのまま無言で事務所から出ていく。
「はぁー…そりゃそうだよね」
皆にも話さなきゃ。
夕飯に作るグラタンの材料を買ってからマンションに帰ると誰も帰っていなかった。
ホワイトボードを見ると皆20時、21時までだった。
「遅いんだ…」
【司 21時 ○△スタジオ 撮影】
司さんの名前の所に手を当てる。
私の役割は家政婦で、ただ家事をするだけだったのに、司さんや皆と一緒にいた時間が楽しくて、この毎日が続けばいいと思ってた。
でも、私は所詮高校生で芸能人でも無ければ、業界で働いている人間でもない。
みんなの代わりはいないけど、私の代わりはいっぱいいる。
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