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Ririsu◡̈*♡.°⑅

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第4章

36.妹の思い

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駅まで千夏ちゃんを送る。

「今日はありがとうございました。明里ちゃん」

「ううん、私は何にもしてないよ」

「そんな事ないですよー」

「…千夏ちゃん、もしかしてお兄ちゃんと瀬戸さんに会いに来ただけじゃないよね?」

私の言葉を聞いてピタッと止まってゆっくり私を見る。

「なんで、ですか?」

「何となくなんだけど、司さんに会った時少し目が潤んでた気がして」

「本当によく見てる人なんですねー」

あははーと千夏ちゃんは軽く笑うと、「少しそこでお話しましょうか」と公園に寄る。

「私たちの家は、天海総合病院で父は院長。昔から医者にさせるために私たちは勉強ばかりしてました。
だけど、お兄ちゃんは母の影響で子役から活動してて。将来俳優になりたいことを父に言ったんです」

「えっ」

「もちろん反対されました。
だけど、お兄ちゃんは夢を諦められなくて…親子の縁を切って今俳優やっているんです」

知らなかった。

「だからお兄ちゃんに会いに行くのもこっそりで」

舌を少し出して、悪戯っぽく笑う。

「千夏ちゃんはどうするの?今後は」

「私は医者になりますよ!
美人女医で有名になるように」

立ち上がってガッツポーズをする。

「美人の自覚はあるんだ…」

「明里ちゃん、今のお兄ちゃんにとって帰る場所はあのマンションしかないから。
だから、よろしくお願い致します!!」

頭を深深と下げる千夏ちゃんの手を握り、

「私に出来ることなら何でもするから。
話してくれてありがとう」

「ありがとう…!
明里ちゃんみたいな子がお兄ちゃんのそばに居てくれるなら安心」

「任せて…」

「はいっ!お願いします」

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