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第6章

47.いつですか？

「それで…
明里ちゃんは、いつお兄ちゃんに気持ち伝えるの？」

「ぶはっ」

飲んでいたので、驚いて吹き出す。

「ちょっ！？え、なに」

「ごめんなさい。見ていたらわかるというか…」

きょとんとした顔で私を見る。

「曲作りも一緒にして、CDの売上も良いし、今がチャンスじゃないですか？」

「それは、その…」

「言わないの！？」

「タイミングとか…いろいろ解らなくて。
私今まで恋愛経験なんてなくて…」

「やだ！可愛いー」

私の隣に座って、ギューッと抱きしめる。
そんな千夏ちゃんの方が絶対かわいい。

「タイミングなんて何時でも良いんですよ！
明里ちゃんが伝えたいなーって思った時に伝えれば」

肘をテーブルにつけて楽しそうに話す千夏ちゃんに、

「頑張ってね！」
 
と言われたものの。

「タイミングなんて、そんなの…」

地元の駅に着き、駅ビルの液晶テレビにRivateとHa-noyu,のCMが流れていた。

「みんな、凄いな…」

「明里？」

ボーッと立っていた私の後ろから名前を呼ばれて振り返る。

「つっ…！？」

司さん！って言おうとして、周りに人がいたので口に手をあてる。

「そんな事しなくてもあんまり聞こえないよ。
一緒に帰ろう」

私の横に司さんが立ち、一緒に歩き出す。

「これ、バレないですか？」

「案外普通にしてた方がバレないよ」

しれっと言われて、少し緊張していた私が恥ずかしい。

「そうだ。さっきまで千夏ちゃんと会ってたんだよ」

「え？そうなんだ。何か言ってた？」

「曲聞くの楽しみって言ってた。
あとは…」

隣を歩く司さんの横顔を一瞬見るとすぐに目が合う。

「どうした？明里」

いつお兄ちゃんに気持ちを伝えるの？
千夏ちゃんのさっきの言葉を思い出し、顔が紅潮する。

「なんでもない…」