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第一部 サークルポリス襲撃編
元転移転生魔術師、事情を知る 前編
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「……という訳じゃ。すまんが話を合わせてもらえんかの」
((事情は分かりました。デウディーン様の……いえレディ・マリーの頼みであれば、喜んでお受けしましょう))
シャルルが快諾してくれた。これで一安心じゃ。
催眠術の下りを話している時はさすがに動揺されたが、何とか乗り切る事ができた。
これも全ては、シャルルの人柄のおかげという訳じゃな。
「ラスティア、もういいぞ。戻ってこい!」
背中を向け、耳を塞いでいたラスティアを呼びかける。するとあヤツ、ウキウキとした表情で振り向いたのだ。
「ど、どうしたんじゃ? そんな嬉しそうに……?」
「いえいえ! それより楽しみにしていますので!」
……? まあ、よかろう。ともかく懸念は一つ去ったのじゃから。
ワシが一息ついたところで、シャルルが人間の姿に変化しておる。
それから、レッドドラゴンと向き合っておった。
((ミミティ……といいましたね?))
「え、あ、はい……。ミミティ・アン・レッドフレイム……親にそう名付けてもらいました」
((人の姿になりなさい。その姿のままではマリー様が話しづらいでしょう))
「あっ、……分かりました。変身します」
初めは戸惑っていた風のレッドドラゴン、いやミミティ。しかし受け入れたのか、身体を縮こませていく。
そしてワシらの前に現れたのは、少女の姿じゃった。
「お主……女だったんじゃな」
ミミティはショートヘアーの少女じゃった。
赤髪のツリ目で、まさに勝ち気な顔つき。レッドドラゴンがあれだけ強気で攻撃的なのも、納得できる雰囲気じゃ。
「は、はい……。人間に舐められないよう、強い姿勢でいかせてもらいましたが……」
そんなミミティじゃが、何だか弱気に見える。
そしてあろう事か、地面にヒザをつき始めたではないか。
「この度は……申し訳ありません! 偉大なるデウ……いえレディ・マリーに大変な無礼を働き……謝罪のしようもございません!」
「え、いや、そんな……。って、何脱ごうとしとるんじゃ!?」
涙を流しながら謝り始めるミミティ。何と、ワシらの前で上着を脱ぎ始めたではないか。
少女に違わぬ白い肌に細い腰つき。膨らみかけた胸がチラッと……ってそんな場合じゃない!
「お、おい……別にそんな事しなくてよいのに……」
((止めなくて構いません。これは竜人族に代々伝わる精一杯の謝罪なのです))
などと、シャルルが落ち着きながらも威厳のある態度で説明してきよる。
「いやそんなんええから! 脱ぐのやめて!」
ワシはもう、とにかく必死に脱ぐのを食い止めた。
そんな謝罪求めてないからね……。ワシが望んでるのはそういう事じゃないし。
「デウディーン教団と竜人族の謝罪に共通点があったとは、感心しますねマリー様!」
ラスティアが何か言ってくる……。とりあえず無視しておいた。
「いやの、そういう事じゃないんじゃよ。ワシが知りたいのは。何で、ミミティとサークルポリスが戦ってたかって事じゃ。分かったらさっさと服着て」
そう、ワシが望んでいたのは理由。今回の騒動について。
着替え直したミミティが答えてくれた。
((事情は分かりました。デウディーン様の……いえレディ・マリーの頼みであれば、喜んでお受けしましょう))
シャルルが快諾してくれた。これで一安心じゃ。
催眠術の下りを話している時はさすがに動揺されたが、何とか乗り切る事ができた。
これも全ては、シャルルの人柄のおかげという訳じゃな。
「ラスティア、もういいぞ。戻ってこい!」
背中を向け、耳を塞いでいたラスティアを呼びかける。するとあヤツ、ウキウキとした表情で振り向いたのだ。
「ど、どうしたんじゃ? そんな嬉しそうに……?」
「いえいえ! それより楽しみにしていますので!」
……? まあ、よかろう。ともかく懸念は一つ去ったのじゃから。
ワシが一息ついたところで、シャルルが人間の姿に変化しておる。
それから、レッドドラゴンと向き合っておった。
((ミミティ……といいましたね?))
「え、あ、はい……。ミミティ・アン・レッドフレイム……親にそう名付けてもらいました」
((人の姿になりなさい。その姿のままではマリー様が話しづらいでしょう))
「あっ、……分かりました。変身します」
初めは戸惑っていた風のレッドドラゴン、いやミミティ。しかし受け入れたのか、身体を縮こませていく。
そしてワシらの前に現れたのは、少女の姿じゃった。
「お主……女だったんじゃな」
ミミティはショートヘアーの少女じゃった。
赤髪のツリ目で、まさに勝ち気な顔つき。レッドドラゴンがあれだけ強気で攻撃的なのも、納得できる雰囲気じゃ。
「は、はい……。人間に舐められないよう、強い姿勢でいかせてもらいましたが……」
そんなミミティじゃが、何だか弱気に見える。
そしてあろう事か、地面にヒザをつき始めたではないか。
「この度は……申し訳ありません! 偉大なるデウ……いえレディ・マリーに大変な無礼を働き……謝罪のしようもございません!」
「え、いや、そんな……。って、何脱ごうとしとるんじゃ!?」
涙を流しながら謝り始めるミミティ。何と、ワシらの前で上着を脱ぎ始めたではないか。
少女に違わぬ白い肌に細い腰つき。膨らみかけた胸がチラッと……ってそんな場合じゃない!
「お、おい……別にそんな事しなくてよいのに……」
((止めなくて構いません。これは竜人族に代々伝わる精一杯の謝罪なのです))
などと、シャルルが落ち着きながらも威厳のある態度で説明してきよる。
「いやそんなんええから! 脱ぐのやめて!」
ワシはもう、とにかく必死に脱ぐのを食い止めた。
そんな謝罪求めてないからね……。ワシが望んでるのはそういう事じゃないし。
「デウディーン教団と竜人族の謝罪に共通点があったとは、感心しますねマリー様!」
ラスティアが何か言ってくる……。とりあえず無視しておいた。
「いやの、そういう事じゃないんじゃよ。ワシが知りたいのは。何で、ミミティとサークルポリスが戦ってたかって事じゃ。分かったらさっさと服着て」
そう、ワシが望んでいたのは理由。今回の騒動について。
着替え直したミミティが答えてくれた。
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