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第6章
55.カップル伝
しおりを挟むカフェを出ると、向かったのは…
「虹の壁?」
「そう!偶然居合わせたプロの絵描きさんが頼まれて壁に描いた絵がどこかの路地裏にあって…それを見たカップルは」
カップルまで言ってしまい、その先を口にするのを止める。
「え、何?気になるんだけど」
「カップルは…ずっと仲良く一緒にいられるって。
だからその虹の壁はさっきのカフェの近くってことで言い伝え通り見かけても場所は伝えない決まりがあるらしくて」
「それで場所はここら辺にあるんじゃないかと言われてると」
「サイトも虹の壁の写真を誰かがSNSで載せた物を使ってるみたいで」
「なるほど」
司さんは私と同じようにキョロキョロと見渡す。
「司さんも見たいってこと?」
「言い伝え信じてるんでしょ?明里は」
「うん…」
あれ?ちょっと待ってよ。
確かに司さんは私を好きだって言ってくれてて。でも私、ちゃんと伝えてなくない?
カップルって恋人同士のことだよね?
「一通り見たけど、ないね」
「うん」
近くの公園で一休みをする。
静かで読書をしてる人、散歩をしてる人しかいない。
「明里、もう一度さっきの画像見せて」
「うん」
携帯を渡すと司さんは再び画面と睨めっこする。
「司さん、話をしてもいい?」
「話?うん」
携帯を私に返して向き合う。
「あの…私も司さんが好きです。
大好きです…って言いたかったと言いますか…」
恥ずかしくなって段々と小声になっていく。
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