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第5章

39.大切な

「えーっと。こちらは…」

マンションに賢人と行くと、今日は由くんだけがいて、ツンツンしている賢人を見ながら私に尋ねる。

「幼なじみ…」

「他は？」

「他？」

「お前が気になってる奴だよ！」

「ちょっ！」

由くんの前で…この男は…

由くんは、1人で納得して頷いている。

「司くんのことですね？」

「由くんー！！」

「司？司って誰だよ！」

私の肩を掴んで揺らす。

「僕の事だけど。何？」

リビングのドアが開いて司さんが入ってくる。

「天海司…」

「君、だれ？」

「明里の幼なじみで将来を約束した、砂川賢人だ！」

「「えっ！？」」

司さんと由くんが声を揃えて驚き私を見て、私はそれに対して首を横に振る。

「そんなの昔の話で時効でしょ」

「嘘なのかよ！」

「だから、そんな小さい頃の約束したかもしれないけど良くある幼少期の約束でしょ！！」

賢人が声を張るもんだからこっちも対抗して声が更に大きくなる。

「とりあえず…明里も砂川くんも落ち着いて」

私と賢人の間に司さんが入る。

「司さん…」

「ちょっと、砂川くん僕と話しない？」

「は？」

「ちょっと付き合ってよ。
明里、由、少し席外してくれるかな？」

私と由くんは頷いてリビングから出ていく。