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第4章
28.自分の気持ち
しおりを挟むしばらくの沈黙、というのも何を言っていいかわからない。
「明里ちゃん?」
「ごめん…」
「えっ?」
「私、忍くんの気持ちには答えられない!」
下向いていた顔を上げて、真っ直ぐ忍くんを見る。
「…なんで?」
そんな私を忍くんは、優しく微笑んで聞いてくれた。
「えっと、好きとか恋愛とか初めてで…
自分が誰かと付き合うとかまだ考えられない」
「じゃあ司くんとは?
司くんに今告白されたら」
「そ、そんな事ないですよ!」
「明里ちゃん鈍すぎ」
全力で首と手を横に振って否定する。
「例えそういう事があっても今はまだ。
もう少し自分に自信を持てないと誰かと付き合うとかしちゃいけない気がするから」
私の言葉を聞いて忍くんは、頭を撫でながら「了解」と言って離れる。
「俺、長期戦覚悟してるからさ。
もっと俺の事知ってもらえるように頑張るから好きでいてもいいかな?」
「えっ!?
私なんかをそんな…」
そう言うと忍くんが私の頬を引っ張る。
「それ禁止ね。
"私なんか"っていうの。
俺にとって明里ちゃんは大切で特別な女の子だから」
「忍くん…」
「わかった!?」
手から頬が解放されて、思い切り頷く。
「あー。お腹すいた」
「ごめん!すぐ作るね」
私は慌ててリビングに戻り、夕飯の支度をする。
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