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第2章
13.名前
しおりを挟む「忍…っ」
暫くすると忍くんのマネージャーさんが走ってきた。
「あ、社長のお嬢様」
ぺこりとお互い頭を下げると、忍くんの姿を見て申し訳なさそうに笑うマネージャーさん。
「疲れてますよね…やっぱり」
「求められてる姿をつくるのって、凄く大変だと思うから。そのキャラクターを維持するためにきっと間宮くんは努力をいっぱいしてるから…」
「忍の事を見ててくれてるんですね」
「一緒に暮らしてますから」
あははーと笑うと「んっ」と間宮くんが目を覚ます。
「わっ!!ごめん、明里ちゃん」
「ううん、大丈夫。
じゃあ私先に帰ります。
間宮くん、お仕事頑張って」
「うん、ありがと…」
カバンを持ってマンションへと向かい歩く。
「あれ?そういえば…間宮くん聞きたいことあるって言ってたような…」
なんだろう?と頭では思いつつ、帰りに聞けばいいかと立ち止まった足を再び動かす。
「待って!明里ちゃん!!」
グイッと後ろから腕を引かれて振り返ると、間宮くんが息を切らしながら立っていた。
「間宮くん…」
「なんで、その…司くんと由くんには名前で呼んでて、俺はそのまま名字なのかなって」
「え、え?呼び方?」
口元に手を当てながら顔を真っ赤にする間宮くん。
「特に深い意味はないんだけど…。
ただ、名前で呼んでいいって言ってたから」
「じゃあ俺も!俺のことも名前で呼んでほしい!」
「わかった…し、忍くん」
「うん!じゃあ、聞きたかったことってその事だから!引き止めてごめんね」
そう言って忍くんはマネージャーさんの元に走って戻る。
私はその背中をどんな顔して見ていたのか、わからなかった。
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