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第一部 元親友との決着編
一方のたかし信者、愚痴をこぼす
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「ゼェ……ゼェ……ハァ……」
老骨にこたえるわい……。
たかし様の祭壇を出発してから数日、ようやくサークルポリスに到着した。
それも昨日の話。あまりに疲労困憊だったため、即座に宿屋に泊まったものだ。
ウワサに聞いていた、レッドドラゴンの討伐クエスト。
たかし様から知名度集めに行ってこいと強制され、身体にムチを打って出発した。
もう一人の信者は結局辞めてしまったので、儂一人で向かった訳じゃな。
疲れが取れきらぬ状態。たかし様が加護とか言ってナイフに魔力を捧げてくれたが、正直心もとない。が、頼まれたら断れない性格ゆえ、せめて一太刀でもモンスターにかましてやろうと意気込んでいたが……。
「デウディーン様万歳! デウディーン様万歳! デウディーン様万歳! デウディーン様万歳! デウディーン様万歳! デウディーン様万歳! デウディーン様万歳……!」
昨日とうってかわって、人々が熱狂に包まれているのだ。
「も、もし、若いの……。一体、何があったのですかな……?」
「あん? 知らねぇの? 今さっき教皇様が演説してよ、レッドドラゴンと和解したって盛り上がっているんだよ」
「わ、和解……?」
ソレを聞いて、儂はがく然とした。
つまり、戦いは終わったと……?
「そ、それじゃ、どうなるんです? レッドドラゴンの討伐クエストは……? 儂、そのウワサを聞いてここまで旅をしましたのに……!」
「いや知らねぇよ。そりゃ和解したんだから無くなったんだろ。クエスト消滅。何もする事なんかねぇよ」
「そ、そんな……」
儂はもう、途方に暮れたね。
たかし様の知名度を上げる手段だと思って来たのに、ほんの入れ違いで叶わなくなった。骨折り損のくたびれ儲けとはこの事か。
若者がその場を離れ、儂は一人呆然とする。
目的が無くなってしまったからだ。
いや、そもそもなぜ、こんな目に合わなければいけないのか。
「もう嫌じゃ……ウンザリじゃ……」
そう、元はと言えば、あの女神が悪いんだ。
いつも偉そうで短気でこき使おうとする。少しでも女の影がちらくつと鼻息荒くして自分のオモチャにしようとする。それでちょっとでも怒られたらすぐビビる内弁慶。弱いものに乱暴で強いものにへりくだる、典型的な小物。
何で自分がそんな女神かよく分からんメガネザルに仕えなきゃいけないのか……!
「儂、頑張っとるよな……」
先祖代々から続いたという女神信仰。貧乏くじを引いてきたんだなと、改めて思う。
儂が幼い頃からずっと傲慢で情緒不安定な女神と呼ぶのもおこがましい、奇妙な存在。そんなヤツのために人生の大半を使ってきたのだと思うとはらわたが煮えくり返ってくる。
「クソが……あのクソ女神……! ブサイクでクソみたいなツラしてるクセに……!」
「うんうん」
「ちったあ儂に感謝しやがれ! 尽くされて当然みたいな態度ばかり……礼くらい言ってみろや!」
「分かる。あヤツは昔からそうじゃったからのぉ」
「クソボケ! 根暗! 内弁慶! 小物! ゴミ、カス、クズ……!」
「そうじゃそうじゃ、もっと言ってやれ」
「礼儀を知らないアホ! 肩書きだけの能無し! クズ、クズ、クズ……」
ここで儂、気がつく。
何者かが相づちをうっている事を。
周りを見回すと、幼女が一人、儂をじっと見つめていた。
白いローブを羽織っている。
黒髪で、右側に分けた前髪が特徴的な幼女。
もちろん、初対面だ。接点はないはず。
「えと、君は……?」
「サージャよ、間違いないな?」
『間違いありませんマスター。この老人の所持品から、田中たかしとほぼ同一の魔力反応があります』
幼女の服から知らぬ声が響いてきた。
儂は驚き、後退りしてしまう。
さらに【田中たかし】の名前を聞いて、二度驚いてしまった。
な、何じゃコイツ……? いや、二人いるのか?
何者なんじゃ? なぜ、その名前を知っておる……? なぜ、あのクソ女神を知っている……?
疑問は尽きない。が、向こうは儂の都合などお構いなしだった。
後ずさった分だけ儂に近づき、尋ねてきたのだ。
「【田中たかし】を知っとるかの? メガネをかけて怒りっぽい、元異世界転移者なのじゃが……」
************************
【サージャ】≪『第二十六話をお読みいただき、ありがとうございます』
【サージャ】≪『ついに手に入れましたね、マスター。田中たかしへの手がかりを』
【サージャ】≪『かつての親友との再会は、果たしてどんなドラマが生まれるのでしょうか』
【サージャ】≪『それでは、次回をお楽しみに』
老骨にこたえるわい……。
たかし様の祭壇を出発してから数日、ようやくサークルポリスに到着した。
それも昨日の話。あまりに疲労困憊だったため、即座に宿屋に泊まったものだ。
ウワサに聞いていた、レッドドラゴンの討伐クエスト。
たかし様から知名度集めに行ってこいと強制され、身体にムチを打って出発した。
もう一人の信者は結局辞めてしまったので、儂一人で向かった訳じゃな。
疲れが取れきらぬ状態。たかし様が加護とか言ってナイフに魔力を捧げてくれたが、正直心もとない。が、頼まれたら断れない性格ゆえ、せめて一太刀でもモンスターにかましてやろうと意気込んでいたが……。
「デウディーン様万歳! デウディーン様万歳! デウディーン様万歳! デウディーン様万歳! デウディーン様万歳! デウディーン様万歳! デウディーン様万歳……!」
昨日とうってかわって、人々が熱狂に包まれているのだ。
「も、もし、若いの……。一体、何があったのですかな……?」
「あん? 知らねぇの? 今さっき教皇様が演説してよ、レッドドラゴンと和解したって盛り上がっているんだよ」
「わ、和解……?」
ソレを聞いて、儂はがく然とした。
つまり、戦いは終わったと……?
「そ、それじゃ、どうなるんです? レッドドラゴンの討伐クエストは……? 儂、そのウワサを聞いてここまで旅をしましたのに……!」
「いや知らねぇよ。そりゃ和解したんだから無くなったんだろ。クエスト消滅。何もする事なんかねぇよ」
「そ、そんな……」
儂はもう、途方に暮れたね。
たかし様の知名度を上げる手段だと思って来たのに、ほんの入れ違いで叶わなくなった。骨折り損のくたびれ儲けとはこの事か。
若者がその場を離れ、儂は一人呆然とする。
目的が無くなってしまったからだ。
いや、そもそもなぜ、こんな目に合わなければいけないのか。
「もう嫌じゃ……ウンザリじゃ……」
そう、元はと言えば、あの女神が悪いんだ。
いつも偉そうで短気でこき使おうとする。少しでも女の影がちらくつと鼻息荒くして自分のオモチャにしようとする。それでちょっとでも怒られたらすぐビビる内弁慶。弱いものに乱暴で強いものにへりくだる、典型的な小物。
何で自分がそんな女神かよく分からんメガネザルに仕えなきゃいけないのか……!
「儂、頑張っとるよな……」
先祖代々から続いたという女神信仰。貧乏くじを引いてきたんだなと、改めて思う。
儂が幼い頃からずっと傲慢で情緒不安定な女神と呼ぶのもおこがましい、奇妙な存在。そんなヤツのために人生の大半を使ってきたのだと思うとはらわたが煮えくり返ってくる。
「クソが……あのクソ女神……! ブサイクでクソみたいなツラしてるクセに……!」
「うんうん」
「ちったあ儂に感謝しやがれ! 尽くされて当然みたいな態度ばかり……礼くらい言ってみろや!」
「分かる。あヤツは昔からそうじゃったからのぉ」
「クソボケ! 根暗! 内弁慶! 小物! ゴミ、カス、クズ……!」
「そうじゃそうじゃ、もっと言ってやれ」
「礼儀を知らないアホ! 肩書きだけの能無し! クズ、クズ、クズ……」
ここで儂、気がつく。
何者かが相づちをうっている事を。
周りを見回すと、幼女が一人、儂をじっと見つめていた。
白いローブを羽織っている。
黒髪で、右側に分けた前髪が特徴的な幼女。
もちろん、初対面だ。接点はないはず。
「えと、君は……?」
「サージャよ、間違いないな?」
『間違いありませんマスター。この老人の所持品から、田中たかしとほぼ同一の魔力反応があります』
幼女の服から知らぬ声が響いてきた。
儂は驚き、後退りしてしまう。
さらに【田中たかし】の名前を聞いて、二度驚いてしまった。
な、何じゃコイツ……? いや、二人いるのか?
何者なんじゃ? なぜ、その名前を知っておる……? なぜ、あのクソ女神を知っている……?
疑問は尽きない。が、向こうは儂の都合などお構いなしだった。
後ずさった分だけ儂に近づき、尋ねてきたのだ。
「【田中たかし】を知っとるかの? メガネをかけて怒りっぽい、元異世界転移者なのじゃが……」
************************
【サージャ】≪『第二十六話をお読みいただき、ありがとうございます』
【サージャ】≪『ついに手に入れましたね、マスター。田中たかしへの手がかりを』
【サージャ】≪『かつての親友との再会は、果たしてどんなドラマが生まれるのでしょうか』
【サージャ】≪『それでは、次回をお楽しみに』
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