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第2章

10.割に合わない

学校に着くと机に顔を伏せる。

「ねぇ、最近明里どうしたの？」

「なんか凄く疲れてるよね。
お家の手伝い忙しいの？」

友達の聖良と舞が私の傍に来てくれる。

「家の手伝い…」

そうだよ！バイト禁止の学校で少しでも稼ぐ為にも始めたお手伝いなのに…

「割にあってない…」

「え？家のお手伝いそんなにハードなの？
何のお仕事？」

「えっと…」

言えない。芸能人事務所の事も隠してるのに、タレントたちと暮らしてるとか…。

「メイド喫茶」

「「メイド！？」」

2人はびっくりした顔で私を見る。
それはそうだ。私なんかがあんな可愛い服を着て接客なんて有り得ない。

「でも、家がメイド喫茶とは確かに言いづらいもんね。ごめんね、聞いちゃって」

「ううん！私こそごめん、黙ってて」

嘘なんだけど。

「ねぇねぇ見てー！」

「司くんの切り抜き？本当に天海司好きだね」

隣の席の女の子3人が聞き覚えのある名前の人の話をしていた。

身近に居すぎて忘れてたけど、あの人たち有名人なんでした。

「超カッコイイよね！」

「えー！でも、私はアイドルの間宮忍派！
よく司くんとバラエティとかで一緒だと絡んでて好きなんだよねー」

あー。その人よく知ってます。
テレビのイメージとは大分正反対ですけど。

頭の中で苦笑いをしていたらお父さんからのメール。

【学校が終わったら事務所に来て欲しい】とのこと。

「めんどくさい…」

私は再び机に顔を伏せる。

「明里！？」

「大丈夫かー？」

2人に声をかけられても返事をするとこが出来ないぐらい夢の世界にいってしまった。