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第4章
31.相性最悪
しおりを挟む突然の父親の発言に固まる2人。
暫くして、忍くんが口を開く。
「あの…何ででしょうか?」
「事務所の10周年記念だからだけど。
遥も由と尚に組んでもらうことにしたが…2人は不満か?」
「不満というか…」
今さっきまで揉めていた2人は苦笑いしながらお互いを見る。
「そうだ、明里。
お前が2人の曲を作ったらどうだ?」
「え?何でそうなるの??」
「何でってお前、作曲も作詞も出来るだろ?」
「それは…出来るけど」
今この状況で2人の曲なんてとてもじゃないけど作れたものじゃない…。
「へぇ。明里ちゃん、曲作れるんだー」
「作れるけど…無理!
最近作ってないし、ピアノに触ってないし…」
「明里が作ってくれる曲なら、僕も歌ってみたいかな」
乗り気じゃなかった2人の顔色が急に変わる。
「え…」
「じゃあ決まりだな。グループ名は2人で決めるか?」
司さんと忍くんはお互いの顔を見て困った顔をする。
恐らく思い浮かばないのだろう。私も2人にぴったりの名前は今は浮かばない。
「ふむ。明日までに返事を聞かせてくれ」
父はリビングから出ていく。その後を私は走って追いかける。
「お父さん!」
「明里か。なんだ?」
「なんだ?じゃなくて!あの2人が相性最悪なの知っててやってるでしょ!?」
「ほぉ。あの2人仲悪いのか」
微かに笑いながら頭を掻く。
「性格最悪だね」
「じゃあ聞くが。あの2人が相性最悪なのは何が原因なんだ?
性格か?波長か?それとも…明里が絡むのか?」
「え…」
ドクンッと脈を打つ。
「冗談だよ。じゃあ、後は頼んだぞ」
そう言ってエレベーターに乗り込んで行ってしまった。
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