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第2章
17.胸が鳴ったのは
しおりを挟む「疲れた…。子供って元気なんだね」
帰り道、一緒に歩きながら今日の振り返りをする。
「でも、歌えてたね」
「ん。楽しかった」
喉を触りながら安心した顔をする彼は続いて「歌えて良かった」ともらす。
「良かったね」
「ありがと。明里が提案してくれなかったら撮影当日まで歌う事出来てなかったかもしれない」
「そんな事ないよ。
舞も暫くはあの時間来ても良いよって言ってたし、時間がある時に行って歌ってきたら」
「うん」
いつも以上に素直な司さんに少し戸惑いつつも嬉しそうだからいいか。
チャリンチャリンと自転車のベルが鳴ると凄い勢いで突っ込んで来る。
その瞬間司さんに腕を引かれ、彼の胸に抱き寄せられた。
「あっぶな」
低すぎず、高すぎずのいつも聞く声が頭上から聞こえ、あまりの距離の近さに胸がドキッとした。
「大丈夫か?」
私の思考は停止したまま。
「明里!大丈夫か?」
司さんに肩をゆらされて我に返る。
「大丈夫!ごめん、ボーッとしてた」
あははーと笑って彼から離れる。
「明里、本当に大丈夫か?
顔真っ赤だけど」
「だ、大丈夫!私ちょっと汗っかきで…」
右手で自分に扇ぐ。
「変なやつだな。
そういえば買い物とかしなくて平気?」
「うん!昨日買っといたし、大丈夫」
さっきのドキッとしたのは何だったのか疑問に思ったけど、普通に話せてるし…
気のせいだよね。
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