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Ririsu◡̈*♡.°⑅

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第6章

51.俺の好きな人

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~忍side~

初めて明里ちゃんと会った時、可愛いけど普通の子が入ってきたな。と正直思ってたけど。

素直じゃなくて、人を寄せ付けようとしない司くんにぐいぐいぶっ込んでいく姿を見て、この子強いな、とか思った。

俺が素とは違う、真面目で大人なアイドルで売ってるからCM撮影の時にいつもとは違って作ってる俺を見て、明里ちゃんは【自然体でいい】って言ってくれた。

俺の事なんて見てないと思ってた。

昔からそうだったから。

俺の顔は母親が不倫した相手にそっくりだって親父に良く言われてた。
気にしないようにしようとしても、受け入れて欲しくても…気づいてくれなくて。

だけどきっと、明里ちゃんなら俺の事を分かってくれるんだろうな。

「明里ちゃん。」

水槽を除く彼女の名前を呼ぶとゆっくり俺を見る。

「明里ちゃんは、俺の顔どう思う?」

明里ちゃんは首を傾げて「かっこいいんじゃないの?」と言う。

「俺のこの顔ね、母親が不倫した相手の顔にソックリらしくて。親父が嫌いだって言ってた」

「……」

明里ちゃんは一瞬黙り込む。
そりゃこんな重い話をされて何も言えるはずない。

「忍くんは忍くんだよ!」

俺の右腕を少し強く引っ張る明里ちゃんは、真っ直ぐ俺を見る。

「お母さんが不倫した相手との子供でも、本当のお父さんとの子供だとしても、忍くんは世界に一人しかいないよ」

「…っ」

あー。やっぱりこの子好きだな。

いつだって人のことばかり気にしてくれて、俺の事を見てくれて。

「ありがとう。明里ちゃん」

少し視界が明るくなった気がするよ。
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